環境管理バックナンバー 2018年 11月号

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2018年11月号 特集1:中国 環境規制の動向と課題/特集2:進化するバイオマス利用技術

<巻頭レポート>

御射鹿池 その生い立ちと水質を調べる!
NPO環境・地理探訪クラブ
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 多くの観光客を魅了する御射鹿池(みしゃかいけ)を環境面で調査した。池は自然にできた湖沼ではなく、農業用のため池である。この温水ため池は、池に水を一時的に貯留することによって冷たい谷川の水を5℃も高める機能がある。湖面を美しく妖艶な姿にしたのは低温かつ酸性の水質が一つの理由である。鉄イオンの沈殿作用なども含め興味深い御射鹿池の実態を探ってみる。

<特集1>

中国の資源ごみ輸入禁止の波紋――原料断たれ業者悲鳴、東南アジアでは密輸横行
浅井 正智(東京新聞 上海支局長)
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 中国で資源ごみ処理の大改革が始まった。環境対策を理由に昨年末から資源ごみの輸入を大幅に制限して11 か月。中国政府の急激な方針転換は、資源ごみ輸入で成り立ってきた中国のリサイクル業界に混乱をもたらし、廃プラスチックのリサイクル業者の倒産や事業縮小が相次いだ。影響は中国国内にとどまらず、さまようごみの新たな受け皿となった東南アジアに火種を持ち込んだ。そんな状況を現地からレポートする。
中国生態環境部の発足と環境規制の動向
高木 正勝(日本テピア株式会社 テピア総合研究所 所長)
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 昨年10 月の中国共産党大会で習近平国家主席は「生態文明建設」の理念のもと、環境配慮型の経済体制を確立する方針を述べ、汚染物質を排出する事業者に対して厳罰で臨む考えを改めて強調した。2015 年1 月の「中国環境保護法」の改正以来、地方政府の環境保護部門の権限が強化され、環境規制違反に対する罰金や生産停止等の措置を含む厳しい取締り活動が展開されている。今年3 月には中国国務院の5 年ぶりの大規模な機構改革が行われ、これまでの環境保護部が廃止されて新たに生態環境部が発足した。本稿では、生態環境部発足の背景と今後の中国の環
境規制の動向について考察する。
改正中国RoHSの動きと各国RoHS規制の広がり
佐竹 一基(OFFICE KS(環境と技術)代表/一般社団法人 産業環境管理協会 技術顧問)
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 欧州に端を発した電気・電子機器に対する特定の化学物質の使用を制限する規制は、通称「○○RoHS」( ○○には国や地域の名前が入る)と呼ばれ、世界に広がりをみせている。中国においても通称改正中国RoHS( 電器電子製品有害物質使用制限管理弁法)が2016 年から施行されている。改正中国RoHSは2 段階規制となっており、第1 段階目は表示規制のみであったが、来年にはいよいよ第2 段階目である特定の機器に対する有害物質の実際の制限が開始される見込みである。中国RoHSのこれまでの流れを説明するとともに、製品中の化学物質管理の基本を紹介する。

<特集2>

溶剤改質法による褐炭、バイオマス廃棄物の脱水・改質
三浦 孝一(京都大学 エネルギー理工学研究所 特任教授)
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 水分や含酸素官能基を多く含む褐炭やバイオマス廃棄物を効率的に利用するためには、脱水・乾燥、高カロリー化のための改質と呼ばれる脱酸素処理、それに自然発火抑制処理が必要である。本稿では、これらを温和な条件下で実施できる「溶剤改質法」を紹介する。溶剤改質法は、褐炭やバイオマスを非極性の溶剤中で~ 350℃、~ 2MPaの条件下で処理して、水を非蒸発で除去、含酸素官能基を選択的に除去するとともに、クリーンな抽出物を高収率で回収する方法である。本方法の社会実装を目指して、タイ国と取り組んでいる共同研究の概要についても触れる。
インドネシアに適合的なバイオマスガス化システムの開発
野田 玲治(群馬大学 大学院 理工学府 准教授)
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 途上国においても未利用バイオマス資源のエネルギー利用は喫緊の課題となりつつある。その一方で、途上国に適合的なバイオマスエネルギー転換技術は確立されたとはいい難い。本稿では、群馬大学がインドネシア研究者と共同で実施している粘土を流動媒体としたインドネシア適合型バイオマスガス化技術のコンセプトについて紹介したうえで、バイオマスガス化技術を構成する要素技術の研究開発状況について述べる。
微細藻類の燃料化の課題と液化ジメチルエーテルによる油脂抽出
神田 英輝(名古屋大学 大学院 工学研究科 物質プロセス工学専攻・助教)
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 微細藻類は光合成能力が高く、培養条件によっては油脂の含有量も高いものの、遠心分離などで収穫したあとでも水分が80 ~ 90%に達する。この多量に含まれる水の乾燥に多くのエネルギーが消費される。このため、微細藻類が光合成で生産した油脂の熱量の16 倍ものエネルギーが消費される。ここでは、微細藻類による油脂の生産と抽出について、我々の海外との共同研究を通した、これらの課題の克服に向けての取り組みを紹介する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第30回】拡大する「ESG投資」の課題は何か──気候変動に関する投資家エンゲージメントを巡って
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 これまでも本誌において気候変動に関わる金融・投資の動きを2回にわたって紹介した。その1回目の冒頭で書いた通り、今後気候変動対策を進める上で重視されているのは、一つは革新的技術開発であり、もう一つは金融・投資のあり方であろう。投資の方針に環境対策などの非財務情報を取り込むことで社会の低炭素化を促していくことには、高い期待が寄せられている。
 しかし急速に拡大している分、「みんなやっている」以上に深い議論があまり聞こえてこない。そもそもESG投資の目的は「長期的リターンの最大化」であり、政策目的の投資ではないと解するのが一般的だ。目的がシンプルに「長期的リターンの最大化」であるとして、実際にESG投資はその目的に合致する成果を上げているのだろうか?
 「ESG投資は株主へのリターンを向上させるのか」というシンプルな問いに対して、実は全く相反する研究結果が先行する米国等において発表されている。こうした二つの見方を紹介することで、日本におけるESG投資に関する議論を深めるきっかけとしたい。
【合理的環境主義者の視点/第8回】温暖化対策の数値目標は科学によって決められたのか?
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
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 パリ協定では、地球温暖化による温度上昇は「2℃」を下回るよう抑制するという目標が合意された。また日本の温室効果ガス排出量については、2013 年比で2030 年までに「▲26%」の削減をする、となっている。こういった数値は、一体、どのように決まったのだろうか? 実はこれは科学というより政治の問題である。地球温暖化の国際交渉における数値目標の「政治学」を解説する。
【新・環境法シリーズ/第81回】コミュニティ再生可能エネルギー(CRE)戦略の構想――日本に向けた課題
ケイト・クラウリィ(タスマニア大学Social Science Associate Prof)/バーヤン・ハン(タスマニア大学 Social Science PhD Candidate/中村 明寛(明治大学 研究知財研究推進員(専門研究員)・タスマニア大学 客員研究員)
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 近年、エネルギーセクターの転換は諸外国において著しく変化を遂げている、その理由として、技術の進歩、消費者需要及び気候変動対策への実施がある。このような背景から、新しいエネルギーミックスの一部として、コミュニティ再利用エネルギー(Community Renewable
Energy:CRE)による分散型のエネルギーシステムが検討されている。本稿では、地域レベルのコミュニティが実施するプロジェクトに着目したCREの政策基盤を提言する。我々は、地域のコミュニティにおけるエネルギー転換を実現できるか否かは、政策を運用する上での弊害によって、その可能性は変わってくることを見出したとの結論に至った。本研究ではCRE戦略について、中央集権型と地方分散型のエネルギー、コミュニティ参加、地方自治体との取組み、及び次世代のエネルギーの民主化に向け地域の電力インフラ等といった運用上の課題を検討し、より円滑な運用を可能とする戦略を提言している。
【産廃コンサルタントの法令判断/第32回】建設廃棄物? 有価物? 下取り品?──設備更新と廃掃法規制の整理
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第32回)。

【ニュースから読み解く環境刑法/第4回】気をつけたい水の汚染
今井 康介(法政大学 兼任講師/国立国会図書館 外部専門調査員)
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 前回までは、環境刑法の基本的な考え方や用語、他の法分野との関係などを中心に説明してきましたが、今回からは、環境犯罪の具体例を説明していきます。
 今回のテーマは、「水」に関する環境犯罪です。水の利用方法には様々なものがあります。その中でも、我々が生きていく上で欠かせない「飲み水」を汚染する場合と、工場からの排水等による川などの「水質」を汚染する場合の二つが特に重要です。今回は、水の汚染と水質汚濁のニュースを取り上げて、これに関する罰則について説明します。
【いつできた? この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第2回】不法投棄と海洋投棄の巻
長岡 文明/廃棄物処理法愛好会
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 みなさんこんにちは。
 このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 第2回目は、廃棄物処理法第16 条に「投棄禁止」として規定されている、いわゆる「不法投棄」について、「海洋投棄」との関係にも触れながら取り上げます。今回の担当はY先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第11回】地球の歴史に関する原則──現在は未来へのカギ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 地震による土砂崩れや洪水による浸食・堆積など現在生じている災害(地形形成)は、スピードこそ異なるが過去においても起きているという「斉一説(せいいつせつ)」がある。これは、天変地異説(Catastrophism)に対する考え方といわれ、過去の現象は現在の状況をじっくり観察することによって理解することができる、つまり、「現在は過去へのカギ」といわれている。自然地層を対比して観察するときにとても「合点がいく」伝統的な概念である。
 本稿では、地層の逆転がない限り下部にある地層は上のものより古い、という「地層累重の法則」、そして、コペルニクスの唱えた地動説を含む地質学の伝統的な基本法則についてわかりやすく解説した。
【先読み! 環境法/第77回】都市のスポンジ化対策を総合的に推進する「改正都市再生特別措置法」が7月15日に施行――開発コントロールの都市計画制度を都市の縮退に対応する管理へ
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 人口減少等の急速な進行に伴い、多くの都市で空き家・空き地が時間的・空間的にランダムに発生する「都市のスポンジ化」が顕在化しつつあり、都市の密度の低下とともにサービス産業の生産性低下、行政サービスの非効率化、コミュニティの存続危機など様々な悪影響を及ぼすことが懸念されている。この対策を推進する都市再生特別法の改正について取り上げる。また、本誌9月号で取り上げた「カタルヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」について続報する。
 
 ❶都市のスポンジ化対策を総合的に推進する「改正都市再生特別措置法」が7月15日に施行―― 開発コントロールの都市計画制度を都市の縮退に対応する管理へ
 ❷「 ゲノム編集技術の利用により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針(案)」に関する意見募集が9月20日(木)から10月19日(金)まで実施
環境法改正情報( 2018年9月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉環境基本法
 ◉化審法
 ◉悪臭防止法
 ◉農薬取締法
 ◉土壌汚染対策法
 ◉労働安全衛生法
 ◉廃棄物処理法

<トピックス>

エコプロ2018 SDGs時代の環境と社会、そして未来へ 開催概要
片岡 顯(一般社団法人 産業環境管理協会 地域・産業支援センター 事業企画室 室長)
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 今年度も2018 年12月6日(木)~9日(土)にかけて、エコプロ2018が東京ビッグサイトで開催される。今年度のテーマは、「SDGs時代の環境と社会、そして未来へ」。国内では、政府によって首相をトップとする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が設置され、経団連も昨年の企業行動憲章で「SDGsの達成」を掲げており、SDGsを推進する動きは今後益々加速していくと考えられる。
 また、今年度から旧「エコプロダクツ大賞」の理念や実績を継承しながら様々な社会経済の変化を反映させ、エコプロ展主催者事業として新体制のもとに「エコプロアワード」を開始した。
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