環境管理バックナンバー 2014年 8月号

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2014年8月号 特集1:迷走する廃棄物処理法と排出事業者の責任/特集2:PCB廃棄物処理の現在

<特集>

総合判断説・再考
北村喜宣 上智大学法科大学院長
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  廃棄物処理法のもとで不要物(=廃棄物)であるかどうかを判断する枠組みとして、実務上、「総合判断説」が用いられている。最高裁決定によれば、これは、①その物の性状、②排出の状況、③通常の取り扱い形態、④取引価値の有無、⑤事業者の意思、等を総合的に勘案するというものである。判断のしやすさゆえに④が重視される傾向にあるが、排出者においていわゆる手元マイナスであるがゆえに、直ちに不要物となるわけではない。資源循環の推進のためには、むしろ③及び「等」の一つとして、需給状況ないし現実の利用状況を重視した運用が必要である。
地方自治体職員による廃棄物処理法の重点事項―排出事業者が留意すべきポイント
是永 剛 長野県環境部水大気環境課係長
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 産業廃棄物の処理責任は、排出事業者にあることはいうまでもない。国はこれまで、排出事業者責任強化のために廃棄物処理法を度重ね改正してきたが、その意識改革は遅々として進まない現状にある。一方、産業廃棄物処理業者については、従前の悪質業者を排除する施策から、処理業者の育成へとシフトした。平成16年の優良性評価制度を経て、優良認定制度が平成23年4月からスタートしたことにともない、産業廃棄物処理業者の意識の変革が一層進んでいる。
 本論では、「廃棄物該当性」と「注意義務」の2点に着目して論じた。特に不適正処理の八つの事例を通じて、排出事業者処理責任を全うするため、そして意識を向上するために企業は「何をすべきか」を整理する。
経団連における廃棄物・リサイクル問題への取り組みと今後の方針
根本勝則 一般社団法人日本経済団体連合会常務理事
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 経団連では、企業の主体的かつ積極的な取り組みを推進するため「環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕」を策定するとともに、循環型社会の形成に企業が取り組みやすい環境を整備するため廃棄物・リサイクル法制度の見直し・運用改善を政府等に提言している。
 自主行動計画の実行により、2012年度の産業界全体の産業廃棄物最終処分量は2000年度比で約74.8%減少した。また、産業界の意見を政府審議会等に反映させることにより、企業活動の実態に即した廃棄物・リサイクル法制度の構築に向け成果を挙げてきた。
 経団連では、不法投棄等の支障除去等に関する基金への協力も行っており、引き続き循環型社会形成に向けて取り組んでいく。
最終処分技術―管理型最終処分場で最新技術が致命傷に
本誌編集部
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 平成21年5月、東京近郊の某県で公共関与の産業廃棄物処分場が操業を開始した。一部の地元企業は待望の自区内処分場として利用をはじめたが、翌年10月に漏水検知システムが異常を検知して搬入が停止された。さらに一部住民の反対運動によって搬入が阻止されたが、裁判所の仮処分命令などにより1年5か月後の平成24年3月にようやく搬入が再開された。しかし同年12月に漏水検知システムが2度目の異常を検知し再度搬入が中止され、最終的に処分場は閉鎖されてしまった。
 産業廃棄物の排出事業者のみならず地元住民も処分場に振り回された形になったが、これは処分場の最新技術が閉鎖に至る致命傷になった事例であり、廃棄物処分場管理の教訓となる。巨額の資金を投入し準備に10数年もかけていながら処分場はなぜ操業4年半という短期間に閉鎖してしまったのだろうか。公開情報や報道情報を中心に経緯を整理してみる。
PCB 処理の制度と技術―半世紀の歩みを概観する
本誌編集部
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 PCBの問題は、カネミ油症事件から起算すれば、すでに46年にもなる問題である。当協会は平成7年~14年まで、経済産業省の「難分解性有機化合物処理技術評価・検討委員会」を運営し、PCBの処理技術評価に関わっていたが、その終了時からもすでに10年ひと昔であり、低濃度PCBの処理の推進など、大きく状況が変わっている。詳細な現状は他稿に譲ることとし、本稿では半世紀の歩みの全体感と基盤知識を整理しておくこととしたい。
PCB 廃棄物の早期処理に向けた取り組みの現状と課題
長田 容 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団技術部次長
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 環境省はこのほど、PCB廃棄物の新たな処理期限である平成38年度末を見据え、早期の処理完了に向けて今後取り組む諸施策を盛り込んだPCB廃棄物処理基本計画を公表した。主な取り組みとして、日本環境安全事業の5事業所の処理能力を相互に有効活用すること、また、数が膨大な微量PCB汚染機器の処理では、無害化処理認定制度の活用に加え、合理的な処理が進むよう使用中の機器の洗浄方法に係る枠組み構築等を検討するとしている。
 本稿ではPCB廃棄物の廃絶に向けた最近の取り組み状況を紹介するとともに、これらを適正に管理し処理するための留意点について解説する。
微量PCBの処理技術
寺門 洋 エコシステム山陽株式会社専務取締役
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 PCB特別措置法施行後に存在が明らかになった微量PCB汚染廃棄物については、その量が膨大であるところから処理体制の整備が急がれている。PCB廃棄物の処理期限は2027年3月末まで延長され、抜油後の絶縁油を処理する施設は環境大臣の認定制度を活用し順調に整備が進んでいる。一方、抜油後の電気機器本体の処理施設については、国内に存在する対象となる廃棄物の物量に対して、いまだ能力不足とされている。
 本稿では、微量PCBに汚染された電気機器本体の処理技術としての焼却技術及び洗浄技術の概要と、焼却処理施設の具体例としてエコシステム山陽㈱の微量PCB廃棄物処理プロセスを紹介する。
微量PCB 汚染機器処理への取り組みー移動式溶剤循環洗浄処理技術の開発
田村義隆 株式会社かんでんエンジニアリング環境工事部工事グループマネージャー
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 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、昭和47年に製造が禁止され、その後平成16年よりようやく高濃度のPCBの処理が始まった。一方、平成14年7月に、PCBを使用していないとする電気機器等の絶縁油の一部に微量のPCBが混入していることが報告され、その量は全国で約160万台と推定されている。
 環境省の無害化処理認定制度を活用した焼却処理がすでに始まってはいるが、焼却炉に直接投入できない大きさの機器の処理は解体が必要となり、処理能力には限界がある。
 ㈱かんでんエンジニアリングは、永年にわたり培ったPCB処理技術のノウハウを活かし、微量のPCBに汚染された移動困難な大型機器(変圧器等)を処理する手段として、現地へ処理装置を持ち込み、溶剤を用いて機器内部を循環洗浄することで、機器内部に付着・含浸しているPCBを除去する移動式の溶剤循環洗浄処理技術を開発した。平成26年5月に移動式の洗浄施設として国内で初めて、低濃度PCB廃棄物の無害化処理の環境大臣認定を取得したので、ここに紹介する。

<総説>

再生可能エネルギーの固定価格買取制度に関する最近の動向
小林 寛 長崎大学大学院准教授
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 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が2012年7月1日に施行されてから、2年が経過した。同法に基づく再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行後、太陽光を中心として再生可能エネルギーに係る発電設備の導入は進んでいる一方で、認定取り消し事例などいくつかの課題も浮かび上がってきた。
 そこで本稿は、導入状況など固定価格買取制度の最近の動向を検討するものである。筆者は、再生可能エネルギーの利用促進が一層図られるために、固定価格買取制度を安定的に維持する必要があると考える。

<シリーズ>

【受験ガイド シリーズ6】公害防止管理者等リフレッシュ研修・ 廃棄物研修のご紹介
本誌編集部
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 当協会では、毎年10月の初旬に、「公害防止管理者等国家試験」を行っています。この連載は、国家試験や認定講習で公害防止管理者資格の取得をめざしている方を対象に、平易なガイド情報をお届けしています。公害防止管理者等国家試験の受験票の発送が9月中旬予定、26年度の国家試験は10月5日(日)ですが、受験者の皆さんは合格に向け、ラストスパートを意識し始める時期かと思います。6回目の今回は、国家試験からは少し外れますが、公害防止管理者資格を取得後の方や、企業の環境管理担当者を対象として9〜12月に実施している「リフレッシュ研修」「廃棄物研修」について、紹介します。
【よくわかる地球温暖化問題シリーズ5】中国の気候変動問題への対応
亀山 康子 独立行政法人 国立環境研究所
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 地球レベルの環境問題の解決にいまや欠かせない存在となった中華人民共和国(中国)は、気候変動に関する国際交渉においても多大な影響力を持つ国となった。中国も自身の役割を自覚し、国内外でさまざまな活動を見せている。本稿では、中国を気候変動問題の観点から捉え、現在の同国の立ち位置と、同国に対して求められている役割について述べる。2000年代の急速な経済発展は、国際社会が同国に対して期待する役割の大きさをも増大させることになったが、同国内では独自の問題や課題が山積しており、それらの課題に対処するための方策の一つとして気候変動問題を捉えている部分もある。
【新・環境法シリーズ32】ドイツ脱原発関連訴訟の動向─暫定的操業停止命令が違法とされた事例
松村弓彦 弁護士
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 ドイツにおける脱原発法制の推移の過程で、福島原発事故を契機として、従来ドイツが想定していなかったシナリオによる原発の安全性評価改訂の要否を検証する目的で発せられた連邦政府の指示に基づいて、ヘッセン州(被告)が行った原発Biblis-AおよびBにかかわる暫定的操業停止命令・再稼働禁止命令について原発設置・操業者(原告)が命令の違法確認を求めて提起した訴訟事件で、裁判所は右命令を違法と判断し、原告の請求を認容した。本稿では右判決における違法性判断に関する実体法上の論点(リスク管理)について検討する。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営28】自由貿易と環境保護規制
寺浦康子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 グローバルビジネスの進展する中で、自由貿易と環境保護のバランスをどのように取っていくかは全世界に課せられた課題である。従来WTOは、環境保護を目的とする規制措置が自国産業保護という真の目的の隠れ蓑となっているのではないかという強い疑念を持ち、貿易障壁となる規制措置に厳しい目を向けてきた。しかし、自由貿易のみを推し進めると、環境保護施策の効果が損なわれるばかりか、厳しい環境保護規制を遵守している事業者が不利な競争環境に置かれるおそれもある。そこでWTOも、一定の要件を満たした場合に規制措置の正当性を認めるようになっている。グローバルに事業活動を行う企業としてもこの流れを踏まえ、日本だけではなく他国の環境保護措置も考慮に入れた事業展開が求められている。
【実務に使える産業廃棄物関連法5】在庫処分・販促品・下取り・ 返品・リコール品の扱い―いつから廃棄物として扱うか
佐藤 泉 佐藤泉法律事務所弁護士
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 事業活動を行う場合、さまざまな場面において不用品が発生する。しかし、廃棄を予定する物であっても、流通の過程や社内における管理が行われているものについては、廃棄物処理法を適用する必要性は低いばかりではなく、過度に廃棄物処理法を適用すれば、通常の商取引が困難となる場合もある。
 そこで、廃棄物処理法の趣旨及び社会通念に照らし、どの時点から廃棄物処理法を適用して廃棄物として扱うかを検討する必要がある。
 商取引や社内ルールは多種多様であるため、網羅的な解説をすることは困難であるが、生活環境保全上の支障を防止しつつ、円滑な廃棄物の排出を促進するという視点が大切である。
【先読み!環境法26】6月30日の第11回食品リサイクル法 合同会合で提示された報告書案
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科
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❶ 6月30日の第11回食品リサイクル法合同会合で提示された報告書案
❷ 家電リサイクル法見直し検討の中心「リサイクル費用の回収方式について」
【環境法改正情報】(2014年6月改正分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉毒劇法
◉労働安全衛生法
◉ PCB 処理法
◉水循環基本法
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