環境管理バックナンバー カテゴリ:環境担当者のための基礎知識

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<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第80回】廃棄物か否かの判断 ― フルーツライン沿いに放置された大量プラスチック廃棄物を例に
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年11月号
県外から茨城県に搬入され放置された大量の廃プラスチック類は再生資源とされたが、その後、廃棄物と認定され税金で撤去されている。本稿では事件の経緯をレポートする。記事の後半では、不法投棄の行為者のみならず、不適正な処理委託をした者、並びに当該処分の行程でマニフェストの違反をした者に対して、不法投棄などの支障除去等の措置を講ずるよう命ぜられるなど廃棄物処理法の基本知識を分かりやすく解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第79回】アップルの廃棄物ゼロプログラム 世界の部品供給メーカーが要請される廃棄物管理
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年10月号
世界で最も注目されている企業の一つである米国アップル社は、環境面で製品と同じ革新的プランを実践している。「地球を守ることにも、愛される製品を作ることにも、全力で取り組む」と宣言して取引先にも同様なサステイナブル経営を求めている。本稿ではアップルのゼロ・ウェイスト計画(廃棄物ゼロプログラム)について最新情報をレポートする。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第78回】温暖化で冬から一気に夏になり四季が消滅か? 温暖化の基礎知識その2
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年9月号
企業経営に影響する気候変動を解説する。茨城県つくば市にある気象研究所の専門家から学んだ最新情報を参考に、最近の気象と将来の気候について分かりやすくレポートする。気象庁やIPCCなどの報告も引用して、気温上昇に加え豪雨や洪水など気象災害が想像以上に顕在化している事実とその背景について述べる。
後半では気象災害等による企業への影響や対策についても簡単に整理する。主食のコメが消えた「平成の米騒動」があった1993年の冷害なども紹介する。冷害は火山噴火という自然起源の地球冷却の影響がある。巻末コラムではハリケーンで停電になり化学物質が次々と発火したテキサス州の工場災害を解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第77回】気象災害と温暖化が企業に与える具体的な影響とは 温暖化の基礎知識その1
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年8月号
本稿では温暖化や気象の基礎知識に加え、筑波にある高層気象台や気象研究所などの専門家から筆者が実際に学んだ事項もレポートする。IPCCや気象庁の報告などから少し詳しい温暖化の現状にも触れる。高校レベルの平易な内容だがアンチ温暖化の方にも是非ご一読いただきたい。なお、前編のコラムでは本年春に話題になった気象ドラマ「ブルーモーメント」(第9話:工場爆発)を短く解説する。次号では店頭からコメが消えた「平成の米騒動」があった1993年の冷害なども紹介予定。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第76回】温暖化対策の実践講座 ― 小水力発電と地中熱とは何か―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年7月号
再生可能エネルギーである小水力発電と地中熱利用について最近の情報をまとめてみた。太陽光や風力発電と異なり、日本ではあまり目立たないがなかなかの優れものである。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第75回】排水管理の入門講座 ― 水質汚濁防止法違反で逮捕起訴され有罪判決―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年6月号
2019年1月、食品リサイクル工場を運営する会社の社長と工場の責任者が、工場排水を適切に処理せず排水基準を超過したため水質汚濁防止法違反の容疑で逮捕された。その後、違法な排水についての内部マニュアルが発覚し、深夜や雨天、満潮時に排水を行う、など組織的な行為であることも判明し逮捕者と会社は裁判で有罪になった。社長の立場や会社の利益を守りたいという独善的かつ利己的な動機から違法排水をしていた。
会社は違反発覚から2カ月ほどで名古屋市等から廃棄物関係の許可が取り消され全顧客を失った。事業譲渡なども模索したようだが、2019年12月に破産手続きの開始決定を受けた。本稿では判例を紹介して、名古屋市における食品リサイクルの背景も説明する。後半では水質汚濁防止法の基本的なポイントも解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第74回】廃棄物管理の入門講座 ― 廃棄物か有価物か、扱う廃棄物の区分は何か―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年5月号
環境担当者が最低限知っておくべき基本事項として、①廃棄物か有価物か、②扱う不要物の廃棄物区分、③合法的な処理委託などがある。実際の事例も使いながら現場目線でキーポイントを整理してみた。今回の記事は入門用とし極力簡易で分かりやすい内容にした。後半には「先輩社員による教育」で誤りを選ぶクイズがある。ベテラン担当者の方も復習としてご一読いただきたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第73回】漏えいトラブルから学ぶ管理型処分場の構造 ― 優良処分場の漏えい問題の影響は廃棄物排出者に波及するか―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年4月号
日本では1960年代まで工場裏などに穴を掘り、溶剤廃液などの産業廃棄物を埋めることは違法ではなかった。廃棄物処理法は1970年の公害国会で制定された。その後、不法投棄や環境汚染の多発により規制が強化され、汚染物質を含む産業廃棄物は管理型処分場で処理されるようになった。
処分場で埋立が進むと上部に重なっていく廃棄物の重みで下部のものは圧密され最後は堆積岩のようになる。汚染された浸出水の外部漏洩を防止するため「固結した廃棄物層を掘削することは有効な対策」といった想定外の考えもある。最悪の場合、廃棄物をすべて掘削して除去する事態になると過去に処理委託した排出者にも措置命令によって経済的負担が生じる可能性がある。管理型処分場の漏洩問題から処分場の持つ脆弱性などその特徴を考えてみたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第72回】廃棄物処分場の内部事情を明かす! 忘れられないタイムカプセル
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年3月号
規模に関係なく自社敷地の隅の方を掘るとゴミや焼却灰が出てくることがよくある。過去に使用されていた埋立の穴(自社処分場)が忘れられ、土地の造成や売却の際に大きな問題になるケースもある。工業団地を含め有害物質や廃棄物を一部含む残土で造成された土地は少なくない。本稿では廃棄物処分場について基本的な事項を解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第71回】水身近な化学物質が思わぬ健康被害を与える ― 生物濃縮の解説と米国の裁判の近況を報告―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年2月号
本年新たに輸入禁止になるPFHxS(有機フッ素化合物PFAS)が注目されている。PFASに関連する地下水汚染などの事例を紹介し、有害な化学物質と健康リスクの基本的事項を解説する。水俣病やイタイイタイ病の原因となった重金属の汚染と生物濃縮について述べ、デュポンやスリーエム社など米国のPFAS裁判も概観する。本稿を読むと、身近な化学製品、特に事業所で取り扱っている各物質のSDSを確認し、法令を順守して適切に使用・保管して廃棄することが不可欠になっている状況が理解できる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第70回】水って何だろう 環境科学の基礎知識①
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2024年1月号
工業高専や大学の教養課程の環境科学では水について学ぶことが多い。水は、湯たんぽ等で実証されるとおり熱を吸収し保存できる。しかも多くの汚れを洗浄でき、かつ、物質を溶かす溶剤としての機能も持つ。そして、地球上で液体、固体、気体になり地表を循環している。このように不思議な水の特徴を解説してみる。最後に地下水汚染と鉛の汚染事例についても簡単に報告する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第69回】廃棄物特性と焼却 廃棄物工学の基礎知識①
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年12月号
産業廃棄物は鉄や銅、アルミニウムなど有価物や再生用資源を取り出して、残さは焼却されているケースが多い。どのように焼却がなされているのか、現地確認をした読者もいらっしゃると思うが、ロータリキルンとストーカ炉などについて分かりやすく解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第68回】焼却などゴミ処理の最新動向 ―空気なしで燃やす? 一切燃やさない?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年11月号
近年、バイオマス発電が注目されているが、事業活動から発生する廃プラスチックや廃油、紙や木の不要物など、様々な廃棄物を燃料(熱源)として発電する事業所も以前から多く存在する。それらのベースは廃棄物の燃焼だが、公害防止という観点も含め基本的事項を中心にゴミ処理の現状についてレポートしてみたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第67回】リサイクル促進の落とし穴 ―リサイクルを勝手に行うと5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金の可能性
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年10月号
企業からの相談がきっかけで、リサイクル促進について改めて考えてみた。ところが、リサイクルは廃棄物の処理に該当し、再生資源である事業系一般廃棄物の回収(収集運搬)を全国で行うには1,700 を超える市町村等の許可が必要となり、回収費用など処理手数料も自由にならない。しかも市町村等の許可は簡単に与えられない実態もあり、広域認定や再生利用認定なども手続きやルールが面倒で対象も限られている。本稿の後半では家電リサイクル法の違反事例もレポートし、運用の難しさを示唆する。昨今、資源の少ない日本ではサーキュラーエコノミーを目指しているが、既存の法規制による数々の障害もありスムーズに進まない現状もある。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第66回】水が噴き出す、ヒ素汚染が発覚 ― 地下構造を理解し環境管理を強化―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年9月号
低地にある広い農地の地下から水が突然噴き出した。噴出期間は北海道の蒸気噴出には及ばないが、かなりの量の水が長期間流れ出た。その意外な原因を究明しつつ、工場事業所の地下水利用や給排水管理に役立つ地下水の基礎知識について触れる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第65回】チャットGPT が書いた廃水処理方法の概要 ― 欧米における前処理から高度処理まで―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年8月号
チャットGPTが話題になっています。その米国版で「工場排水の廃水処理方法」といったキーワードを解説するよう入力したところ即座に概要が表示されました。生物処理と高度処理も説明するよう入力してみました。それぞれの内容は、主に英語圏Webの公開情報を集めたものと思われますが、非常に興味深い結果なので要点を日本語に意訳して紹介させていただきます。生成AIは、企画や契約書などを検討する段階で、考えを整理し足りない視点を見つけるために大変役に立つツールです。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第64回】報道された最近の水濁法違反事例を解説 ― 環境基準や水質汚濁防止法の基本事項を復習―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年7月号
最近になって複数の水質汚濁防止法違反の関連ニュースが報道されている。報道内容から水質汚濁防止法などの基本事項を再確認してみたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第63回】プラント建設用地の窪地埋め立てを無償で実施 ―土壌汚染対策法の調査で基準超過の汚染が判明し処理施設の建設が延期―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年6月号
都道府県や政令市のホームページには、土壌汚染対策法による要措置区域及び形質変更時要届出区域が現在も多数掲載されている。本稿では、様々な経緯により土砂搬入を行った土地が、法令に基づく調査で土壌汚染が発覚し、プラント建設が5年以上も延期されている事例を紹介する。後半では、実際の驚くべき経緯を述べていく。自社敷地に土砂搬入がある場合には、監視するとともに土砂等発生元証明書と土壌のサンプル分析が必要になっている状況などが理解できる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第62回】米国で公開された環境関連の法令違反と事故や訴訟
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年5月号
米国では、引き続き環境汚染事故や訴訟、法令違反が多数発覚している。毎週数件の違反事例を筆者は入手しているが、米国政府や報道機関などが公開した本年1月から4月初旬までの情報からランダムに抜粋して短くまとめてみた。特に「ポップコーンポリマーとデッドレッグ(Dead Legs)」は興味深い。また、最後に詳しく掲載した「ジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダー(1兆円超の和解)」はアスベストに関連する重要事件なので是非お読みいただきたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第61回】温泉の知識と福岡県老舗旅館の不祥事―温泉の不祥事から学ぶ―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年4月号
福岡県筑紫野市にある老舗旅館、大丸別荘が、週1回以上必要な浴場の湯の取り換えを年2回しか行わず、塩素滅菌も怠り基準値を大幅に超えるレジオネラ属菌が検出された問題で福岡県によって刑事告訴されました。2022年11月に実施された福岡県の検査で、大浴場の湯から基準値の3,700倍のレジオネラ属菌が検出されています。循環式のろ過装置自体がレジオネラ属菌の供給源とならないよう、1週間に1回以上消毒し、1週間に1回以上逆洗して汚れを排出することなどが厚労省によってルール化されていましたが無視されていたようです。
県警は2023年3月10日に、県に虚偽報告をしたとして、公衆浴場法違反容疑で旅館を家宅捜索しました。本稿では、温泉に関する一般的な基礎知識とレジオネラ症などについて簡単に解説したいと思います。温泉愛好家には是非ご一読願いたいです。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第60回】環境経営に不可欠な生物多様性―事業活動における生物多様性のリスクとチャンス―
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年3月号
次期生物多様性国家戦略案の概要が公開され、2023年春にはパブコメの結果を反映させて国家戦略が閣議決定される見込みとなっています。そこで本稿では、①生物多様性は温暖化同様に重要な課題で、企業も生物多様性の認識や対応が必要なこと、②TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)推奨の気候関連情報の開示に加え、自然資本・生物多様性に関する自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が開示枠組を公表予定であること、③事業活動およびサプライチェーンにおける生物多様性・自然資本への影響や依存度を評価して、経営上のリスクと機会を分析し経営に反映させる必要性があること、などを念頭に置いて生物多様性全般について基本を解説します。後半は生物多様性国家戦略について論じて、最後に、生物多様性で出てくる頻出用語を簡単に解説します。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第59回】コンクリートのひび割れ ― 放置すると重大事故のおそれ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2023年1月号
「排水処理設備のコンクリート面にひび割れが増えているが、放置して大丈夫か」「地震の影響で亀裂が生じているが、安全性に問題はないか心配だ」こういった声を聞くが、コンクリートの基本知識について、今回はポイントをしぼってまとめてみた。
亀裂やひび割れから生じる白華が褐色なら赤信号といえる。また、産業廃棄物のフライアッシュは、コンクリートの耐久性を向上させるために有効利用されている。老朽化する原子力発電所の規制ルール見直しについても、参考情報として最後に付記した。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第58回】バイオマスボイラーから六価クロム― 建築材料の隠れた環境リスクを探る
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年12月号
 石綿以外でも環境リスクなどが問題になる建築材料が多数存在する。今回は、バイオマスボイラー運転で六価クロムが発生したというミステリアスな事例と、建材で環境問題になりそうなものをいくつか取り上げてみた。日常の環境管理のお役に立てれば幸いである。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第57回】有機フッ素化合物が危ない? 泡消火剤含め抜群の機能を持つが水道水混入もあり国会で論争も
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年11月号
 米化学大手デュポン社(及びケマーズ社、デュポン化学品事業部で2015年に分離・独立)は、外部に流出した化学物質PFOAにより健康被害を受けたとする3 ,550件もの訴訟を受け、最終的に合計6億7 ,070万ドル以上で被害者と和解した。この2017年まで争われた汚染事件は、2021年の実録映画「ダーク・ウォーターズ」で全世界に知られるようになった。
問題のPFOAは、デュポンや3 M、日系企業などフッ素化学メーカーによる自主的な使用廃止が2015年に実施され、それまで助剤などとしてフッ素樹脂の製造過程で使われた。現在も化学メーカーは、PFOAの使用をやめている。しかし、熱に強く難分解性であるため、在庫を廃棄する際の費用が高額になる。日本でも、デュポン事件と似たような汚染が生じていることが国会で議論されている。化審法等で規制されるPFOA は泡消火剤にも含まれ、環境省と消防庁が技術情報を発信している。
本稿では、最初にPFOAなどの残留性有機汚染物質「POPs」について解説し、PFOSやPFOAの話題を、公開情報をもとにレポートする。なお、最新の具体的情報は各製造メーカーや関連団体、行政機関に照会いただきたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第56回】水汚泥脱水と全国の廃棄物排出状況 含水率99%を98%にすると泥水量は半分に減るか?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年10月号
 産業廃棄物で排出量が最も多いのは汚泥である。汚泥処理は最も費用と手間がかかるプロセスである。今回は、汚泥の脱水について初歩的な基礎技術をまとめてみた。後半では、全国の産業廃棄物排出量の最新状況を概観する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第55回】水素イオン濃度指標pH の基本を学ぶ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年9月号
 レモンや酢はすっぱい味がするので酸性だと想像がつく。石鹸はヌルヌルする感じでアルカリ性かなと感じることができる。灰汁やアンモニア水、それにこんにゃくは、酸性の特徴がないのでアルカリ性であると判断できるかも知れない。リトマス試験紙やpH計があれば即座に判断がつく。
 産業界で中和など「pHの調節」は頻繁に実施される重要なプロセスであるが、pHとは何なのか、あまり考える機会はないと思われる。そこで今回は、pHの基本を学んでみたい。活量という理論についても少し触れる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第54回】活性炭吸着の基本を学ぶ―ろ過機能も考慮した維持管理や処理前後の水質モニタリングなど
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年8月号
 米国のジャックダニエル醸造所において、大量の活性炭が利用されていたのを目撃した。さまざまな用途に利用される活性炭だが、排水処理分野においても染色排水の脱色や有機排水の三次処理に使用されている。今回は、優れものである活性炭について、基礎知識を中心に解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第53回】高度処理の概要を学ぶ―ろ過について海外情報を引用して基礎知識を解説
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年7月号

難分解性物質が原水に含まれるなど二次処理で浄化目標に達しない場合、または処理水を再利用する場合などに高度処理が必要になる。海外での導入例を眺めると、清浄水などの安定供給が困難な場合や処理水の放流が自由にできない立地、地域住民との協定で外部放流できない事業所、排水を全量リサイクルする事業所などでは高度処理が積極導入されている。
本稿ではあらためて高度処理の概要について海外情報も参考に解説する。後半ではろ過技術について解説する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第52回】BOD/CODやDO の基本を学ぶ―有機汚濁指標などの環境基準について海外情報も引用して解説
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年6月号

河川などの環境基準達成率は、水質汚濁防止法にもとづく排水規制や下水道・浄化槽の普及によって改善されている。現段階で残された課題は、湖沼など閉鎖系水域の水質である。公共用水域の環境基準(生活環境項目)であるBOD は英国発祥で、今から115年ほど前に開発された。
本稿ではあらためて、BOD/CODなどの有機汚濁指標やDO(溶存酸素)といった基本的な事項について、英米の海外情報も引用してわかりやすく解説する。後半では有機汚濁の指標など基礎用語を解説する。最初に、環境基準および令和元年度と令和2年度の公共用水域水質測定結果に関連する二つの設問を解いていただきたい。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第51回】水質関連法の基礎を学ぶ ―水質汚濁防止法、水質環境基準と排水基準、さらに地下水汚染を復習
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年5月号

日常の事業活動で環境法に接する新人担当者はもちろんのこと、ベテランの方も知っておくべき水質汚濁防止法などの基本事項を解説する。日本では様々な環境汚染や悲惨な公害病が起きて、事後的に法律が制定されてきた。そこで、四日市ぜんそくやイタイイタイ病、さらに製紙排水にかかわる大乱闘事件なども解説する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第50回】水の特徴と自然の浄化作用を学ぶ ―懸濁物質を除去する清澄ろ過と自然のろ過作用
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年4月号

日頃我々が利用する水はどこから来てどこへ向かうのか。工場や事業所に不可欠な水の本質と水循環システムの基本について解説する。さらに自然の水質浄化作用についても論じる。とくに、雨水の地下浸透と地下水など水の挙動を眺めると、自然の浄化メカニズムが理解できる。これらは排水処理技術の参考にもなる。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第49回】水質汚濁の現状をゼロから学ぶ──「令和元年度公共用水域水質測定結果」を読む
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2022年1月号

処理水を放流する水域の環境基準達成状況を眺めると健康項目はほぼ満足できる。一方、湖沼のCOD基準の達成状況は60%近いものが令和元年度には50%に下がっている。
生活環境項目に関し、湖沼にあっては有機汚濁や全窒素及び全りんによる水質汚濁の改善が必要である。
 今回は水質管理や汚濁状況にかかわる基本問題を扱って、環境担当者が汚染状況の全体像が把握できる内容にした。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第48回】 水質環境基準をゼロから学ぶ─ 二酸化炭素やメタンが環境基準に追加されるか?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年12月号

公害防止管理者国家試験の過去問を参考に作成した簡単な問題とその解説をする。本論では、環境基準の意義を詳しく解説する。さらに、河川など公共用水域と地下水の環境基準の相違と、健康項目及び生活環境項目の概要を説明し、最後に排水基準についても触れる。今回は、環境担当者が水質管理に不可欠な環境基準などの全体像が理解できる内容にした。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第47回】 公害裁判の国内最初の大審院判例を読む ─ 日立鉱山560 尺と比べ大阪アルカリ社120尺の低煙突は「相当なる設備」にあらず
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年11月号

環境汚染の裁判で最初の歴史的判例が「大阪アルカリ事件」といわれる。大阪アルカリ(株)は硫酸製造会社として明治初期の1879 年に創業し、お国のため肥料製造や銅の精錬をしていた。一方、工場近隣の農作物は亜硫酸ガスで被害を受け、住民も悪臭に苦しんだ。会社は明治後期の1903 年に提訴され、一審、二審で敗訴。しかし裁判所が法律を誤解して適用したと反論し、大阪アルカリは上告した。
 最上級審の大陪審は、1916( 大正5)年に公害防止の「相当なる設備をなしたるや否かを審究せずして漫然と大阪アルカリを不法行為者であると判断したのは不法行為に関する法則に違背」と認定し、控訴審判決を破棄し事件を差戻した。しかし最終的により高額の賠償金支払いを命じられる。本稿では、歴史に残る裁判の経緯と不法行為責任を分かりやすく解説する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第46 回】 国連IPCCの最新報告書と温暖化の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年10月号

気候変動に関する国連のIPCC( 政府間パネル)は、気候変動に関して科学的および社会経済的な見地から包括的な評価を行い、定期的に評価報告書を公表している。2021 年8 月に第6 次評価報告書が公表されたので、第1 作業部会報告書の政策決定者向け要約( SPM)について一部抜粋して解説する。冒頭では温暖化や気象などに関する基礎的知識について述べ、南ジョージア大学及び北イリノイ大学などの教養課程コンテンツも引用してグローバルなテーマを分かりやすく解説する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第45 回】 廃棄物除去等の措置命令と委託契約書の基礎知識── そもそも契約って何だろう?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年9月号

廃棄物処理法は複雑で頻繁に改正されている。法令の運用も年々厳格になっている。排出事業者が委託基準に違反すると委託業者が起こした不適正処分に関して除去等の措置命令を受けることもある。
 本稿では措置命令と委託契約についての基礎知識を解説する。例えば、排出事業者を甲、処理業者が乙とする委託契約で以下のような条項は有効かどうか検討する。
 ①処理委託によって生じる甲に課せられた罰金は処理業者の乙がすべて払う
 ②マニフェストは乙が準備しすべて乙が記入し排出事業者の甲を介在させないこと

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第44 回】 富士川水系の高分子凝集剤を含む汚泥の投棄事件 ─ 協力会社の不祥事が親会社へ波及、国会で2 回も審議された公害事件の経緯
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年8月号

静岡と山梨を流れる富士川の中下流域と支流の雨畑川に堆積した高分子凝集剤を含む大量の汚泥が大問題になっている。この事件は2021 年2 月と4 月に国会で議論された。国会での質疑に対し小泉進次郎国務大臣は「アクリルアミドは、排水中に含まれる粒子を沈殿させる凝集剤のほか、土壌凝固剤、漏水防止剤、化粧品などの原料として広く使われていると認識しています。…… 全国の公共用水域等における存在状況について確認するための調査の対象とし、知見の収集を行ってきています。」などと答弁( 2021 /4/ 16)。山梨県は、静岡県と協力して本年7 月下旬に富士川の水質調査を実施することを2021年6 月29 日と7 月21 日に発表。
 本件は凝集剤が汚泥とともに河川に違法に投棄されていた事件であるが、最近あまり聞いたことがない「公害」が国会で議論された。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第43回】米国で学んだ ドイツ汚水処理技術の基本──東京都の下水排除基準に適合させる廃水の処理技術
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年7月号

 米国で学んだドイツ版「汚水処理技術の基本」をベースに要点を最初に紹介する。事例として金属加工の廃水処理を解説し環境化学の基本的情報も提供する。ドイツでは処理水のミネラル分が豊富で自然の流水と同等の性状にしてから河川などに戻すという原則がある。後半では東京都が公開している廃水処理の手法をレポートする。非常に簡潔な記載なので、下水排除基準を遵守すべき廃水種類とその処理方法などが把握できる。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第42回】中間処理施設の脱炭素化動向と処理技術――米国ウィスコンシン州の処理施設の事例
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年6月号

 米国ではバイデン政権になってから脱炭素社会に向けて急速な政策転換があった。工場廃液や産業廃棄物を処理している施設でも省エネと化石燃料の使用を削減する動きに拍車がかかる。本稿では筆者が過去に調査したことがある中間処理施設の最近の技術と処理状況を報告する。嫌気消化とストラバイト回収、バイオソリッド、曝気プロセス見直しなどの解説をし、焼却に代わる乾式メタン発酵バイオガス発電施設を導入する国内の珍しい事例も最後に紹介する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第41回】工業用水に利用される印旛沼の水──湖沼ワーストワンと全国の水質測定結果
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年5月号
 大手メーカーが操業する京葉工業地帯に工業用水を大量に供給している印旛沼が千葉県内陸部に立地している。最近まで6年間連続して全国ワースト1の汚れた湖沼である。その水の約6割は工業用水や農業用水、水道水などに利用されている。
 陸域から印旛沼へ流入する汚濁負荷量はかなり多い。中でもCODの約55%は市街地などのノンポイント汚染に起因している。現在も湖沼など閉鎖性水域の水質は改善されず、異常気象による洪水リスクなどを含む多くの課題が残されている。 本稿では印旛沼を例にして富栄養化などの実態や汚染原因、湖沼の持つ問題点を解説する。後半では「令和元年度公共用水域水質測定結果」および「令和元年度地下水質測定結果」について要約を記載する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第40回】水質汚濁防止法――最近の違反事例と法改正動向
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年4月号
 水質汚濁防止法の潜在違反は非常に多い。本稿では工場排水による違反事例を報告し、水質二法から水濁法制定までの簡単な経緯と水濁法のポイントを解説する。年間の立入件数は3万4,696 件と多く検査項目も幅広い。規制の骨子である排水基準の違反は大きく減少したが、1級河川の水質事故の届出件数は年に450件程度で、今後も注意する必要がある。工場や事業場から油類や化学物質が流出することで、魚など多くの水生生物や水稲などに被害を与え、水道用水や農業用水の取水ができなくなるなど大きなトラブルが発生する。
<シリーズ>水質環境基準の概要とポイント ── 全般的な水質基準と亜鉛など水生生物保全の環境基準について
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年3月号
 工場排水を監視する公務員はじめ、環境担当者や公害防止管理者にとって実務で必要な基本知識として環境基準がある。これは「維持されることが望ましい基準であり、行政上の政策目標」といわれる。
 環境基準のうち健康項目は全国一律の基準でただちに達成して維持すべきものとされる。一方、生活環境項目は水域の利用目的、例えば、自然に富んだ景勝地等を訪ね歩く自然探勝、水道水源、水浴・レジャー、水産および農業などに応じた類型指定をして基準値などを細かく規定している。
 我が国の水質汚濁状況は、総体的には改善傾向にある。特に健康項目については達成率が約99%と大幅な改善がみられる。しかしBOD、CODについては、改善傾向はみられるものの、湖沼や内湾等の閉鎖性水域や都市部を流れる中小河川においていまだ問題が残されている。
 本稿では、水生生物保全の環境基準や水道水基準についても説明し、環境基準の背景や全体像が理解できるように解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第38回】活性汚泥と食物連鎖――腐食連鎖を含む食物網とはどのような概念なのか
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年2月号
 はじめに活性汚泥処理の基礎的知識を簡単に解説し、頻発するバルキング問題にも触れる。次に一般的な食物連鎖を干潟や陸上を例にして説明する。生態系の食物連鎖を観察すると、そのプロセスが複雑に重複して枝分かれして互いに錯綜している。これが食物網である。有機物に富む土壌のでき方についても議論し、最後に人間がカエルやバッタを主食にした非常に興味深いケーススタディを紹介する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第37回】四大公害病――イタイイタイ病を中心に解説
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2021年1月号
 国内初の公害病に認定されたイタイイタイ病は四大公害病の一つとして海外でも広く知られている。今回、富山県にあるイタイイタイ病資料館を取材した。とても印象的かつショッキングな経緯もあるので、ポイントを絞って、公害病の実態、法令と裁判、農地の復元など事実関係をまとめた。環境担当者として学ぶべき教訓や歴史がある。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第36回】水環境の基礎知識――循環する水
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年12月号
 地表の水は限られた量しかない。人間が利用できる淡水も極めて少ない。水は常に循環しているが、汚染されると簡単に浄化できない。今回は地表の水資源について考察する。日本は大量の食糧を海外から輸入しているが、それら農畜産物は大量の水を消費している。センターピボットを例に農業用の水についても論じる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第35回】排煙プリュームと大気循環の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年11月号
 石油コンビナートから黒い排煙が消えて久しい。しかし、難分解性、高蓄積性、長距離移動性の有害物質やPM2.5などによる大気汚染はいまだ解決されておらず、汚染は成層圏にも及んでいる。汚染を運ぶ風の特徴と大気循環について、米国の教科書も参考に基本知識をまとめてみた。大気汚染の事例や煙突から出る煙の形で地上への影響が簡単に判別できるイラストなども紹介する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第34回】大地をゆるがす地震・津波の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年10月号
 気象庁の情報をベースに、地震と津波の最新情報を整理した。緊急地震速報などの仕組みを含め、日頃の防災対策にも役に立つ事項を解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第33回】生物多様性の基礎知識――基本的な考え方と具体例
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年9月号
 生物多様性について基本的な考え方について解説する。生物多様性分野のビジネスでは、異業種や異分野間での連携や技術協力などにより従来の枠を超えた新たなパートナーシップによるイノベーションを見出す契機があるかもしれない。オオカミが絶滅したことで54億円規模の経済損が間接的に生じているなど、産業との関係を考える上で参考になる具体的な事例や情報も提供する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第32回】ゴミ処理施設の建設用地でフッ素の土壌汚染――違法な残土搬入で21億5,000万円の損害賠償請求
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年8月号
 東京郊外のY市では、新たなゴミ処理施設の建設用地でフッ素の土壌汚染が発覚し、大きな問題になっている。土壌汚染の原因は建設用地にあった窪地(谷津)を整地する際に搬入した残土にあった。最高で基準の6 倍を超えるフッ素の土壌汚染がY市によって確認されたのは2018 年3 月であり、建設用地と隣接地との間にあった窪地(谷津)を埋める埋立て工事は2016 年2 月から実施されていた。埋立てに必要な量をはるかに超える過剰な土砂、約4 万m3 以上の汚染土が違法に搬入された。当時、隣接地の土地所有者が自分の費用でゴミ処理施設の建設用地の谷津も一緒に埋めてくれる、という「うまい話」があったという。本稿では、主に公開情報から経緯をレポートする。事業者が環境法令や関連条例を理解し遵守することが、本件のような不適正事案を予防する最低限の手段である。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第31回】活性汚泥法の基本――生物処理の基礎用語を理解する
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年7月号
 工場排水などを排水基準以下に浄化するために汚水処理をする必要がある。自然沈殿やろ過など物理的な手法はコストが比較的安価である。一方、生物処理は管理に手間がかかり設備も高価になることが多い。今回は生物処理、特に活性汚泥処理法に関する基本的な概念を復習してみたい。なお、より詳細で正確な内容は『新・公害防止の技術と法規2020 水質編』をご参照いただきたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第30回】化学工場のガス漏洩で5,000人被害、過去にも50万人以上が被害──韓国系と米国系の化学工場がインドで大事故
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年6月号
 インド東部にある韓国系LGポリマーズ社の化学工場で今年5月7日に大規模なガス漏れが起きた。漏れたのはスチレンを含んだ有毒ガスで工場から半径約3kmの範囲で住民など12人が死亡し、少なくとも5,000人が被害を受け1,000人が病院に搬送された。
 インドでは36年前にも約4,000人が死亡し50万人以上の被害者が発生した米系化学工場によるガス漏洩が発生している。日本でも工場の老朽化が進んでおり、いつ同様な事故が発生するか可能性は否定できない。それぞれの事故の概要をレポートし、後者については原因や和解までの状況を詳しく解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第29回】広大な針葉樹林の中の処理施設から猛毒物質が漏洩
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年5月号
 北米最大規模の産業廃棄物処理施設がカナダにある。大型専用炉による焼却でPCBトランス、フロン、塗料スラッジを高温破壊し、処理工程の廃液は地下1,800mの地層に圧入する。灰は不溶化して敷地内の管理型処分場へ埋立し、有害物は敷地から一切外部に出さない。世界でも数か所しかない有害廃棄物専用の処理プラントで非常にユニークな施設である。筆者はアメリカ人コンサルタントと現地を視察してから20年以上、経緯をフォローしてきた。創業からの33年間をレポートする。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第28回】土壌地下水汚染の本質と最近の裁判事例──土地取引での土壌汚染の問題
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年4月号
 土壌汚染の基本知識を改めて復習し、後半では最近公開された汚染土地に関する裁判例を分かりやすく解説する。主たる争点が、①マンション建設で発覚した土壌汚染は敷地表面の舗装だけで解決できるか、②「汚染の可能性が低い」等と記載したリスク評価報告
書と売主を吸収合併した会社の責任、さらに、③自然由来のヒ素は瑕疵担保の対象外であり掘削除去せずに「原位置封じ込め」で問題はない、といった地裁の判例をレポートする。
 なお、民法改正に伴い、2020年4月1日以降は、瑕疵担保責任が「契約内容不適合」といった概念になる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第27回】水質汚濁防止法を例に法令の読み方を学ぶ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年3月号
 企業の環境担当者に向けに水に関する講演をする機会があり、「水濁法を読んだことがありますか」と尋ねると誰も手を上げない。会場を変えて5、6回試したが誰も手を上げない。当然読んでいる受講者も若干いると思うが、大半は全文を読んだことがない。法文が読みにくく非常にわかりにくいのがその一因だと思う。最初にある「法の目的」を熟読する、括弧内を飛ばして読むなど、今回は法令を読み解くヒントやこつを解説してみたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第26回】気候変動や異常気象の犯人は水蒸気か――大気の構造から地球環境を考える
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年2月号
 未来を暗示するかのように、大気組成の一覧でCO2の割合が0. 03%から0. 04%( 400ppm超)に表示が変わってしまった。温暖化の原因となる温室効果ガスに関し、地表の全温室効果に対する割合は水蒸気と雲の合計で67%、CO2が21%である。CO2より水蒸気などの割合がはるかに大きい。温暖化の議論であまり話題に出ない水蒸気だが、地表で熱エネルギーを水平垂直方向に移動させ気象や気候を左右する重要な機能がある。
 本稿では、水蒸気など大気の基本的事項や大気循環について解説する。気体-液体-固体の状態変化に関与する熱エネルギー、潜熱を解説し、大気の構造なども簡単に説明する。水蒸気が気候変動の根幹に関わる重要因子であること、さらに金星や火星と比較すると、奇跡の惑星と呼ばれる地球の大気がより理解できる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第25回】アユが遡上する多摩川の水源は広大な森林──森林破壊と生物多様性を考える
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2020年1月号
 多摩川下流では水質が大きく改善したが、異常な水温上昇の課題もある。持続可能な河川管理には上流域の水源かん養林が鍵となる。森林の役割は、①河川に水を安定供給し渇水や洪水を緩和する、②土砂流出を防止し雨水を浄化する、③様々な生物の生息地、④二酸化炭素吸収といった地球環境保全機能などがある。
 本稿では、多摩川の水質状況から生物多様性や森林の多面的機能、最後に国連の報告書から、熱帯雨林の炭素吸収と貯留機能や森林破壊に関する最新情報をレポートする。国連報告書は、輸入木材などの責任ある消費とトレーサビリティが森林破壊の削減に貢献し、農業が世界の森林破壊の80%を占めるなど、興味深い知見を提供している。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第24回】激変するエネルギー事情――日本が進むべき方向は
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年12月号
 国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)17の目標の7番目はエネルギーに関するもので、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な現代的エネルギーへのアクセスを確保する」という目標である。本稿ではエネルギーの基礎知識を復習兼ねて解説する。今回は、特にエネルギーの歴史や最近の状況についても概要をまとめてみた。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第23回】甘くない自然災害と治水の弱点──多摩川下流における台風19号被害でわかったこと
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年11月号
 津波や高潮、さらに異常ともいえる台風や豪雨による洪水や浸水などで日本列島は想定を超える深い傷を負うようになった。洪水を防止する河川堤防に関しても安全性に対する不安が一層高まっている。今回の台風19号では堤防だけでなく、支流と本流の合流地点や樋門、内水氾濫を防止するマンホールなど排水システムの「構造上の不連続部分」が河川管理の弱点となった。
 今回は多摩川下流沿いの浸水被害について、中小工場の被害概要を簡単に触れてから、浸水の原因について現段階の情報を提供し、河川システムの基本知識について解説したい。今年7月に製造業向けに河川災害に関する講演をさせていただいたが、そこで説明したマンホール経由の逆流浸水等が東京と川崎の間を流れる多摩川で現実に発生した。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第22回】  化学的酸素要求量(COD)と全有機炭素(TOC)の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年10月号
 日本国内の排水基準に関して、生物化学的酸素要求量(BOD)基準値は河川へ放流する排出水に、また化学的酸素要求量(COD)基準値は海域と湖沼への排出水に限って適用される。両者とも有機汚濁に関する指標である。排水中の有機汚濁物質が多量に環境水中に放出されると、有機物を餌として微生物が増殖する。これらの微生物によって有機物が分解され、同時に水中の溶存酸素が消費される。その結果、溶存酸素が減少して嫌気化するため、水質が悪化し、水生生物が死滅もしくは生息しにくい状態になる。
 COD測定によって、水中の有機物の量を短時間で定量化できる。 CODの最も一般的な用途は、湖沼などの地表水、または廃水に含まれる酸化性の有機汚濁物質の定量化である。本記事では主に、CODと全有機炭素(TOC)について基本的事項を解説し、米国における最新情報も提供する。安価で利便性の高いCODの簡易テスト法もレポートする。なお、より正確な情報は最新法令やJISなどを必ず参照いただきたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第21回】生物化学的酸素要求量(BOD)と排水の測定義務――測定記録を生データ含め保存しないと罰則が適用
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年9月号
 工場排水や河川の水質調査ではおなじみの生物化学的酸素要求量(BOD)であるが、これは世界で最も長く測定されている分析項目である。現在のBOD測定法は1908 年にイギリス政府によって公式に採用されている。諸説あるが、下水など有機汚濁物質が川に放出されたとき、放流河川における5 日間の自然浄化の状況を予測するために考案されたといわれる。
 BODは有機物を好気的に分解するのに必要な酸素量である。有機物の定義は、一般的には「炭素を含む分子や化合物」を指し、糖類や有機酸など生分解性のものを中心に、糞便・し尿、動植物残渣、食品廃棄物、アルコール類、洗剤・石鹸、生活排水、脂肪なども含まれる。これらの有機物うち動物の排泄物などは、自然界に存在する細菌によって容易に分解され、最終的に二酸化炭素と水などになる。この生分解プロセスには酸素が不可欠である。
 河川で微生物が有機物を分解するときに水中の溶存酸素(DO)を消費するので、DO消費量が増える状態は、水がより汚れていることを示す。つまり、BOD値は少ないほうがよりきれいな水といえる。このようにBODは有機汚濁の指標となる。一方、河川などの環境に与える影響はBOD負荷量による。BOD負荷量とは、廃液や下水などの総排水量に、そのBOD濃度を乗じたものである。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第20回】プラスチック問題の基礎知識――EUのプラスチック規制と企業の責任
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年8月号
 今年になって発令されたEUのプラスチック指令では、使い捨て製品や漁具などに関しメーカーの責任を大きく拡大させている。消費者に対し使い捨てプラ製品が環境へ悪影響を与えるなど、目立つ警告表示が義務付けられる。さらに、プラスチック製品の生産者は、①意識啓発措置の費用、②廃棄物収集のコスト、③廃プラに起因する片付け費用と運搬及び処理費用などを負担する。リサイクルビジネスを活発化させるメリットはあるが、費用負担は企業にとって荷が重い。今回は、まずプラスチックの歴史を含む基礎知識について解説し、最後にEU 指令について概要を述べる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第19回】激変する廃プラ事情――マレーシアなどが日本などへ廃プラを強制返還
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年7月号
 中国が環境への影響を懸念して廃プラ輸入を2018年からほぼ全面禁止した。その影響で、各国のスクラップ業者はマレーシアやタイなど東南アジアに再生資源として転送した。そのため大量の輸入ゴミで問題が各国で発生している。中国が輸入禁止した低品質の混合ごみは容易にリサイクルできず、そのほとんどは埋立処分されるか不法に焼却される。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第18回】地下水汚染の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年6月号
 工場跡の汚染発覚から数十年も経過して、担当者が全員代わってしまうケースも少なくない。国民の半分が地下水を飲用する米国で水文学の基本的事項が幅広く教育されているので、その中からいくつか重要な事項を新任者向けにまとめてみた。環境省ガイドラインとあわせて、企業の担当者が地下水汚染を検討する際に参考になれば幸いである。なお、最新情報など詳しい内容は、水理専門家や地質コンサルタントなどに照会することをお勧めする。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第17回】日本のエネルギー事情──水素社会は到来するか?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年5月号
 公害防止管理者は「使用する燃料または原料の検査」という法律上の責務がある。そこで、燃料などエネルギー全般について企業の環境担当者が知っておくべき歴史や現状など、最新情報を含めわかりやすくまとめた。記事の半分近くは小中学校の参考書に掲載されているテーマなのでぜひご一読いただきたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第16回】ダイオキシン類汚染の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年4月号
 何十年も前に廃業し売却した工場があり、その関連会社と合併したところ過去のダイオキシン類汚染が発覚して対策費用を存続会社が負担することがある。原因者がすぐに断定できない場合、ダイオキシン類対策特別措置法では先に浄化対策等を実施して、あとから費用を企業に請求する。今回は11 億円もの費用を請求された事例を紹介し、カネミ油症事件(1968年)も簡単に触れてダイオキシン類について少し復習してみたい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第15回】廃水処理の基本概念と用語解説――米国の処理技術の基本は日本と同じか?
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年3月号
 冒頭で二つの事例を報告する。最初は、工場廃水を含む下水汚泥に金が含まれ汚泥焼却後の溶融飛灰等が4,000万円で売却された例。次に「ショック放流」とも呼ばれる非定常廃水の話題を提供する。そして、米国大学の一般教養課程で使用される「環境科学」テキストの中から、工場廃水の処理方法について概要を紹介する。日本の手法とほぼ同じである。最後に、米国専門書および『新・公害防止の技術と法規 2019 年版』(産業環境管理協会刊)を引用させていただき主たる環境指標についてわかりやすく解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第14回】太陽光発電施設が豪雨で危ない――事例でみる埋立残土や再生土が崩落するリスク
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年2月号
 千葉県市原市、長南町や多古町などにある太陽光発電施設用地で埋め立て土砂が崩落する問題が複数発生している。斜面や谷間に残土や再生土を大量に取り込むと大雨で崩落する危険がある。2018年11月に、市原市では大量の再生土が崩落し幹線道路を埋めた。この事故では約3万6,500m3 という不安定土砂を撤去するため、道路は3か月以上も通行禁止になっている。最近の千葉県調査によると、再生土で造成した土地で法面(のりめん)勾配が安全基準を超えた違反が34 か所で確認されたという。過去の残土埋立地・不法投棄跡地でも同様なリスクがあると思われる。
 異常気象による豪雨や台風の頻発、地震などの自然災害を鑑み、事業者は造成地の堰堤・擁壁などの法面に関し、次のようなチェック項目で異常がないか定期的に点検することを検討すべきである。
 ・法面にひび割れなどクラックの発生はないか
 ・法面に、膨らみや歪み、湧水などはないか
 本稿では、太陽光発電施設用地(林地開発地)の崩落事故をレポートし、太陽光発電事業のリスクと造成土地の法面点検法なども簡単に触れる。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第13回】大気汚染の主犯は記録的な山火事――歴史上最大規模の山火事と米国の伝統的排ガス処理技術をレポート
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2019年1月号
 昨年は埼玉県熊谷市で気温が41℃を超えたが、温暖化の影響は各国で顕在化している。アメリカでは史上最大級の山火事が発生している。火災の影響(大気汚染)で遠くにある学校も閉鎖される事態となったが、どうも火災拡大は温暖化も影響しているようだ。今回の記事ではカリフォルニアの巨大山火事と米国の大気汚染についてレポートする。
 産業界における大気汚染問題はNOxやSOx、PMが主流であるが、二酸化炭素といった温室効果ガスに対してはCCSが検討されている。しかし発生源から制御するか大量に植樹して地球規模で森林を増加させるような知恵や工夫も必要になる。排ガス中のCO2を回収して人工光合成による固定化をするなど将来の新技術にも期待したい。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第12回】会社役員が酒酔い運転で人身事故――欠格要件で産廃許可が取消し
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年12月号
 大手の事業所では子会社などで産廃処理業の許可を保持し、さらに破砕・圧縮や汚泥脱水など施設設置の15 条許可を得ているケースも多い。大手企業向け研修で、廃棄物関連の事業や施設設置の許可が取り消しになる「役員等の酒酔い事故」を警告したところ、某ベテラン法務担当から「役員の個人的罰則と会社の業務は一切関係ない」と一喝された。廃棄物規制の厳しさをご存じない法務担当や弁護士、経営層が少なくないことに改めて驚いた。
 その研修のあとで、残念なニュースが世界に発信された。ヒースロー空港で酔っ払った日本人パイロットが逮捕された事件である。最近になっても酒酔い運転やあおり運転など危険運転に関するニュースが目につく。産廃の許可を持つ法人の役員等が、酒酔い運転の事故や危険運転などで禁錮刑(執行猶予含む)、もしくは廃棄物処理法などで罰金刑が確定すると、勤務先の業許可や施設設置許可も取消処分になる。今回は酒酔い運転と産廃関連許可の取消しについて解説し、さらに、罰則が強化されたばかりのマニフェストと難しい欠格要件のポイントを説明する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第11回】地球の歴史に関する原則──現在は未来へのカギ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年11月号
 地震による土砂崩れや洪水による浸食・堆積など現在生じている災害(地形形成)は、スピードこそ異なるが過去においても起きているという「斉一説(せいいつせつ)」がある。これは、天変地異説(Catastrophism)に対する考え方といわれ、過去の現象は現在の状況をじっくり観察することによって理解することができる、つまり、「現在は過去へのカギ」といわれている。自然地層を対比して観察するときにとても「合点がいく」伝統的な概念である。
 本稿では、地層の逆転がない限り下部にある地層は上のものより古い、という「地層累重の法則」、そして、コペルニクスの唱えた地動説を含む地質学の伝統的な基本法則についてわかりやすく解説した。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第10回】地球環境は人口増加によって壊滅的影響
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年10月号
 産業革命以降に地球の人口が急増し、予測では2050年以降に1987年の約2倍である100億人になる。その100億人の生活水準が向上すると、資源やエネルギー、食糧、飲用水などの需要が増加し地球の持つ供給能力をはるかに超える。想定よりも早く地球の自然環境は壊滅的に悪化するかもしれない。
 新しい学問分野である環境地質学は、人類が引き起こす環境問題と自然災害をどのように対処すべきか、問題解決に向けた科学的知見を提供してくれる。今回は環境地質学の関連トピックスを解説する。なお、米国大学で使われている一般教養課程の教科書も参考にして国際潮流に整合した解説に努める。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第9回】排水処理の基礎──食肉植物と有害なホテイアオイ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年9月号
 大正9年に「成東食肉植物産地」という名称で国の天然記念物に指定された場所がある。ここは湿生植物に関する生物多様性が実感できる場所だが、日本で大変ポピュラーな水草「ホテイアオイ」が実は有害植物として世界で認識されている。2016 年8 月にはEC域内で販売が禁止されている。本稿の前半では水質を悪化させる植物などをレポートする。
 後半ではレッドフィールド比を解説する。深層海洋の無機態窒素とりんの比は16:1 でほぼ一定であり,海洋表層の植物プランクトン体の炭素:窒素:りんの比は一般的に106:16:1(レッドフィールド比)とされている。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第8回】排水のサンプリングと保存方法――疑問が生じたら分析機関など専門家に相談するのがベスト
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年8月号
 工場や事業所では経費を削減するため、かつ、水質分析の目的を達成するために必要最低限の手順を採用することが多い。公定法による水質分析は外部機関に委託している事業者が多いので、事業所レベルで高度な分析技術は必要ないという話もよく聞く。しかし、本稿で述べるような採水や試料保存に関する基本的事項は、不測のトラブルやコンプライアンス違反を予防するために必要な知識だと思われる。米国の手順などと比較しながら日本の採水法や試料保存の基本的事項について報告する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第7回】ハイテク工場跡地の30年にわたる汚染浄化 ――要措置区域及び形質変更時要届出区域の対応
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年7月号
 千葉県君津市に、揮発性有機化合物( VOC)による汚染で有名になったハイテク工場がある。この半導体工場では、地下水揚水と土壌ガス吸引などによる浄化を約30 年間にわたり継続している。最近になって工場の操業をすべて終了し、特定施設の使用を廃止するため、法に基づく調査結果を千葉県に提出した。その結果、工場跡地は要措置区域等に指定され、指示された浄化措置等の計画書が土地所有者から千葉県に提出され受理された。
 浄化計画に関する君津市の環境審議会に続き住民説明会が2018 年6 月に実施され、工場建屋など43 棟の解体と、土壌汚染対策法に準拠した汚染対策工事が開始された。これまで公開された情報や過去の経緯・データなどから事実関係をまとめた。後半では住民説明会の状況をレポートする。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第6回】粘土鉱物の生成メカニズム――粘土の持つ驚くべき特性
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年6月号
 丘陵を掘削した事業所敷地内で、マグマ噴出物であるスコリアが数十年で粘度鉱物に変化しているのを発見したことがある。粘度鉱物はシェールなど頁岩、泥岩やシルト岩さらに砂岩などが風化変質して生成される。一方で、地殻に広く存在する長石などの化学的風化により粘土鉱物が新たに生成される。河川の浸食・運搬・堆積といった作用も含め、粘土鉱物の興味深い特性や生成メカニズムについて解説する。
<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第5回】進化した砂ろ過でも前処理が必要
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年5月号
 

 砂ろ過は砂の隙間で汚濁物質をトラップする物理的除去法と認識されるが、実は生物学的および化学的プロセスも利用して汚水を浄化している。米国環境保護庁(EPA)は「砂ろ過では生物学的プロセスが最も重要な役割をしている」と述べている。本稿では砂ろ過の基本的事項を解説し後半で、マイクロフロック法とワイヤースクリーンの技術について簡単に紹介する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第4回】日常の環境用語をアメリカではどのように理解しているか
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年4月号

 ニューヨークをベースにテキサスやテネシー、ジョージア州などにおいて現場で学んだアルカリ度、BODなど基本的な環境用語について解説する。国内の環境コンプラや水処理など環境業務において日常的に使用する用語の本質を理解するのに海外知見も役立つ。記事後半では、アルカリ度、BODとCOD、さらにブラウンフィールドや地下タンク等について簡単に解説する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第3回】河川の基礎知識──放流河川に泡発生? 住民クレームの対応実例など
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年3月号

 最初に住民クレームの実話を紹介し、雨水調整池の基本的な機能や導入事例について説明する。有機汚濁物質BODと溶存酸素DOは極めて重要な汚濁指標であるため最近の米国大学テキスト等も引用して溶存酸素垂下oxygen sagなど自然浄化の基本メカニズムについてもやさしく解説する。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第2回】水の恐ろしさ――実際に目撃した水の破壊力と侵食力
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年2月号

 東北の地震によって高さ7. 6 mもの津波が房総半島の裏側にまわって集落を襲った。津波は川を遡上して被害を周囲に拡大させた。現地を踏査したのでその状況を簡単に報告する。次に蛇行した養老川を改修し流路を直線化したところ満水時に流速が大きくなり河岸や河床が浸食された事例を紹介する。コンクリート三面張りの人工水路だけでなく自然の流路を尊重する国際的な動きもある。そこでテムズ川の洪水対策や河川の浸食作用等について、東京大学などで使用した教科書を引用し、わかりやすく解説した。

<シリーズ>【環境担当者のための基礎知識/第1回】河川の基礎知識――事業所の排水システムにも応用できる
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示2018年1月号

 豪雨の場合に河川は想定を超えて豹変する。膝上程度の水深でも人は立っていられず転倒し流されてしまう。頑丈な自動車も深さが1mもないような場合でも激流に呑まれると、簡単に押し流され犠牲者が出ることもある。その理由として、「流水スピードが高くなると運搬可能な最大荷重は流速の3~4乗に、運搬可能な最大粒径( 直径の大きさ)は流速の6乗にも達する」ことをご存じだろうか。さらに濁流に大量の土石や流木が混ざると破壊力が増す。
 一般的に河川の流速や流量は、流域の降雨量、河床勾配など河川形状や地形、河川を構成する地質や構造物などによって複雑に変化する。工場や事業所敷地内の排水路や放流河川などを注意して観察すると、侵食、運搬、そして堆積という河川3作用がみられる。そこで洪水を含む河川の初歩的な基本知識について解説する。

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