環境管理バックナンバー 2018年 8月号

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2018年8月号 特集:産廃処理のリスクと改正廃棄物処理法

<特集>

産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事にきく 循環経済先進国を目指して──廃棄物処理法の変遷と循環型社会の未来
語り手:産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事 由田 秀人氏聞き手:産業環境管理協会 専務理事 黒岩 進氏
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 1990 年に発覚した豊島事件は、処理費用負担への排出事業者の責任感の欠如、適正なコストを反映しない違法な処理、無許可操業の横行など、産業廃棄物処理における構造的な問題を明らかにし、その後の廃棄物処理法の抜本的な見直しへとつながった。その後、わが国では、廃棄物の適正処理、減量化、リサイクルなど、循環型社会への道を着々と歩んでいる。本記事では、廃棄物処理法の改正、各リサイクル法の制定等、循環型社会形成のための法体系の制度設計に深く関わった産業廃棄物処理事業振興財団 専務理事 由田秀人氏に、産廃業界の変遷と現状、我が国が描くべく循環型社会、循環経済の姿について語っていただいた。
産業廃棄物処理業のこれまでとこれから
北村 喜宣(上智大学 教授)
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 清掃法の時代から複雑怪奇といわれる現在の廃棄物処理法まで、処理制度の48 年間を振り返る。適正処理からかけ離れた「適当処理」や不法投棄が多かった廃棄物処理業の歴史的背景を解説し、最近の優良業者認定制度から発想を転換させた「スーパー優良業者」についても論じる。排出事業者も完全な自己処理が困難であるため、産業廃棄物処理業者なくして適正な廃棄物管理は不可能である。
 排出事業者はESG投資の流れの中で自らの廃棄物処理パフォーマンスを高めることが求められる状況になり、投資家や消費者などから「優良排出事業者」という評価がされる時代もそう遠くないと考える。
最終処分された廃棄物に対する排出事業者責任について
佐藤 泉(弁護士)
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 民間の最終処分場が倒産し、許容量以上の埋立等により環境汚染が発生している場合、排出事業者は責任を負担するべきであろうか。
 福井地方裁判所平成29 年9 月27 日判決はこの問題について、排出事業者の処理責任に照らし、支障除去に必要な費用を負担する義務があると判断した。当該最終処分場には産業廃棄物と一般廃棄物が搬入されており、本判決では、事務管理費用償還請求として、産業廃棄物処分を委託した排出事業者及び一般廃棄物処分を委託した市町村が、行政代執行により発生した対策費用を案分して負担すべきであるとしている。
平成29 年廃棄物処理法の改正等について
白鳥 幹久(環境省 環境再生・資源循環局 総務課 課長補佐)
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 食品廃棄物の不正転売事案をはじめとする廃棄物の不適正処理事案の発生や、いわゆる雑品スクラップの不適正な保管等による生活環境保全上の支障の発生等を踏まえ、適正処理の推進(許可を取り消された者等に対する措置の強化、マニフェスト制度の強化)、いわゆる雑品スクラップ対策、親子会社による産業廃棄物の一体的処理の特例等を措置した廃棄物処理法の改正(平成29年)等が行われた。本稿では、これらの改正事項及び関連する政省令について解説を行う。

<トピックス>

プラスチックストロー大騒動
本誌編集部
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 プラスチックごみの削減政策で、イギリスのメイ首相は本年4月、プラスチック製ストローの販売を禁止する方針を表明した。年間85億本もの使い捨てプラスチック製ストローを規制の対象に含めることで、海洋を汚染するプラスチック廃棄物の削減をめざす。世界のプラスチックストロー騒動を報告する。
 
 使い捨てプラスチック製品は禁止/アメリカでも自治体がストロー禁止/アジアでも規制開始/マクドナルド&スターバックス/欧州の動き/国連の動き

<総説>

原位置熱脱着浄化技術を用いた土壌浄化技術
和知 剛(株式会社 エンバイオ・ホールディングス)/松浦 彰男(日本シーガテック株式会社)/俵 一生(日本シーガテック株式会社)
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 揮発性有機化合物(以下、VOCsという)による土壌汚染の浄化においては、2017年4月よりクロロエチレンが土壌汚染対策法の特定有害物質に追加された。基準は土壌溶出量及び地下水においては、0.002mg/L以下であり、トリクロロエチレンやシス−1,2−ジクロロエチレンの基準と比較して1オーダー低く、適合させることが厳しい基準となっている。従来、バイオレメディエーションを適用したケースでも、クロロエチレンが特定有害物質に加わったことで、施工の手間が増加し、費用の高額化、浄化期間も延びるケースが増えることが予想される。そのため、今後、原位置浄化を諦めて掘削除去を選択するケースや浄化に着手できず塩漬けになる土地が増えると考えられる。
 ここで紹介する原位置熱脱着技術は、浄化する地盤中を約100℃まで加熱することにより、土壌中からVOCsを脱着させ、地上で回収させるものである。そのため、過去に使用していたテトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の元物質と、それらの分解の過程で発生したクロロエチレンを同時に地中から除去することができる。
 クロロエチレンが土壌汚染対策法に追加されたことにより、原位置熱脱着は必ずしも高額な施工方法ではなく、高濃度VOCsの対策として、費用対効果の高い工法の選択肢として検討が可能になると考えている。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第27回】ドイツの電力事情(2)──CO2削減は進んだか?
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 本連載の前々回において、何かと注目されるドイツのエネルギー・環境政策を取り上げるシリーズの第1回として「ドイツの電力事情── Energiewendeとは何か」を寄稿した。そこで述べた通り、Energiewendeは、将来的な化石燃料価格高騰への対処やエネルギー安全保障の確保、原子力事故の危険性排除などのリスク軽減、及び再生可能エネルギーに関わる新たな雇用の創出といった広範な目的意識の下で進められている「エネルギー転換政策」である。しかしその目的の大きな一つが温暖
化対策であることは間違いがない。
 ドイツは電力需要の30%以上を再生可能エネルギーによって賄うなど、再生可能エネルギーの導入については順調な進展が伝えられる一方で、温室効果ガス削減についてはあまり芳しい状況ではない。本来、再生可能エネルギーの導入は手段であって目的ではなかったはずだ。なぜ本来の目的たるCO2削減がそれほど進まないのか。現状を整理し、ドイツの温暖化政策の今後を考えてみたい。
【新・環境法シリーズ/第78回】化学物質による環境破壊、いわゆる「香害」について
川上 陽子(フランス・トゥールーズ第1大学 法学博士)
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 環境問題は世界のグローバル化に伴い、被害者と加害者が特定できない問題が増えてきている。アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は、原因不明の慢性疾患、あるいは、個人の体質の問題として片付けられているが、日本のみの近年の患者の激増の減少は現代人の体質だけでは説明できない。本稿では、要因の分析を科学的に行うのではなく、要因を減らすための法政策、つまり、ヨーロッパ(主にフランス)と日本との化学物質のリスク管理の法制度の考察を行い、問題点を明らかにする。
【合理的環境主義者の視点/第5回】地球温暖化に日本はどのような戦略で取り組んだらよいか?
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
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 日本にとって危険なのは、極端な排出削減を目指すことである。工場がなければ、日本は何の技術も生み出さない国になる。汎用目的技術(GPT)の進歩によって温暖化対策のコストを下げ、大規模な排出削減を可能にする「二重の迂回戦略」を提案する。
【産廃コンサルタントの法令判断/第29回】産業廃棄物に関わる帳簿とは?──備えなければならない事業者と、効率的な運用方法
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第29回)。

【ニュースから読み解く環境刑法/第1回】スタート環境刑法
今井 康介(法政大学 人間環境学部 兼任講師/国立国会図書館外部調査員)
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 大学で環境刑法を教えている今井康介と渡辺靖明(法政大学講師)の二人の若手研究者が、新聞記事等の身近で具体的な環境ニュースを素材にして、環境犯罪及びその罰則、さらに刑法に関わる法律用語などについて紹介・解説をします。「こういう罰則があるからご注意!」、「捕まるとどうなるのか?」ということを中心に検討し、読むと少しトクするような内容にしていきたいと考えています。今回は、「環境刑法」とは何か、「環境犯罪」の原因、及び環境犯罪が発覚したあとにどうなるのかという点について説明します。
【環境担当者のための基礎知識/第8回】排水のサンプリングと保存方法――疑問が生じたら分析機関など専門家に相談するのがベスト
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 工場や事業所では経費を削減するため、かつ、水質分析の目的を達成するために必要最低限の手順を採用することが多い。公定法による水質分析は外部機関に委託している事業者が多いので、事業所レベルで高度な分析技術は必要ないという話もよく聞く。しかし、本稿で述べるような採水や試料保存に関する基本的事項は、不測のトラブルやコンプライアンス違反を予防するために必要な知識だと思われる。米国の手順などと比較しながら日本の採水法や試料保存の基本的事項について報告する。
【先読み! 環境法/第74回】船舶の再資源化解体の適正処理に関する法律が成立――環境汚染防止のシップリサイクル条約締結のための国内担保法の整備
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 有害物質や重金属類が含まれている大型船舶の解体には、重大な環境汚染や労働災害が発生する。そこで2009年に採択されたシップリサイクル条約を締結するために成立した「船舶の再資源化解体の適正処理に関する法律」について解説する。また、「海洋プラスチック憲章」の署名を見送った日本が「海外漂着物処理推進法」に盛り込んだマイクロプラスチック問題への暫定的な対応について考察、さらに日本のプラスチック戦略の参考としてG7の海洋プラスチック憲章、欧州プラスチック戦略の概要を紹介する。
 
❶船舶の再資源化解体の適正処理に関する法律が成立――環境汚染防止のシップリサイクル条約締結のための国内担保法の整備
❷ 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海岸漂着物等の推進に関する法律の一部を改正する法律が議員立法で6月14日に成立
❸ 日本のプラスチック戦略の検討――サーキュラー・エコノミーの潮流
環境法改正情報(2018年6月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉省エネルギー法
◉農薬取締法
◉労働安全衛生法
◉毒劇法
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