環境管理バックナンバー 2011年 7月号

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2011年7月号 特集:震災・災害と企業のリスク管理

<特集>

企業のBCP(事業継続計画)とBCM(事業継続マネジメント)について
永井直樹 株式会社インターリスク総研 コンサルタント
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 災害等のアクシデントがあっても,事業を継続するための計画が事業継続計画(BCP)である。また,BCPの維持・改善に取り組む社内体制や管理システムを事業継続マネジメント(BCM)という。BCPの策定は,1)許容される復旧時間内の重要業務復旧,2)重要業務の許容限界以上の操業度での継続,という2点に主眼を置く。また,BCMは,1)方針,2)計画,3)実施及び運用,4)教育・訓練の実施,5)点検及び是正措置,6)経営層による見直し,というBCPを永続的に維持・改善する一連のサイクルの活動である。

有効なBCP構築に役立つ事業継続マネジメントシステム
米澤寿員 BSIグループマーケティング本部プロダクトマネージャ
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 3月11日に発生した東日本大震災はマグネチュード9.0を記録し,東北地方を中心に深刻な被害をもたらした。事業継続マネジメント(BCM)はこのような大規模な自然災害,パンデミックが発生した際,主要な製品及びサービスを中断から目標時間内に目標レベルまで復旧させるための仕組みである。事業継続マネジメント構築のステップは,主要なステークホルダーからの要望,事業の分析により適用範囲を決め,事業インパクト分析,リスクアセスメントにより主要な製品及びサービスの最大許容停止時間,復旧のレベルを定めて戦略を立て,事業継続計画(BCP)を構築し,演習により課題を洗い出し改善していく仕組みである。事業マネジメントの仕組みはすべての業種,企業規模に適用可能なマネジメントシステムで,全世界で導入が進んでいる。本稿では事業継続マネジメントの実質上の世界標準であるBS25999-2について解説する。

合理的な地震リスクマネジメントのための地震リスク評価
高杉 剛 応用アール・エム・エス株式会社
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 本稿では,地震リスクの定量評価と地震リスクマネジメントへの活用を考察する。地震リスクの定量評価は,「地震活動度モデル」,「地震動予測モデル」,「被害損失予測モデル」,「地震リスク算定モデル」の四つのパートで構成される。定量評価の結果は地震リスクカーブとして表現される。地震リスクカーブは財務へのインパクトとその発生確率の関係を表わし,自社の財務状況やリスク回避度に応じた意思決定を支援する。また,耐震補強や地震保険付保等の対策効果を可視化し,合理的で適切な地震リスクマネジメントを実行していく上で有用なツールとなる。

震災・災害に対する本質を踏まえたリスク管理・危機管理
橋本 正 橋本環境安全コンサルティング 代表
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 2011年3月11日,東日本大震災が発生した。マグニチュード(M)9.0の超巨大地震と,超巨大津波を伴って東北地方を主に甚大な被害となっている。そして同時に福島第一原発事故が発生し,現時点においても危機的状態が続いている。この大震災は日本の観測史上最大であり,世界的にみても4番目の規模であり,壊滅的な被害と原発事故を伴って国家的な危機状態になっている。この震災においては,致命的な被害がかなり発生した。一方,致命的になる一歩手前で留まった事象も随所にあった。致命的な被害がどうして発生したか,被害を少なくする方法はなかったか,今後どのように対策していくべきか,について考える。そして致命的になることを防ぐには「本質を踏まえたリスク管理・危機管理」が重要であることを説明する。

既存建物の耐震対策による地震災害への備え
鱒沢 曜 株式会社イー・アール・エスリスクマネジメント部副部長
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 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,太平洋沿岸部に津波による甚大な被害をもたらしたほか,内陸部では地震動により継続使用が不可能となる施設が多数発生した。本稿では,地震動による建物被害に着目し,建物を構成する構造体と非構造部材のそれぞれの視点から,東北地方太平洋沖地震による被害事例,過去の被害地震と耐震基準等の変遷,耐震化の進捗状況および耐震対策方法について述べる。

電子デバイス製造工場の安心・安全を提供する竹中の「セキュア ファブ・ワークス」
川下泰範 株式会社竹中工務店 エンジニアリング本部 電子デバイス施設グループ課長
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 竹中工務店では,電子デバイス工場に要求される分子汚染や微振動制御,地球環境への配慮,事業継続性を含めたトータルエンジニアリングに取り組み,多くの実績を積み重ねてきた。本稿では,様々な災害に対する安心・安全や,歩留まり向上への高度な製造環境の実現を目指した技術・商品パッケージ,竹中の「セキュア ファブ・ワークス」より,日本のカントリーリスクで,サプライチェーンの寸断など広域に被害が波及する災害リスクと,二酸化炭素(CO2)削減に加え直近の電力不足への対応が不可欠となる省エネ化について,いま求められる対策技術と事例を中心に,その一端を紹介する。

<総説>

公害紛争処理法の現代的運用試論(前編)―韓国環境紛争処理法制を題材に
宇津木達郎 総務省公害等調整委員会事務局
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 貴方がある公害に巻き込まれたとしよう。貴方はどのような行動を取るだろうか。我慢?自主交渉?家族や友人・隣人に相談?市区町村に苦情?警察?弁護士?訴訟?種々ある解決手段から貴方は果たして,公害紛争処理法(以下,JEDR という。)による解決を選択するだろうか。そうでないとすれば,それはなぜか。本稿は,世界のEDRの範とされるJEDRの利点を確認し,制度利用が活性状況にある大韓民国環境紛争調整法(以下,KEDR)との比較から,現代の公害紛争事情により適合した制度運用及び利用(特にこの1~2年で利用が急増した原因裁定制度利用)のあり方を提言する試みである。前編では,EDRの目的・意義・アプローチからJEDRの概論,日韓の公害実態及びEDRの比較,KEDRの特徴抽出までを解説する。

<シリーズ>

【実践マテリアルフローコスト会計70】MFCAがマテリアルロス削減につながる理由
下垣 彰 株式会社日本能率協会コンサルティング MFCAセンターマネージャー 日本MFCAフォーラム 運営委員,運営委員会幹事,安城 泰雄 MFCA研究所代表 日本MFCAフォーラム 運営委員
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 企業におけるマテリアルロスの管理対象は,プロセスの一部や,使用するマテリアルの一部になっていることが多い。一方マテリアルフローコスト会計(MFCA)は,マテリアルロスのすべてをみようとする。MFCAでは,マテリアル別に,ロス物量の総量を算出する。その次にロスの内訳を整理し,内訳別にロスの物量を整理する。これまで管理しているマテリアルロスの物量を合計しても,ロス物量の総量と等しくならないことが多い。これは,「未知のロス」があることを示しており,MFCAが「未知のロス」の存在と物量を明らかにするからである。さらにMFCAは,マテリアルロスについて,廃棄物処理費用まで含めたコストを算出するが,これは改善の検討に有益な情報になる。このようにして,MFCAは新たなマテリアルロスの発見と改善につながって行く。

【日本の環境学部9】東京情報大学
原 慶太郎 東京情報大学総合情報学部環境情報学科教授
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 東京情報大学は,「実学主義」をモットーとする東京農業大学が「情報」の分野に特化して設立した「現代実学主義」を標榜する大学である。その名の通り,「情報」は単なるデータとしてではなく,それを利用して的確な意思決定を行い,実用的な価値を生み出すための材料として考えられている。価値を創造する具体的な事例として「環境学」がある。環境情報学科の学生は,得られる情報から何をつかむかを環境問題を通して具体的に学び,本物の情報リテラシーを体得する。そんな「現代の実学」の姿を,東京情報大学総合情報学部環境情報学科 原慶太郎教授に聞いた。

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