環境管理バックナンバー 2014年 7月号

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2014年7月号 特集:進化する土壌・地下水浄化技術

<特集>

コラム 土壌・地下水汚染と企業のリスク管理
本誌編集部
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 土壌・地下水汚染と企業のリスク管理について解説する。
土壌汚染対策法の施行状況及び最近の土壌環境行政について
柳田貴広 環境省水・大気環境局土壌環境課課長補佐
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 平成14年に成立した土壌汚染対策法は、平成21年に改正され、平成22年4月より施行されている。有害物質による土壌汚染に起因する人の健康被害を防止するために、一定の機会を捉えて土壌汚染状況調査を実施し、汚染状態が基準に適合しない場合は、区域の指定等を行い、汚染された土壌を適切に管理していくことになる。また、最近の動向として、土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について検討がなされている。
 本稿では、現行法の概要と土壌環境基準等の見直し等、最近の動向について述べる。
土壌・地下水汚染のリスク管理技術総論
駒井武 東北大学大学院環境科学研究科教授
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 土壌・地下水汚染は目に見えない潜在型の環境汚染であり、その浄化にあっては土壌や地層などの環境媒体の特徴、汚染物質の移動性や反応性などの諸特性、さらには汚染現場の状況を包括的に評価して対処することが重要である。とりわけ、汚染現場における曝露の可能性やリスクレベルを把握することは、合理的な浄化対策及び持続可能なリスク管理を進めるために必須と考えられる。
 本稿では、土壌・地下水汚染のリスク管理の基礎となるリスク評価システムや浄化技術の総合評価手法を紹介し、推進すべき技術的、社会的な取り組みやリスク管理のあり方について総合的に論じる。
バイオレメディエーションによる塩素化エチレン類の完全分解技術
永井宏征 AGCエンジニアリング株式会社地質環境事業部主任
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 2010年に土壌汚染対策法が改正され、掘削除去の偏重から原位置浄化への転換が望まれるようになった。特に揮発性有機化合物(VOCs)汚染については、低コストのバイオレメディエーションが多く施工されるようになってきた。しかし、バイオレメディエーションを導入したものの、発がん性をもつ物質など新たに生成する分解物質が地中に蓄積してしまい完全浄化ができない例も報告されている。
 そこで本稿では、バイオレメディエーションによる完全浄化に必要な要素を検討し、さらに今までバイオレメディエーションが適用できないとされていた場所へのアプローチ法についても提案する。
ハイブリッド化した注水バイオスパージング工法の適用事例
大石力 大成建設株式会社環境本部土壌・環境事業部第一技術室課長代理
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 注水バイオスパージング工法*1、2は、揮発性物質に対しては、主にスパージングによる気化回収効果、ベンゼンやシアン化合物などの生分解性の有害物質に対しては、好気性微生物の分解効果を高める原位置浄化工法であり、揚水・注水量をできるだけ抑えて運転管理する場合が多かった。
 本稿では、注水バイオスパージング工法を適用し、ベンゼンやシアン化合物だけでなく、揚水・注水による浄化が必要なひ素、鉛、カドミウムによる複合的な地下水汚染を工期内に浄化完了した施工例として、豊洲新市場土壌汚染対策工事(7街区)における地下水対策を紹介する。
微細気泡を利用した汚染地下水の好気性微生物処理
宮田剛史 清水建設株式会社エンジニアリング事業本部土壌環境事業部
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 石油業界では、事業所等の統合・再編によって、閉鎖された事業所などではベンゼンによる土壌・地下水汚染の問題が顕在化してきている。
 ベンゼン汚染対策として筆者らは、掘削除去等の物理的処理に比べ低コストで浄化が可能な原位置浄化技術の一つである「微細気泡を利用した地下水汚染の好気性微生物処理」を提案している。
 ここでは、この処理技術の特徴を解説するとともに、施工事例や取り組みについて報告する。
泥水式シールド対応の自然由来砒素汚染土壌の新しい浄化技術
毛利光男 清水建設株式会社エンジニアリング事業本部土壌環境事業部主査/博士(地球環境学)
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 自然由来の重金属を含む地質は日本全域に分布するため、山地部および平野部における建設工事で微量の重金属を含む地質に遭遇する可能性は少なくない。首都圏においても湾岸部を中心に広い範囲の地質(固結シルトなど)に低濃度の砒素が含まれていることが知られている。このような自然由来の砒素を含む地質においてシールド工事を実施する場合には、掘進に伴い発生する大量の砒素汚染土壌を迅速かつ低コストで浄化する技術が必要不可欠となる。首都圏における泥水シールド工事において大量に発生すると予想される自然由来砒素汚染土壌の新しい浄化技術の概要を述べる。
化学酸化剤を用いた原位置浄化技術
小川えみ 株式会社アイ・エス・ソリューション
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 精密機械製造業等、溶剤を取り扱う工場や、石油製品を取り扱う油槽所等では、トリクロロエチレン等の塩素化VOCsや油分が、不適切な取り扱いや漏洩により土壌汚染の原因となっている。これら物質による土壌汚染の対策として掘削除去工法を採用する事例が多いが、深部まで到達した汚染に対しては施工が困難であり、施工した場合も膨大な費用が必要となる。化学酸化剤による原位置浄化対策は、塩素化VOCsや油分を浄化する工法として有効な浄化技術であり、掘削除去に比較して安価に施工できることが多い。本稿で示す化学酸化剤による原位置浄化も含めた複数種類の工法を事前に検討対象候補とすることにより、確実かつ負担の少ない措置を選択することが可能になる。
土壌汚染管理における課題
光成美紀 株式会社FINEV 代表取締役
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 土壌汚染対策法施行後11年超が経過し、土壌汚染に関する不動産取引や鑑定評価、企業会計や融資等の実務ルールも整備され、土壌汚染の問題は企業経営、社会経済的な影響が深くなっている。また、海外新興国でも土壌汚染の法規制化が進んでおり、海外進出を続ける日本企業にとっても海外拠点における土壌汚染リスクの管理が必要になっている。
 一方、土壌汚染対策法では、健康被害防止という観点で法制度が制定され、社会経済的な視点が含まれていない。国内でも環境と経済の両立する枠組み、土壌・地下水汚染の管理と土地の有効利用が可能になる仕組みや制度の構築が望まれる。

<総説>

改正水質汚濁防止法への対応と実際について
坂本大 国際環境ソリューションズ株式会社営業部
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 地下水汚染の未然防止を目的とした水質汚濁防止法の改正が一昨年から施行され、事業者は構造基準の遵守と定期点検の記録が義務づけられることとなった。
 本稿では、当社がこれまで行ってきた法改正への対応と、定期点検の具体的な方法を紹介する。その上で、本改正は事業者の創意工夫を認める、柔軟性を持った法運用が求められていること、そして事業場内のインフラを見直す契機としてまず機能し、それが事業者の未然防止のための自主的な意識改善と管理につながっていくことの重要性について述べる。
揮発性有機化合物(VOC)排出抑制の取組に関する最近の動きについて ― 産業構造審議会産業環境対策小委員会における検討とVOC 排出抑制セミナー等の再開について
橋森武志 経済産業省産業技術環境局環境指導室大気係長
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 平成18年4月以降、VOCを排出する工場等の固定発生源に対し、法規制と自主的取組とのベスト・ミックスにより、排出抑制対策が求められてきた。自主的取組については、現在、継続的な取組を行う企業の姿勢を示すとともに、産業界と国民との間の信頼性の向上にも繋げるため、自主的取組の内容を産業構造審議会産業環境対策小委員会に報告・共有してもらうことになっている。また、自主的取組をさらに充実させていくため、VOC 排出抑制セミナーを開催するなど、参加企業の拡充に向けた取組を進めている。VOC排出抑制の取組に関する最近の動きについて紹介する。
JIS Z 8852:2013 排ガス中のダスト濃度の 連続測定方法について
佐藤昌幸 横河電機株式会社科学機器部ガス分析課課長/田中敏文 株式会社田中電気研究所代表取締役社長
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 ダスト自動計測器(ダスト濃度計)は大気汚染防止装置の性能維持や監視において重要であり、測定結果の信頼性向上を図るためにも標準化が求められていた。こうした状況の中、すでに制定されていたISO規格をベースにして排ガス中のダスト濃度を連続測定する方法に関するJIS規格(JIS Z 8852:2013 排ガス中のダスト濃度の連続測定方法について)が制定された。そのJIS規格の内容について紹介する。

<シリーズ>

【受験ガイド シリーズ5】公害防止管理者試験の受験に関する主なQ&Aと解説
本誌編集部
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 当協会では、毎年10月の初旬に、「公害防止管理者等国家試験」を行っています。この連載では、国家試験や認定講習で公害防止管理者資格の取得をめざしている方を対象に、平易なガイド情報をお届けしています。7月の1か月間は、公害防止管理者等国家試験の申込期間です。5回目はこれに合わせ、資格の取得や受験申込手続におけるよくあるご質問について、解説します。
【よくわかる地球温暖化問題シリーズ4】欧州連合(EU)の 気候変動問題への対応
亀山 康子 独立行政法人 国立環境研究所
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 欧州諸国は、気候変動問題が国際政治の舞台で取り上げられるようになった1980年代より、世界の気候変動対策のリーダーであり続けた。1990年代に採択された気候変動枠組み条約や京都議定書は、欧州諸国がなければ存在さえしなかったかも知れない。しかし、近年状況は変化しつつある。本稿では、欧州諸国の過去から近年までの気候変動政策について記す。そして、2015年末に目指されている新しい国際枠組み合意に向けた国際交渉の中での立ち位置を予測する。近年の欧州の気候変動政策は、EU 統合を一気に進めてきた流れに対する反動と、経済低迷に影響を受けている。
【新・環境法シリーズ31】売却土地所有会社と買取り会社間の土地売買契約上の特約により、土壌汚染土地の瑕疵担保責任についての商法526 条を排除した事例について
加藤了 弁護士/人間環境問題研究会監事
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 被告会社所有の土地を売買契約により原告会社が取得し、その引渡しを受けて約8か月後にその土地に六価クロム・鉛等の有害物質が発見され、その土壌汚染*1による損害について、売主・被告会社と買主・原告会社間にて締結された土地売買*2の契約による売主・被告会社の瑕疵担保責任*3、商法526条の適用などをめぐる訴訟事案について検討する。なお、本稿の記載は、柳憲一郎先生の御配慮によるものであるため、改めて厚く御礼申し上げる次第である。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営27】食品の臭いに関する事業者の責任と対応策―クサイ臭いだけが悪臭ではない!
川波佳子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 飲食店の発する臭気が近隣住民との間で争いになる事例は、社会の都市化・高密度化、外食産業の発展、住宅と飲食店の接近・混在、住民の環境意識の高まりなどを背景に増加してきている。今回は、飲食店の発する調理臭や製菓工場の甘味臭という、直ちに悪臭とは言い難い臭気に関して争われた2 件の裁判例を取り上げ、事業者として取り組むべき対策について検討する。
【実務に使える産業廃棄物関連法4】誰が排出事業者となるか
佐藤 泉 佐藤泉法律事務所 弁護士
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 廃棄物を管理するためには、誰が排出事業者となるかを確定しなければならない。
 排出事業者は、事業活動に伴って廃棄物を排出する者である。ほとんどの廃棄物については、もとの所有者が廃棄を決定し、排出事業者として自ら処理又は、委託処理を行うであろう。しかし、複数の事業者が連携して事業活動をしている場合などは、誰が排出事業者になるべきか迷うケースも少なくない。
 本来排出事業者ではない者が、排出事業者となることは、無許可で委託を受けたことになり、廃棄物処理法に違反するのではないかという懸念が生じる。すなわち、誰が排出事業者に該当するか、という問題は、廃棄物処理業の無許可営業に該当しないか、という問題でもあるのだ。
 分社化、事業譲渡、管理業務のアウトソーシングなど、事業活動が複雑となっている現代においては、排出事業者を誰にすべきかという点は、廃棄物管理においてますます重要となってくるであろう。
【先読み!環境法25】改正大気汚染防止法とともに 6月1日に施行された政省令
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科/国際基督教大学教養学部講師
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❶ 改正大気汚染防止法とともに6月1日に施行された政省令
❷ 微小粒子状物質等専門委員会の設置と今後のスケジュール
❸ 放射性物質の環境影響評価に係る改正アセス法の基本的事項の改正について
❹ 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部改正について
【環境法改正情報】(2014年5月改正分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉大気汚染防止法
◉化審法
◉農薬取締法
◉省エネルギー法
◉容器包装リサイクル法
◉家電リサイクル法
◉自動車リサイクル法
◉高圧ガス保安法
◉廃棄物処理法
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