環境管理バックナンバー 2014年 12月号

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2014年12月号 特集:工場の事故防止とリスク管理

<コラム>

最近の工場事故 ◉事例紹介
本誌編集部
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 今月号は工場の事故や災害対策を特集した。公共水域への漏えい原因が爆発や火災である場合も行政では「水質汚濁事故」として対応する。特集にあたり関連する興味深い事件や参考事例を紹介する。

<特集>

化学プラント重大事故から学ぶこれからの安全管理
中村昌允 東京工業大学イノベーションマネジメント研究科客員教授
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 化学プラントの事故の背景要因は、現場力の低下である。これからの安全管理は現場力の低下を受け止めて対策を講じる必要がある。
 これからの安全管理のポイントは、「リスクゼロ」はあくまでも理念目標とし、重大事故防止に重点を置いたリスクベースの安全管理に移行することである。人的能力の低下は物的条件で補う必要があり、管理者・技術者は、製造現場により深くかかわり、設備・システム面から安全対策を講じる必要がある。これまでは対策を講じれば事故は起きないと考えてきたが、発生確率がゼロでない以上、事故は起こり得る。設備の本質安全化とともに、仮に事故が起きたとしてもそれが重大事故とならないような「減災」の考え方が求められる。
原因調査からみた火災・爆発事故
中村順 公益財団法人総合安全工学研究所事業部長
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 火災・爆発、漏洩などの事故について原因調査の方法と、それが目的である事故の真相と責任を明らかにすることにどのように関与しているかを紹介し、あわせてそうした事故調査の方法と結果が事故の再発防止や安全対策にも役立つということを紹介する。
 原因調査は決まった方法が定められているわけではない。いろいろな可能性について起こった結果から検討し、事故のシナリオを推定していくことになる。そして科学的にそれを証明していく方法をとる。
 最近多発する化学工場などにおける爆発・火災事故について事故原因調査の立場から解説する。
新たな高圧ガス事故の統計と解析(概要)
山田敏弘 高圧ガス保安協会高圧ガス/赤塚広隆 高圧ガス保安協会高圧ガス部
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 平成23年1月から改正施行された、新高圧ガス保安法事故措置マニュアルに基づき、改正前の平成20年から平成22年と、改正後の平成23年、平成24年の5年間を対象とし、新たな手法で高圧ガス事故の統計と解析を実施した。その結果、平成22年まで事故の原因とされた劣化・腐食等に代わって、管理不良が事故の原因としてクローズアップされた。このように、改正後の事故措置マニュアルによる統計と解析の結果は、事故の原因が明確化されるなどの成果が得られ、事故の未然防止、再発防止、保安教育及び事業所のリスク管理などに活用することが期待できる。
石油コンビナート保安行政の動向について
消防庁特殊災害室
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 コンビナート区域内の特定事業所の事故件数は、平成18年に初めて200件を超えて以降、高い水準が続いている。ここでは最近の事故を振り返り、その特徴と教訓をまとめた。
 さらに、石油コンビナート等の保安に関する規制を行う、消防庁・厚生労働省・経済産業省が共同でまとめた重大事故の発生防止に関する報告書を紹介し、事業所・関係業界団体が取り組む事項、そして国や関係機関が取り組む事項を示した。これにより、今後の官民が連携した災害防止対策の推進につなげたい。
最近の化学プラント重大事故から学ぶ──保安事故防止への取り組み
春山豊 一般社団法人日本化学工業協会常務理事
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 最近10年間保安事故が増加傾向にあり、特に平成23年、平成24年にかけて化学プラントにおいて深刻な事故が発生したことから、日化協としては「保安・安全の確保」は化学産業にとって最重要課題であるとのもと、様々な取り組みを行ってきた。具体的には、重大事故を二度と起こさないための取り組みとして「保安事故防止ガイドライン」を取りまとめ、約250の全会員企業・団体に配布し活用の普及を図ってきたところである。本稿ではこのガイドラインの趣旨・概要を紹介する。また現場で活用していただいている中から、技術伝承・人材育成への教育資料としての展開に関する強い要望もあり、様々な形態の化学工場の現場で活用できるように映像化(DVD)した形でまとめ発行したこと、さらには無事故無災害現場の活動の好事例を「保安防災・労働安全衛生活動ベストプラクティス集」として発行し、ガイドラインと併せ活用していただき、現場の安全の強化につなげていただいていることを紹介する。
サプライチェーンリスク分析を活用した地震リスクマネジメントとは
高杉剛 応用アール・エム・エス株式会社災害リスク事業部
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 東日本大震災以降、サプライチェーンの被災の影響を踏まえて事業継続計画を策定することの重要性が叫ばれている。これまでのリスク評価モデルでは、サプライチェーン被災の影響は評価対象外であった。
 本稿で紹介するモデルは、サプライチェーン被災の影響を考慮した完全に確率的なモデルである。
また、リスクを算定するだけではなく、被災後の生産回復過程を可視化し、ボトルネック要因を定量評価する機能を持つ。本稿では、モデルの定量評価方法を概観するとともに、合理的かつ適切に地震リスクマネジメントを遂行していく上での定量評価結果の活用方法を紹介する。
EHSマネジメントに求められるGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)
黒崎由行 環境ワークス株式会社代表取締役
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 大企業を中心に大規模な火災・爆発事故が頻発し、その多くでは事故調査委員会が設置され原因究明がなされている。その結論として、現場力の低下や設備の老朽化などが指摘されているが、それらを許してきた組織のマネジメントには深く言及していない。この点で、欧米のグローバル企業では、EHS(環境安全衛生)マネジメントおけるGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)が進んでいる。順守すべきEHSスタンダードを明確にし、それを監査基準としてリスクベースの監査をすることによりリスク低減に努めるグローバル企業から、日本企業が学ぶべき点は多い。

<総説>

Innovation for Cool Earth Forum(ICEF:アイセフ)第1回年次総会について
小浦克之 経済産業省産業技術環境局環境調和産業・技術室長
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 気候変動問題を解決するためのイノベーションの重要性に関して、世界の産官学のリーダーが集まって議論するための知のプラットフォームとして、いわば「エネルギー・環境技術版ダボス会議」ともいえる国際会議「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF:アイセフ)」の第1 回年次総会を、経済産業省とNEDOの主催により、本年10月8日に東京で開催した。
 本稿では、会議の開催に至った背景や考え方に触れつつ、会議での議論の概要及び付随して行われた取り組み等について紹介する。
改正水質汚濁防止法と公害防止管理者法に関して
宮川正孝 首都大学東京都市環境学部非常勤講師(元東京都環境局)
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 今日の我が国における水質保全上の主要課題の一つとして、地下水汚染の未然防止があるが、工場からの排水の水質改善を図り、河川などの公共用水域の水環境の向上に大きく寄与してきた水質関係の公害防止管理者等の制度は、地下水の水質保全に関しては十分に資する規定となっていない。
 しかし、「人材」という視点でみると、同制度は水質の分野において有害物質にかかる一定以上の知識等を有する、多数の水質関係第一種及び第二種の公害防止管理者を生み出してきた。
 喫緊の課題である地下水汚染の未然防止を図るためには、有害物質使用特定事業場において、そうした有害物質にかかる知識等を有する人材の活用を図ることが、事業場において改正水質汚濁防止法に基づく構造等基準等の遵守を推進し、地下水の水質保全を図るために有意義と考える。

<シリーズ>

【よくわかる地球温暖化問題シリーズ9】クライメイト・ファイナンス−気候変動に係る資金の話
亀山 康子 独立行政法人 国立環境研究所
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 気候変動対策には多くの資金が必要となる。特に途上国においては、温室効果ガス排出量の削減のためにも、対策の実効性を高めるために排出量や排出源などのデータを収集し分析するためにも、あるいは、すでに生じている気候変動の悪影響による被害を最小限に食い止めるためにも、資金を必要とする。気候変動枠組条約では、採択当初より資金に関する条項を設けているが、実際に上記の目的を想定した先進国から途上国への支援金額は必要とされる額と比べて些細であり、途上国から改善が求められてきた。気候変動の資金にまつわる経緯と近況について解説する。
【新・環境法シリーズ35】地球環境条約レジームにおける報告制度の機能と役割に関する一考察
川本充 北九州市立大学法学部講師(2015年度)/前・龍谷大学地域公共人材政策開発リサーチセンターリサーチアシスタント
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 地球公共財としての地球環境の保全を行うためには、地球環境条約レジームのような包括的な法システムは必要不可欠である。「地球益」とも称すべき公共的な利益を保護していくためには、国際法や国際政治の果たす役割は、国内的、地域的な取り組みと同時に、きわめて重要である。
 これまでは「国際的なルール、原則」という「概念的なもの」としての理解から、その実効性についての疑問は払拭されてきた感がある国際法だが、気候変動枠組条約や京都議定書といった気候変動条約レジーム、オゾン層条約レジーム、生物多様性条約レジーム等、数多くの地球環境条約が成立し、国際制度として機能している今日、地球環境問題の現実的な解決のための実効性については、国際環境法学は、政策的な意味も含めて相応の関心を払う必要がある。
 本稿ではこうした問題意識のもと、地球環境条約レジームの制度構造を整理した上で、実効性確保のため重要な機能と役割を担う報告制度に光を当て、地球環境条約レジームの報告制度の機能と役割について考察したい。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営32】シェールガスにおける法的問題点(上流部門)
角田進二 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 近年シェールガスの開発に携わるため投資を検討している日本の企業も多く存在することを聞く。今回、紙面の関係から判例には深入りせず、特に米国における環境負荷の側面を検討し、法律的な問題を記載した。①現在投資及び調達をしている企業は、社会的責任投資及びCSR調達の観点から鑑み、環境上の問題点及びIEAの行動規範等の自主規制を検討し、投資先及び調達先を選択する必要がある旨、②今後日本においても、主にメタンハイドレートという非在来型天然ガスの採掘を検討する際、鉱山保安法等の主要な法律を遵守する他必要に応じて様々なステークホルダーとリスクコミュニケーションをとり自主基準の策定し、形骸化しないシステムづくりをすることが望ましい旨、記載した。
【実務に使える産業廃棄物関連法9】処理業者への情報提供、WDSガイドライン
佐藤泉 佐藤泉法律事務所 弁護士
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 排出事業者は、産業廃棄物処理業者に対し、委託する廃棄物を適正に処理するために必要な情報を提供することが必要である。このような情報が提供されないと、処理施設において火災、爆発、汚染物質の流出、施設の破損など重大な事故が起きて、従業員や近隣住民の健康にも影響を与えるおそれがある。
しかし、現実にどのような情報を提供する必要があるかについては、個別具体的に判断せざるを得ない。その結果、必要な情報の質と量について、排出事業者と処理業者の間で、認識の違いが生じることがある。また、排出事業者が意図せず、異物が混入してしまうこともある。
そこで、環境省は、廃棄物情報の適正な提供方法等について、廃棄物データシート(Waste Data Sheet、WDS)の活用を推奨するとともに、廃棄物情報の提供に関するガイドライン(WDSガイドライン)を作成している。
 排出事業者と産業廃棄物処理業者は、処理委託契約を締結する際、及び個々の廃棄物を排出する際に、廃棄物の適正処理に必要な情報を提供し、また受領することが重要である。
【先読み!環境法30】水銀廃棄物適正処理検討専門委員会 (第4回)に提出された報告案 --「水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について(案)」
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科講師
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❶ 水銀廃棄物適正処理検討専門委員会(第4 回)に提出された報告案
 ー「水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について(案)」
❷ 水質汚濁防止法施行規則の一部改正及び排水基準を定める省令の一部改正が12月1日に施行
 ー カドミウム及びその化合物について排水基準を0. 1mg/Lから0. 03mg/Lに、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準を0. 01mg/Lから0. 003mg/Lに強化

<報告>

「第19回リサイクル技術開発本多賞」受賞者の紹介
一般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター
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当協会では、平成26年10月17日(金)「機械振興会館」(東京、芝公園)において、第19回リサイクル技術開発本多賞の表彰式を行うと共に、続いて開催した3R先進事例発表会において、受賞者による報文の発表を行ったので併せて紹介する。
下水汚泥焼却灰を活用した産学官連携研究の概要
佐々木昭仁 岩手県工業技術センター/菅原龍江 岩手県工業技術センター/佐藤佳之 岩手県県土整備部(元 岩手県工業技術センター)/阿部貴志 岩手県立産業技術短期大学校(元 岩手県工業技術センター)/池浩之 岩手県工業技術センター
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 地域が排出する下水汚泥焼却灰と特別管理産業廃棄物(廃酸・廃アルカリ)を同時に消費し、地域が必要とする農業資材、環境・エネルギー資材、および公共事業資材の安定供給が可能なリンリサイクルシステムの構築を目指した。地域で廃棄される特別管理産業廃棄物の中には、海外輸出製品(RoHS 指令)対応により、水銀、鉛、カドミウムなどの有害物質を含まないものが多く存在した。また、アルカリを用いることで、下水汚泥焼却灰に含まれる重金属の溶出を抑制したリン回収が可能であり、さらに福島第一原発事故由来の放射能の混入も抑制されることが示された。
分級と改良を用いたゴミ混じり津波堆積土砂の再資源化に関する試験施工
高橋弘 東北大学大学院環境科学研究科/泉信也 東亜建設工業株式会社/柴田聡 株式会社森環境技術研究所
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 東日本大震災の被災地では、復旧・復興に向けた取り組みが精力的に行われているが、ガレキ混じりの津波堆積物は再利用が難しく、いまだ有効な利用法が見つからない状況である。そこで、このガレキ混じりの津波堆積物の効果的な再利用法を実証するため、津波堆積物からガレキを除去し、土砂分を全量リサイクルする試験施工を実施した。試験施工では、初めに浚しゅんせつ渫装置を用いて土砂分のみを浚渫し、その土砂分を「ソイルセパレータマルチ工法」により砂とフロックに分級した。さらにフロックを「繊維質処理土工法」により緑化基盤材に改良した。
平成26年度資源循環技術・システム表彰―表彰式挙行
一般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター
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 当協会は、平成26年10月17日(金)「機械振興会館」(東京、芝公園)において、片瀬裕文 経済産業省産業技術環境局長、中村崇 審査委員長(東北大学多元物質科学研究所サステナブル理工学研究センター・教授)ご列席のもと、「平成26年度資源循環技術・システム表彰」表彰式を挙行いたしました。

<シリーズ>

【環境法改正情報】(2014年10月改正分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉労働安全衛生法
◉化審法
◉省エネルギー法
◉土壌汚染対策法
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