環境管理バックナンバー 2022年 12月号

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2022年12月号 特集:資源循環の未来2022

<特集>

動静脈産業連携によるプラスチックリサイクルと炭素循環
吉岡 敏明(東北大学大学院 環境科学研究科 教授)
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カーボンニュートラル化の様々な検討の中で、プラスチックのリサイクルやバイオ化など、いわゆる「3 R+Renewable」の取組が活発化してきている。とりわけ、石油および石油化学産業などの原料供給側や、プラスチックを素材として製品化しているユーザー産業などの動脈産業の動きが際立ってきている。現状のリサイクルは、主にユーザー産業と消費者間で進められているものの、結果的には炭素循環のループから外れる状況となっており、石油関連産業への炭素循環は確立していない。炭素資源を扱う基幹産業である石油関連産業界をも含めた、新しい道筋による炭素循環を構築することが必要となる。同時に、バイオマス資源からの基礎化学原料も不可欠な要素である。そのためにも、動脈側と静脈側が有する様々なプロセス・技術を活かした動静脈産業連携を構築することが、新しいプラスチック資源循環と炭素循環を実現する鍵になる。

「 令和4年度資源循環技術・システム表彰(第48回)」「 令和4年度リサイクル技術開発本多賞(第27回)」「令和4年度3 R 先進事例発表会」実施報告
一般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター
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一般社団法人産業環境管理協会は、資源の効率的な利用の促進、循環ビジネスの振興を目的として、リデュース、リユース、リサイクルの先進的な取り組みを顕彰するために、毎年「資源循環技術・システム表彰」「リサイクル技術開発本多賞」を広く募集、表彰するともに、受賞内容の広報を目的として「3 R先進事例発表会」を開催している。
本年は、新型コロナウイルス感染拡大防止に留意しつつ、「令和4年度資源循環技術・システム表彰(第48回)表彰式」及び「令和4年度リサイクル技術開発本多賞(第27回)表彰式」を3年ぶりに開催した。また、「令和4年度3 R 先進事例発表会」も同日に開催し、オンラインでの参加を含め、200名以上の方にご視聴いただいた。

固体電解プロセスによる アルミニウムスクラップのアップサイクリング
盧 鑫(東北大学大学院 工学研究科 金属フロンティア工学専攻 助教)竹田 修(東北大学大学院 工学研究科 金属フロンティア工学専攻 准教授)朱 鴻民(東北大学大学院 工学研究科 金属フロンティア工学専攻 教授)長坂 徹也(東北大学大学院 工学研究科 金属フロンティア工学専攻 教授)
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アルミニウムはリサイクルの優等生として知られているが、それはあくまで量的な観点の話である。現行の再溶解法によるリサイクルは、品質の劣化を伴うダウングレードリサイクルである。低品質な再生アルミニウムの最終用途は、大量の合金元素含有が許容される自動車用エンジンブロック等の鋳造・ダイカスト製品である。しかし、電気自動車の普及が進むと、内燃エンジンの需要は大きく減少し、低品質な再生アルミニウムの最終用途が失われ、使えないアルミニウム(デッドメタル)が大量に発生する恐れがある。
受賞論文の研究では、アルミスクラップを固体状態のまま溶融塩中で電解し、アルミニウムから典型的な合金元素を除去した。更に、鉱石からアルミニウム新地金を製造する際の半分以下のエネルギー消費で純アルミニウムに再生できることを示した。低エネルギー消費で、アルミニウムスクラップを純アルミニウムに再生することによって、真のアルミニウムサステナビリティの実現が期待される。

新規電気パルス法によるリチウムイオン電池の 高精度分離技術開発
所 千晴(早稲田大学 理工学術院 教授)浪平 隆男(熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 准教授)菊池 康紀(東京大学 未来ビジョン研究センター 准教授)
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リチウムイオン電池正極材の集電箔に塗布された正極活物質粒子を、化学的に変化させず高精度に分離する技術を開発した。これは、分離現象やプラズマ発生、伝熱に関する実験的可視化と電場伝熱シミュレーションや、分離前後の詳細な化学分析などを組み合わせ、これまで水中で複数回の印加を要する集合粉砕代替法として利用されてきた電気パルス法を改良し、水中のみならず空気中においても単発の印加にて高精度な分離に成功したものである。ライフサイクル評価により、当該技術は省エネルギー型の物理選別技術であり、温室効果ガス削減と資源効率向上を同時実現する可能性が高いことを確認した。

水平循環型リサイクルタイルカーペット 建築資材の循環システムにおける廃棄物削減による社会への貢献
津吉 壮児(住江織物株式会社 インテリア事業部門 コントラクト事業部 商品部 課長)
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従来、使用済みのタイルカーペットは産業廃棄物として埋め立て処理されてきた。市場では、リサイクル品の需要はなく、再資源化事業者が回収・リサイクルを試みても事業が成り立たないという悪循環が課題であった。これらの課題を解決するため、使用済みのタイルカーペットを市場から回収し・再資源化し、新たな製品化(水平リサイクル)を実現する技術を開発することで、廃タイルカーペットの循環システムを構築した。

清涼飲料業界としてのペットボトルの ボトルtoボトル(水平リサイクル)推進
岡本 晃忠(一般社団法人 全国清涼飲料連合会 企画部 部長)
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清涼飲料業界は、使用済ペットボトルを「地上にある資源」と位置付け、「ボトルtoボトル(水平リサイクル)」を推進している。ボトルtoボトルは何度でも同じペットボトルにリサイクルでき、資源循環とCO2排出抑制の両面で貢献できる。
業界では、2030年の「PET100%有効利用」や「ボトルtoボトル比率50%以上」の宣言を通し、業界内外の様々なステークホルダーと連携し、ライフサイクル全てを網羅した仕組み化により、「サーキュラー(循環)&エコロジカル(地球との共生)・エコノミー」の実現とボトルtoボトルにおける「社会システム」の構築に取り組んでいる。

店舗什器・自販機の循環型サプライチェーン構築
井野 大地  横井 聖一  高野 聖也  大磯 友里菜(伊藤忠メタルズ株式会社 リサイクルビジネス推進事業部)
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従来全国展開企業の産廃処理業務は、多くの企業で本部、本社での管理体制が不十分な状態で各エリア、店舗に委ねられており、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)に違反するリスク等の問題を抱えていた。当社が各エリア、店舗の産廃処理業務の管理代行を引き受け一元管理することで、法令違反リスクを大幅に低減した。
また、各地域に分散していた産廃処理を集約することで規模の経済性を創出し、産廃処理にかかるコストを削減した。さらに、産業横断型のプラットフォームを構築し、コンビニ、店舗什器メーカー、飲料メーカー等の業界で産廃処理の利便性が向上した。

植物油系電気絶縁油による高い環境性とゼロカーボン社会の実現
西川 精一(株式会社かんでんエンジニアリング 石油・環境統括部 技術・開発グループ グループマネジャー)
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最も身近なエネルギーである電気は発電所で作られ、そこから各企業、及び家庭に送られる間には変電所等を経由し段階的に電圧が変換されている。その役割を担う変圧器には、従来石油から作られた鉱油系の電気絶縁油の採用が主流で、そのほとんどが危険物で焼却処分時には大気中の二酸化炭素が増加することになる。本取組みは植物油から作られた電気絶縁油を普及することで、地球温暖化ガスの発生を大幅に抑制し、高い生分解性と防災性、及び機器の長寿命化を実現することで資源の有効活用を実現し、地球環境保全に貢献するものである。

木造家屋解体廃木材を活用した木質系アスファルト舗装材の製造
谷口 圭汰(田中建材株式会社 営業課)
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令和4年度資源循環技術・システム表彰(第48回) 一般社団法人産業環境管理協会 会長賞
下水汚泥のエネルギーポテンシャルを向上するオゾンを用いた可溶化反応装置
黒木 洋志(三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 主席研究員)大泉 雅伸(日鉄エンジニアリング株式会社 環境・エネルギーセクターエンジニアリング本部 マネジャー)
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令和4年度資源循環技術・システム表彰(第48回) 奨励賞/コラボレーション賞

基板剥離機 エココレクターの開発・製造
森 弘吉(株式会社エムダイヤ 代表取締役)
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令和4年度資源循環技術・システム表彰(第48回) レアメタルリサイクル賞

<特別寄稿>

ウクライナ戦争と地球温暖化
有馬 純(東京大学 公共政策大学院 特任教授)
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ウクライナ戦争によって世界的なエネルギー危機が進行中であり、エネルギー安全保障の重要性が再認識されている。エネルギー危機は化石燃料の需給ギャップによるものであり、新規投資が必要である。他方、1.5℃目標を絶対視する観点から化石燃料投資を罪悪視する傾向が強まっており、COPにおける議論とエネルギーの現実との間のギャップは大きい。欧州等が化石燃料も利用しつつエネルギー危機に対処する一方、温暖化防止を理由に途上国における化石燃料プロジェクトを制約すれば、先進国と途上国の分断を深刻化させる恐れがある。アジア唯一のG7メンバーとして2023年のサミット議長国となる日本はアジア等の途上国のエネルギーの現実を踏まえた議論を主導すべきだ。

洋上風力発電事業と漁業関係者の権利の調整
土岐 俊太(弁護士法人 大江橋法律事務所 弁護士)
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近年、日本でも洋上風力発電事業が盛んになっているが、洋上風力発電事業特有の問題として漁業との関係がある。漁業関係者は特に重要なステークホルダーとして、洋上風力発電事業を始める企業としては適切な交渉が求められるし、洋上風力発電事業に出資したり、当該事業を買収したりする際のデューディリジェンスという観点からも留意が必要である。本稿では、まず洋上風力発電事業の概要及び漁業権等の内容について整理しつつ、洋上風力発電事業と漁業関係者の権利の調整について説明する。

<レポート>

デザイン力による廃プラ素材の利用拡大 ― Recycling Meets Design 展レポート(大日本印刷)
本誌編集部
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大日本印刷が同社DNPプラザ(東京都新宿区)で、「Recycling Meets Design展『デザインの力』で再生プラスチックを活かしたい。」を2022年7月27日(水)~10月1日(土)まで約2カ月開催した。このデザイン展は多くのデザイナーやリサイクル業者、関連企業の協力で実施された。
「再生プラスチック」によるユニークなリサイクル製品の展示であり、デザインに力点をおいた作品や解説資料などが出展され大変参考になった。さっそく展示内容をレポートする。

電子廃棄物をアート化して社会・環境問題解決に挑む 美術家 長坂 真護氏
本誌編集部
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<シリーズ>

【弁護士からみた環境問題の深層/第24回】産業廃棄物の不法投棄等の現状― 不法投棄撲滅へ向けた取り組みと課題
村谷 晃司(弁護士法人 フェアネス法律事務所 弁護士/日本CSR 普及協会 環境法専門委員会委員)
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 産業廃棄物の不法投棄等の件数は2000年頃から徐々に減少してきている。しかし未だに大規模な不法投棄等が発生し、過去の不法投棄物も残存されたままの状態が見られる。また、刑事訴追される例も毎年発生している。不法投棄等の発生防止のために廃棄物処理制度の整備や罰則の強化が図られてきたが、不法投棄等事案の撲滅へ向けて、排出事業者は自らの責務を再度確認して適正処理の徹底を図るとともに、違反事案、違反行為に対しては迅速かつ実効的な対応が進められる必要がある。他方で、廃棄物の削減、リサイクルへ向けた各法制度の確認、取り組みも同時に必要である。
【産廃コンサルタントの法令判断/第81 回】産業廃棄物を一般廃棄物として処分し逮捕
佐藤健(イーバリュー株式会社 コンサルティング事業部コンサルタント/マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第81回)。

【環境担当者のための基礎知識/第58回】バイオマスボイラーから六価クロム― 建築材料の隠れた環境リスクを探る
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 石綿以外でも環境リスクなどが問題になる建築材料が多数存在する。今回は、バイオマスボイラー運転で六価クロムが発生したというミステリアスな事例と、建材で環境問題になりそうなものをいくつか取り上げてみた。日常の環境管理のお役に立てれば幸いである。
【新・環境法シリーズ/第130回】第44回ロンドン条約および第17回同議定書会合雑感
岡松 暁子(法政大学 人間環境学部 教授)
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 2022年10月3日から10月7日にかけて、ロンドンの国際海事機関(IMO)にて、ロンドン条約 および同議定書の締約国会合が開催された。本稿は、本会合で検討された議題のうち海底下地層への二酸化炭素隔離(CCS)(議題6)と、放射性廃棄物の管理の関連する事項(議題11)について簡単に紹介するとともに、今後の展望について述べることとする。

【先読み! 環境法/第126回】成長志向型カーボンプライシング構想の具体化に向けて
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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2022年10月26日に第3回GX実行会議が開催され、その会議で議論された「成長志向型カーボンプライシング構想の具体化に向けて」について、「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会、2022年5月19日の「クリーンエネルギー戦略中間整理」、GX投資推進の2020年10月の当時の菅総理の2050年CN宣言から2022年7月設置のDX実行会議までの流れの大筋について解説する。

1 成長志向型カーボンプライシング構想の具体化に向けて
2「 クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会からDX実行会議へ
3 GX投資の道筋と大枠を示した2022年5月19日の「クリーンエネルギー戦略中間整理」、6月7日の「経済財政運営と改革の基本方針2022」
4 GX投資推進の2020年10月の当時の菅総理の2050年CN宣言から2022年7月設置のDX実行会議までの流れの大筋
環境法改正情報(2022年10月改正分)
宇佐美 亮(一般社団法人産業環境管理協会 人材育成・出版センター 技術参与)
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◆労働安全衛生法関係

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