環境管理バックナンバー 2015年 7月号

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2015年7月号 特集:水素エネルギーの未来

<巻頭レポート>

吉野川環境紀行
本誌編集部
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 吉野川は、高知県、愛媛県、徳島県を流域に持つ雄大な河川である。吉野川の水源は高知県北部の愛媛県との県境近くの山深い地域で、年降水量3,000mmを越える多雨地帯である。山間渓谷地域を流れる上流には大おおぼけこぼけ歩危小歩危など観光地がある。下流平野部に入ると中央構造線に沿ってほぼ直線的に東流しながら徳島市で海へ注ぐ全長194km、流域面積3,750km2の四国最大規模の河川である。下流域の徳島県側は、上流部多雨地域の影響や、川幅が部分的に狭くなる特性などにより幾度となく水害に悩まされてきた。
 吉野川の沿岸地域では、江戸時代以前から洪水対策として独特の家屋建築がみられた。また、水害への備えとして独特の建物や構築物がみられ、その知恵と工夫には目を見張るものがある。それはノアの方舟を連想させる「浮かぶ茅葺屋根」や高い石垣、それに川沿いに続くマダケの水害防備林などである。これらが吉野川の洪水の歴史と地域特性を物語っている。
 本レポートでは、特に吉野川の下流域と最上流の集落を追った。

<特集>

世界中で動き始めた「水素社会」の展望
本誌編集部
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・燃料電池自動車(FCV)の発売と水素ステーション
・海外でのFCV導入の動き
・ドイツにおける水素インフラの整備
・【解説】水素の基礎知識
・【解説】水素を海外で生産し輸入―― NEDOの動き
・【解説】産業技術総合研究所の動き
・【解説】再生可能エネルギーによる水素製造
水素社会実現に向けた取り組み状況
大平 英二 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)新エネルギー部燃料電池・水素グループ 主任研究員
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 水素は多様な一次エネルギー源から製造が可能であるとともに、電気や熱、輸送用エネルギーとして利用可能といった柔軟な二次エネルギーである。また、エネルギーとして利用段階で温室効果ガスを排出しないという特徴がある。加えて、技術面において日本が強い競争力を有する分野である。これらのことから、水素をエネルギーとして利用する社会の実現は、エネルギーセキュリティ、環境及び産業競争力の強化という日本の課題の解決に向けて重要である。本稿では、水素をエネルギーとして広く利活用する「水素社会」実現に向けた取り組みについて紹介する。
低炭素な水素社会の実現に向けて
水野 紗也 環境省 地球環境局 地球温暖化対策課
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 水素は利用時において二酸化炭素(CO2)を排出せず、再生可能エネルギーをはじめとした多様なエネルギー源から製造が可能であることから、地球温暖化対策やエネルギー安全保障等に貢献するエネルギーとして期待されている。
 本稿では、環境省が低炭素な水素社会実現に向けて実施している、交通分野等における水素関連技術の開発・実証、再生可能エネルギーの貯蔵・水素利活用の実証、地域における低炭素な水素利活用の促進等の取組を紹介する。
浮体式洋上風力発電による水素生成とその利活用
佐藤 郁 戸田建設株式会社 エネルギーユニット
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 環境省では平成22 年度より、長崎県五島市で浮体式洋上風力発電施設の実証事業を行っており、平成25年10月には国内初となる2,000kW浮体式洋上風力発電施設の商用運転を開始した。平成27年度は浮体式洋上風力発電の電力と隣接する島の水から水素を生成、圧縮水素として島内で利活用するととともに、残りをメチルシクロヘキサン(MCH)として貯蔵、別の島に海上運搬したあと、再び回生した水素により発電と給湯を行い、浮体式洋上風力発電による電気と現地の水による水素を用いたサプライチェーンを構築、実証した。
水素供給インフラに関する技術動向
中村 勉 JX日鉱日石エネルギー株式会社 中央技術研究所 水素基盤研究所長
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 エネルギーセキュリティー確保と低炭素社会構築のために水素エネルギーの活用が期待されており、官民挙げての水素インフラ構築への取り組みが進められている。本稿では水素製造から輸送、そして水素ステーションを含めた水素供給インフラに関する技術開発動向を紹介する。
水素を発見した科学者 ヘンリー・キャヴェンディッシュの謎
本誌編集部
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 1874 年、イギリスの代表的な物理学者マクスウェルは、100 年もの間、人知れず眠っていたある未発表原稿を発掘した。それは水素を発見した科学者として知られるヘンリー・キャヴェンディッシュの原稿で、その内容を一読したマクスウェルは驚愕した。そこには「クーロンの法則」や「オームの法則」など、キャヴェンディッシュ以降に発見されたはずの電気に関する研究が記述されていたからである。
 これらの発見はなぜ発表されなかったのか。「沈黙の科学者」のミステリアスな話を紹介する。

<報告>

浮遊固形物回収・分離の技術
本誌編集部
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 湾岸戦争時のペルシャ湾原油流出や東日本大震災による仙台湾油流出の回収、フランスで海岸400kmにわたって油濁汚染をもたらしたエリカ号事件の油回収で大活躍した日本企業の技術がある。本誌は液体移送テクノロジーを得意とする(株)ワールドケミカルを訪ね、水面浮遊物・浮上油回収システムのデモ運転を見学した。概要を現地から報告する。

<解説>

水銀による環境の汚染の防止に関する法律案
本誌編集部
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 第189回国会(2015年6月12日)で「水銀による環境の汚染の防止に関する法律案」の投票結果は賛成票234、反対票0であった。「水銀に関する水俣条約」の年内批准に向け政省令が整備され、温度計や蛍光灯内部の水銀使用など一定量の水銀使用製品が原則製造禁止となる。既存の水銀に関して「水銀等貯蔵者」に対する規制も強化される予定である。法律案の要旨について紹介する。

<シリーズ>

【産業界が取り組む地球温暖化問題シリーズ4】自主的取り組みの透明性・信頼性 の向上とISO50001
岡崎 照夫 日鉄住金総研株式会社 参与 環境エネルギー部長
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 「自主行動計画」をはじめとする産業界の自主的取り組みは、社会から常に透明性・信頼性の確保を求められている。そのため経団連は「第三者評価委員会」の設置により客観的に計画の評価や検証を行ってきた。本稿では、これまで行われてきたフォローアップの実績を概観するとともに、鉄鋼業界が産業団体として世界で初めて取得したISO 50001 認証、日本発の国際規格ISO 14404 認証の意義について解説する。
【先読み!環境法37】2020年以降の温室効果ガス削減目標を含む 日本の約束草案(政府原案)のパブコメ実施
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科講師
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 6月2日に開催された第29回地球温暖化対策推進本部にて、「日本の約束草案(政府原案)」(温室効果ガス削減目標26%)がとりまとめられた。6月のG7エルマウ・サミットにはこの政府原案で臨んだが、国際的な環境団体からは批判を浴び、エネルギー需給見通しのあり方が問われることとなった。その経緯を紹介するとともに、解決に必要な視点を示したい。
 ❶ 2020年以降の温室効果ガス削減目標を含む日本の約束草案(政府原案)のパブコメ実施
 ❷ 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案提出の経緯と仕組み

【環境法改正情報】(2015年5月分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉工場立地法
◉水質汚濁防止法
◉地球温暖化対策推進法
◉省エネルギー法

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