環境管理バックナンバー 2012年 8月号

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2012年8月号 特集1 新カーボンフットプリントプログラムの全体像/特集2 JEMAI平成23年度事業成果報告

<特集>

新CFPプログラムに期待する
石谷 久 東京大学名誉教授
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 カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム(CFPプログラム)」は製品・サービスの原材料調達,生産,最終消費,廃棄,リサイクルまでの全生涯における二酸化炭素(CO2)排出の実態を把握し,「見える化」して商品に表示させる取り組みである。当プログラムを開始するのに重要なのは,対象を正確に反映するデータベースの構築と利用者の適正なデータへのアプローチ,そのための支援サービスの整備である。CFPは現在,多様な評価機能が活用され,それがまた利用可能性を拡大し,普及が一層拡大していく段階といえる。(一社)産業環境管理協会が取り組む「新CFPプログラム」にこれから期待したい。

ISO 14067の動向
三宅麻美 一般社団法人産業環境管理協会
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 2008年に開発が始まった国際標準、「ISO14067―製品のカーボンフットプリント―算定及びコミュニケーションに対する要求事項及び指針」。これは環境マネジメント規格を取り扱う専門委員会であるISO/TC207において、開発当初より非常に大きな注目を集めている国際標準である。日本もこれまで当分野に関し、経済産業省を中心に国内制度試行事業を行い、その経験を基に国際標準化に積極的に参画してきた。今年4月より、当事業のプログラム運営を(一社)産業環境管理協会が引き継ぐこととなり、7月から本格的にプログラムが始動する中、本国際標準の速やかな開発には大きな期待が寄せられるところである。とはいえ本国際標準開発の討議の場では、未だ議論の焦点となる課題が残っており、本稿ではこれまでの開発動向とともに、現在大きな論点となっているポイントについて紹介する。

CFPプログラムにおけるコミュニケーションの在り方について
神崎昌之 一般社団法人 産業環境管理協会LCA事業推進センターLCA事業室/石塚明克 一般社団法人 産業環境管理協会LCA事業推進センターエコデザイン事業室カーボンフット事業チーム長
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 カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム(以下、CFPプログラム)における消費者等とのコミュニケーションの観点から、プログラム構築にあたって考慮した事項を整理した。すなわち他の環境情報開示プログラムの状況およびCFP日本フォーラムでまとめられたポリシーステートメントを参照し、さらにCFP参加事業者が有するライフサイクルコミュニケーションに向けての情報を確認した。今後のCFPプログラムを運用に当たっては、CFPプログラムの範囲内において開示する情報項目は必要最低限のものにし、それをベースに事業者が自身の裁量で自由に消費者等とコミュニケーションをして頂くものとしたい。

カーボンフットプリントはコミュニケーションのかなめ--みんなが幸せになる商品選びにつなげよう
大石美奈子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
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 「環境によい」ことは当たり前と言われる一方、グリーンウォッシュも気になる。真に環境に負荷をかけないものやサービスを選択するには、環境負荷の一面だけでなく、資源調達から製造、輸送、廃棄・リサイクルに至る「商品の一生」を知り、さらに各自の使い方も考慮し、総合的に判断する必要がある。二酸化炭素(CO2)の見える化「カーボンフットプリント」(CFP)は、そのための重要なきっかけとなる。消費者の関心を高め理解を進めるためには、表示方法や情報提供にさらなる工夫が必要であるが、消費者が理解を進めることで企業の取組みを応援し、さらに企業が消費者の期待に応える、という相乗効果も期待できる。

CO2の見える化と企業経営
河崎律宏 日本ハム株式会社社会・環境室
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 食品製造を主たる事業としている日本ハムグループが環境への取り組みを始めた背景,環境負荷低減への取り組みの過程において,どのように環境情報(環境負荷データ)を収集したのか,また,その環境情報と環境負荷低減活動とのつながりを述べる。 加えて,2007年より開始した商品の環境負荷を見える化する取り組み(エコリーフ,カーボンフットプリント)において,既に集約を始めていた環境情報をどのように活用したのか,また,商品へのCFP表示における今後の課題等を述べる。

アンモニア自動計測法の国際標準化調査研究
大野香代 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター国際協力事業室室長
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 電力等の燃料燃焼施設に設置されている乾式脱硝装置から排出するリークアンモニアの監視は、悪臭の防止だけでなく、脱硝触媒の性能劣化の監視や、処理装置の維持管理に必要不可欠である。本事業は、排ガス中のアンモニアの測定法で、日本で使用実績の高い方法を、ISOに新規提案し、規格化を行うことを目的として平成23年より実施している。本誌では、平成23年度に実施した、国内外でのアンモニア計測器の使用状況等の調査、精度管理試験やISOへの新規提案状況について報告する。

工場排水試験等に関するJIS開発事業の報告
大野香代 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター国際協力事業室室長/岩田修正 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター技術参与
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 水環境保全のための水質分析法として、国内で広く使用されている規格に、JIS K 0102(工場排水試験方法)がある。この規格には72項目にわたる水質の試験法が規定されており、これらは水質汚濁防止法等多くの強制法規に引用されている。本稿では、平成21年度~平成23年度に経済産業省の委託により実施した、当該規格の見直し・改正及び維持管理の効率化の調査に関する事業の成果を紹介する。

ISO/TC 207国標準化の動向について
三宅麻美 一般社団法人 産業環境管理協会
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 持続可能な発展と、これを実現するためのシステムやツールの開発が強く求められる社会情勢の中、環境マネジメント関連の国際標準化作業への積極的な参加がこれまでにも増して重要視されるようになってきた。当事業は現在も続く継続事業であるため、本稿においては、昨年度の事業成果を踏まえつつも、主に最新情報を提供することとし、本年6月下旬に行われた第19回ISO/TC207(環境マネジメント)バンコク総会における諸国際標準の開発状況に関する情報を中心に、(一社)産業環境管理協会が国内審議団体を務める、環境ラベル、環境パフォーマンス評価、ライフサイクルアセスメント、温室効果ガスマネジメント及び関連活動等に係る標準化に関し、その動向を紹介する。

平成23年度製品含有化学物質の情報伝達実態に関する調査について
出石忠彦 一般社団法人産業環境管理協会化学物質管理情報センター/松本 達 一般社団法人産業環境管理協会化学物質管理情報センター
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 本調査は経済産業省事業として産業環境管理協会が受託し,日本の産業界における国内外の化学物質関連法令への対応状況と,化学物質の自主管理状況の実態を把握し、製品化学物質管理施策の立案、実施のための基礎資料とすることを目的として実施したものである.調査内容は法令等への対応状況,管理システムの実態,相談窓口の開設による企業関心の実態であり、併行して調査期間における海外法令の改正動向を調査し、今後の化学物質管理施策に関する提言をとりまとめた。 調査の結果、直接取引がない場合も含めて海外の化学物質管理規制対応が企業活動に負担を与えている状況が明らかとなり、サプライチェーン上で製品のみならず情報の途絶リスクを低減させるためにも、低コストで効率的な化学物質管理が出来る仕組み作りを整備する必要があることが提案された。本稿では、その調査結果の概要を紹介しつつ、一般社団法人産業環境管理協会の取組について述べる。

貿易投資円滑化支援事業の「タイ国・マレーシア国製品含有化学物質管理推進体制構築支援事業」に対する専門家派遣への対応結果について
木村公明 一般社団法人産業環境管理協会化学物質管理情報センターアーティクルマネジメント推進室室長/ 胡桃澤昭夫 一般社団法人産業環境管理協会化学物質管理情報センター化学物質管理情報室主査
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 我が国における製品含有化学物質の情報管理については、平成18(2006)年の欧州RoHS指令(有害物質使用制限指令)施行より電気電子産業を中心に対応が行われ、アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)による製品含有化学物質の情報管理及び伝達の仕組みの構築、並びにその普及活動も同年より開始した。一方、我が国製造業のグローバル化ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は、我が国にとって不可欠なビジネスパートナーとなっている。このような中で、欧州REACH規則(欧州新化学物質規制)のような製品含有化学物質に関する規制にASEAN域内の産業界が十分に対応できなかった場合、我が国の産業にも大きな影響があると懸念された。このため、JAMPが提案する製品含有化学物質の情報管理及び伝達の仕組みをASEAN諸国に展開することが我が国のサプライチェーンの強化にもつながるものと考えられた。こうした中、(一社)産業環境管理協会では、平成20年度よりASEANに対するJAMPの普及活動の展開を支援してきた。本稿では、平成23年度に財団法人海外貿易開発協会(JODC)が実施した、貿易投資円滑化支援事業(タイ国・マレーシア国「製品含有化学物質管理推進体制構築支援事業」)への専門家派遣活動を通じて、アセアンの対象国へのJAMPの普及活動展開の様子について紹介する。

公害防止管理者等国家試験受験講習会の開催結果報告―国家試験対策講習会
柏木勇人 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター
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 我が国に公害防止管理者制度が発足し40年以上が経過している。この間、国家試験だけでも*130万人以上の合格者が誕生している。当協会では、公害防止管理者制度の発足(昭和46年)以来、「公害防止管理者等国家試験受験講習会」を開催し、工場や事業場の職員等で公害防止管理者資格の取得を目指す方の支援を行ってきた。平成18年には国家試験の制度見直しが行われ、それに呼応し本講習会も形を変えてきている。そこで本稿では、平成18年度からの新試験制度のおさらいと昨年度の本講習会の開催結果についての報告、本年度に開催する受講コースの概要についてご紹介したい。*1公害防止管理者の資格取得の方法として「国家試験」と「資格認定講習」2通りある。

公害防止管理者等研修シリーズの開催結果報告―公害防止管理者等リフレッシュ研修会・環境担当者向け廃棄物研修コース
柏木勇人 一般社団法人産業環境管理協会環境技術・人材育成センター
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 近年、「排出基準の超過」や「公害防止管理者による測定記録の改ざん」など一部の事業者の間で環境関連法に対する違反が相次ぎ、公害防止管理者制度をはじめとした事業者の環境管理体制に綻びが見受けられる。当協会では、平成20年度より事業場の公害防止管理者や環境管理担当者にもう一度法令遵守や環境管理について見直していただくため、「公害防止管理者等研修シリーズ」を開講し、これまで5,000名以上の方に受講いただいている。本稿では、平成23年度に開講した公害防止管理者等研修シリーズの実施状況について報告するとともに、最後に9月から開講予定の本年度の研修概要について紹介させていただく。

<シリーズ>

【新・環境法シリーズ10】ドイツ狩猟法―民間による鳥獣保護管理を可能にした精緻な法制度
高橋満彦 富山大学人間発達科学部准教授
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 近年我が国では、鳥獣被害の増加する一方で、狩猟者の減少が懸念されている。鳥獣保護管理には捕獲行為が伴うため、狩猟者が担い手の役割を果たしてきた。米国のように、行政が専門職員を雇って管理する方法もあるが、コストはかかるし、地域に根ざした狩猟者の技を代替するのは容易ではない。本稿では、民間による鳥獣保護管理に実績を有するドイツを取り上げる。ドイツでは、スポーツ・ハンターに管理捕獲を義務付けることにも成功しているが、それには狩猟権と猟区制など、狩猟者の法的権利の整備も重要であり、今後の我が国の制度設計にも参考となろう。

【環境法 法令違反から学ぶCSR経営5】ディーゼルエンジンの有害物質排出削減努力を怠った自動車メーカーが問われた責任-東京大気汚染公害訴訟を題材に
川波佳子 弁護士普及・環境法専門委員会委員
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 1996(平成8)年に第1次訴訟が東京地裁に提訴されてから高裁で和解するまで約11年もの間争われた東京大気汚染公害訴訟は、「判決のみでは解決できない種々の問題を含んでいる」として、国、都、及び旧・首都高速道路公団の他に自動車メーカーもが医療費助成制度の創設費を負担し、また、自動車メーカーが解決金を負担することで和解により決着した。この訴訟を契機として、車種規制の強化、運行規制の実施、自動車メーカーによるディーゼルエンジン搭載乗用車の見直し等が行われ、裁判の前後で自動車排出ガスの排出環境は大きく様変わりした。今回は、自動車メーカー7社に問われた責任に重点を置きつつ、東京大気汚染公害訴訟を解説する。

【天網恢々 廃棄物処理法許可不要制度5】容器包装リサイクル法編
長岡文明 BUN環境課題研修事務所
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 廃棄物処理法の伝道師BUN先生と仮想の総合商社の環境部門に所属するリサちゃんとの対話を通して廃棄物処理法を分かりやすく解説する。  第5回目も「容器包装リサイクル法」について話をする。

【先読み!環境法3】今後の化学物質管理に関する検討会の中間取りまとめ骨子案―化学物質の危険有害性情報のBtoCへの伝達の進め方について
小幡雅男 東京工科大学
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 今後の化学物質管理政策に関する検討会の中間取りまとめ骨子案―化学物質の危険有害性情報のB to C への伝達の進め方について/放射性物質汚染対策特措法がつくった三つの廃棄物処理スキーム―事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理の仕組み

【実践マテリアルフローコスト会計83】マテリアルフローコスト会計情報の利用可能性―日本電気化学株式会社における静電塗装工程の事例
天王寺谷達将 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程/  北田皓嗣 法政大学経営学部専任講師/  岡田 斎 広島経済大学経済学部教授/國部克彦 神戸大学大学院経営学研究科教授
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 本稿では、マテリアルフローコスト会計(以下、MFCA)情報の利用可能性について、特に設備投資意思決定プロセスと環境マネジメントシステムにおける活用局面に焦点を当て明らかにする。企業の持続的な発展のために、設備投資が重要であるのにもかかわらず、MFCAと設備投資意思決定の関係については究明すべき多くの課題が残っている。また、MFCAは環境管理会計手法である一方で、環境マネジメントシステムの中でのMFCAの活用局面については十分に明らかにされていない。本稿では、MFCA情報は「わかりやすさ」、「現金効果」という特徴を有するために、その改善見込み効果額は設備投資意思決定のプロセスに組み込める可能性があることと、その改善効果額はキャッシュで表れるので設備投資の原資を確保するために利用できる可能性があることを主張する。さらに、同様の理由から、MFCA情報は環境マネジメントシステムにも組み込めることを主張する。

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