環境管理バックナンバー 2014年 11月号

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2014年11月号 特集:バイオマス利用の現状と展望

<特集>

木質系バイオマス発電の展望
横山伸也 鳥取環境大学環境学部教授
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 2012年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が導入されて3 年目に入った。制度が導入された当初から原料木材の供給安定性が懸念されていたが、この問題が顕在化しつつある。
バイオマス発電は原料である木材価格が発電コストを決めているので、ある程度の規模がないと効率が低くなり、事業性は担保されない。木材収集・搬送の合理化が必要であり、木材の供給安定
性を担保する何らかの制約が必要になろう。一方、小規模分散型のエネルギー源としてはコジェネのような熱利用も図る制度を取り入れるべきで、このための小型高性能のガス化システムの開発が
求められている。
食料生産とエネルギー供給の共存を目指すさとうきび産業
寺内方克 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
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 原料を投入すると、石油も電気も加えずに製品ができあがる。さとうきびを原料とする世界中の製糖工場で、日常的に行われている生産活動である。食料である砂糖の生産を担う製糖工場は、さとうきびの搾りかすであるバガスをエネルギー源として、すべての工程を稼働させる省資源型の生産拠点である。その製糖工場が、原料であるさとうきびの品種改良と熱利用効率の向上、さらには新たな技術革新によって、エネルギー生産拠点としての能力も兼ね備えようとしている。
 ここでは、製糖工場での副産物利用と新たな技術により変貌する、さとうきび生産と製糖工場の未来像を紹介する。

<レポート>

農業廃棄物をフル活用―ネパールのエタノール工場
本誌編集部
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 ネパールで最も貧困な農村地域の一つといわれるルンビニ県(釈迦生誕地)で建設された小規模エタノール製造工場を取材した。工場は標高100m程の亜熱帯地域に立地し、サトウキビ起源の廃糖蜜Molassesを原料に、エタノール(アルコール類)を醸造・蒸留する。イネのもみ殻を燃料にしたボイラーで蒸気を工場に供給し、RO(逆浸透膜)処理した地下水を希釈水として利用する。サトウキビと自然エネルギーを使う理想的な環境配慮型の工場であるが、取材時には公害で隣接河川の魚が大量死し、悪臭問題がすでに発生していた。現地からその状況をレポートする。

<コラム>

カースト制度と「インディアン」と呼ばれた先住民族タルー
本誌編集部
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 ネパールのカースト/人種問題の深層を探ってみた。インドのガンジーは不可触民Dalitsを神の子ハリジャン(Harijan)と呼んでカースト制度の改善に努めたが、ネパールでもカースト制度が根深く存続する。一方、血統や生まれによるカースト階層から外れた先住民タルーは遺伝的にマラリア耐性があり、病原菌がはびこる危険なジャングルで何世紀も生き延びてきた。その熾烈な歴史をたどる。

<総説>

ネパールにおける ひ素地下水汚染の現地調査(速報)
駒井 武 東北大学大学院環境科学研究科教授/中村圭三教授ほかネパール調査チーム
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 ネパール国のテライ低地では、1990年後半から地下水の摂取による健康影響が報告され、2000年以降に、国際協力事業団JICAや現地のNGOなどによって広域の現地調査が行われてきた。特に、ナワルパラシ地域の多数の集落では、井戸水に含まれる高濃度のひ素の曝露により健康障害が生じていることが指摘された。筆者らは、2007年よりナワルパラシ地域の30以上の集落を対象に現地調査を実施し、地下水中のひ素の濃度やその分布、地質環境と帯水層との関係、ひ素による健康リスクの軽減対策を中心に検討を進めてきた*1。その結果、飲料水中のひ素による健康被害が確認され、その影響が広域に及んでいることを確認した。本報では、2014年の3月と8月に実施した現地調査及び各種解析の結果について速報する。
ネパール・テライ低地における気候環境の現地調査
中村圭三 敬愛大学国際学部教授/松本太講師ほかネパール研究チーム
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 ネパール南部中央のルンビニ県ナワルパラシ郡ピパラにおいて、2012 年3月から本年8月まで総合気象観測を実施しデータを解析した。その結果得られた主な知見は、次の通りである。①気圧はモンスーン季に低く、冬季に高い年周期で変動する。② 2012 年4月後半から6月中旬までの日最高気温は、連日40℃を超えた。③モンスーン季にはENEの風が卓越し、全風向の30%以上を占めた。④プレモンスーン季およびポストモンスーン季の風向には、日変化が認められる。⑤水蒸気圧は、モンスーン季に高く、冬季に低い年周期を示すが、相対湿度は、モンスーン季から冬季までの期間、80~100%で推移した。
国際標準でグローバルビジネスに勝つ
胡桃澤昭夫 一般社団法人産業環境管理協会国際協力・技術センター主査
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 企業に対する製品やサービスにおける環境配慮が持続可能な社会を実現するために強く求められている。我が国の企業における環境配慮の努力はすでに始まっており、先進的な企業では数十年来の歴史が積み重ねられている。国際標準化機構(ISO)においては、1992 年の「環境と開発に関する国連会議」(環境サミット)を契機として、「持続可能な発展を支援する環境マネジメントシステムとツールの分野における標準化を管轄する専門委員会」として環境管理専門委員会(TC 207)が1993 年に設置され、日本は、ISO/TC 207の設立当初から、当分野における標準化活動に積極的に参加してきた。
 本稿では、ISO/TC 207における国際標準化作業の最新動向を紹介するとともに、環境経営を推進するための国際標準規格への取り組みの有効性について述べる。

<トピックス>

エコプロダクツ2014 開催概要
安井基晃 一般社団法人産業環境管理協会企画・広報室室長
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 12月11日(木)から13日(土)にかけて当協会と日本経済新聞社との共催で東京ビッグサイトにおいてエコプロダクツ2014を開催する。エコプロダクツ展は、環境調和型製品の普及と市場の拡大を目的に1999 年にスタートし、今回で第16 回目の開催を迎えることとなった。社会の変化とともに「環境」に求められるものも絶えず変化しているが、今回のエコプロダクツ2014では、「見つけよう! 未来をかえるエコの知恵」をテーマに今の社会に求められている情報を発信する。本稿では、エコプロダクツ2014での当協会の活動紹介を中心に展示会の概要を紹介する。

<シリーズ>

【よくわかる地球温暖化問題シリーズ8】COP20で期待されること
亀山 康子 独立行政法人国立環境研究所
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 気候変動対策を目的とした包括的な国際法である「気候変動枠組み条約」では、具体的な国の義務までは規定されていないため、その下で追加的な制度を構築していく必要がある。京都議定書の中で、先進国は2008年から2012年まで排出量削減目標を規定し、さらに一部の先進国は2013年から2020年までの新たな削減目標も設定したが、米国や日本、途上国は、現在、法的拘束力のある削減義務を持たない。京都議定書の効果が限定的になる中、新たな制度の再構築が目指されている。今年(2014年)末に開催される「気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)」では、この新しい制度構築プロセスの最終段階に向けて、どのようなことを決めていかなければならないだろうか。
【新・環境法シリーズ34】オーストラリアの気候変動に関する政策動向─政策手段の歴史的変化とその要因
中村明寛 タスマニア大学PhD
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 オーストラリアの気候変動政策は近年、著しく変化している。2012年の炭素税の導入では、従来の「参加型・インセンティブ型」の気候変動政策から「法的拘束型」への移行を目指したが、2014年の炭素税の廃止により従来の参加型へと回帰している。本稿では、オーストラリアにおける過去26年間の気候変動政策手段の変化とその要因を分析し、今後の政策課題について考察する。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営31】設置許可が取り消されたことを違法とする 損害賠償が認められたケースが 教えてくれること
渡辺昇一 弁護士・日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 産業廃棄物処理場の建設は、地域に大いなる環境問題を及ぼす可能性がある。そこで、廃棄物処理法により、適正な手続き、要件認定が要求されることになる。この過程では、この法律以外にも、行政指導や、公害防止協定等による法律以外のコントロール手段も利用される。地域の意見を広く聞き、専門家の意見も取り入れるなどして、設置の許可を出し、建設後も計画が実行されているかを確認することが予定されている。
 平成26年3月13日に判決が出されたケースでは、施設の設置許可がなされたが、その後、行政指導による自主検査の過程で計画が達成されていないという測定結果が出たことを契機に、許可が取
り消された。これは、その測定結果が信用性に乏しいこと、この過程でなされた行政側の改善命令が必要性以上のものを求めているということで、行政の責任を認めて、損害賠償を認めたものであった。この事案では、施設は完成したが、操業はされぬままの状態となっている。事業者としては、今のところ相当額の損害賠償は認められたが、操業を行うという当初の計画は達成できなかったわけである。法律が定める事項以外の事柄に関しても慎重に手続きを踏んでいくことが重要であることを、本件は教えてくれる。
【実務に使える産業廃棄物関連法8】処理業者への現地視察、優良性認定制度
佐藤 泉 佐藤泉法律事務所 弁護士
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 排出事業者は、産業廃棄物の処理を委託するにあたり、収集運搬及び処分等の委託契約書を作成し、さらに排出時には産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付しなければならない。しかし、廃棄物処理業者の処理施設等で発生する不適正処理や事故の防止には不十分であるとして、排出事業者が処理業者の事業場を訪問し、適正な処理が行われているかにつて確認することが必要であるという条例の制定が続いている。また、廃棄物処理法も平成22年改正において、一部このような現地確認の重要性を配慮した規定を盛り込んだ。
また、産業廃棄物処理業者の優良性を促進するため、上記改正において、優良性認定制度を導入している。
 このような状況から、排出事業者は、処理業者の現地視察を積極的に行い、産業廃棄物処理業者とのコミュニケーションを促進して、信頼できる産業廃棄物処理業者と契約するとともに、相互に協力して適正処理を推進することが望ましい。
【先読み!環境法29】平成27年4月1日の施行を控えた「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化 に関する法律」の準備が最終段階に
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科講師
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❶ 平成27年4月1日の施行を控えた「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」の準備が最終段階に
❷「 中間貯蔵・環境安全事業株式会社法」とする日本環境安全株式会社法改正案を国会に提出
【環境法改正情報】(2014年9月改正分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉高圧ガス保安法
◉労働安全衛生法
◉特化則
◉農薬取締法
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