環境管理バックナンバー 2021年 3月号

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2021年3月号 特集:グリーンリカバリーとサーキュラーエコノミーの今後

<巻頭レポート>

製造業に科せられる巨額の罰金や改善命令――アメリカ政府による罰則適用の実例
本誌編集部
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  米政府から約3億円の罰金と約300億円を要する施設改善を命じられた化学会社や40億円相当の施設改善命令を受けた非鉄メーカーなど、最近の米国事例をレポートする。大手企業では、他社の違反例を教訓にして環境保全策や内部監査などを見直して法令順守を徹底する。そのため、従業員の環境教育にも力を入れている。
 全米の製造工場や事業所では、毎日のように連邦環境保護庁(以下、EPA)から大気浄化法や水質浄化法などの違反通知(違反罰)を受け取っている。スーパーファンド法など有害廃棄物や汚染土地の規制も、連邦と州政府の両方から高頻度で発動される。当然ながら日系の会社や事業所も含まれる。違反通知を放置もしくは理由なく拒否するとEPAから訴訟を提起され、代表者や責任者が裁判所に召喚される。
 トランプ政権下では、連邦レベルの環境規制を廃止もしくは緩和させ、EPAの予算や職員も大きく削減させ機能を弱体化させた。しかしEPAは、環境法令の違反に対して工場や事業場などに改善命令や罰金を課している。そこで日本企業にとっても参考になる最近の事例をいくつか報告する。なお、違反者名など詳細はプライバシー保護のため省略する。
2020年度米政府の環境施策報告
本誌編集部
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  米国環境保護庁(以下、「EPA」)が実施した昨年度の環境コンプライアンス施策を特報する。EPAは昨年度も引き続き、大気質や水環境の改善、清潔で安全な飲用水の提供、化学物質の安全性確保などに焦点を当てた。鉛塗料、VOC対策、さらにエンジンの排ガス試験を欺きすり抜けるデバイスの摘発など、特に、昨年前半においてEPAは法令順守の監視を過去10年で最も強化し、多数の罰則や制裁を科している。2019年度よりも差し止め制裁や裁判の和解件数も増えている。具体例を本稿で抜粋してレポートするが、最初にEPA所管の新型コロナに
ついて少し触れる。
最近の気になるニュース・クリッピング
本誌編集部
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⦿地震でタンクから灯油が流出
⦿ボイラー制御盤トラブルで油の漏洩
⦿新潟県で油流出事故が193 件
⦿浄水場システムがハッカー被害
⦿家庭ごみ置き場に産廃は出せない
⦿伝票や領収書などの不法投棄
⦿PFOS、PFOA
⦿米司法省が日本企業を起訴 海軍艦の汚染水を不法投棄

<特集>

サーキュラーエコノミーへの転換に向けた企業間連携の重要性
福井 美悠(株式会社 日本政策投資銀行 産業調査部兼サステナビリティ企画部 副調査役)
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 EUサーキュラーエコノミー行動計画や、国内プラスチック資源循環戦略を契機に、循環経済モデルへの移行が一層重視されている。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて資源循環関連産業が果たす貢献への期待も高い。本稿では、サーキュラーエコノミー政策と3R政策の違いや、循環性の高いビジネスモデルへの転換に向けた着眼点を考察するとともに、企業におけるサプライチェーン連携やデジタル技術活用の重要性について論じる。
サーキュラーエコノミー実現に向けて企業をとりまく現状と今後への期待
新井 理恵(株式会社 三菱総合研究所 サステナビリティ本部 環境イノベーショングループ 主任研究員)
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 新型コロナウィルス感染症拡大からの景気回復を目指すグリーンリカバリーにおいて、気候変動対策と並んで注目されているのがサーキュラーエコノミーである。本稿では、欧州及び日本に着目し、政府が打ち出すサーキュラーエコノミー推進の政策動向を解説する。
 従来のリサイクルだけでなく、設計・製造・使用も含むライフサイクルでサーキュラーエコノミーを取り込むビジネスモデルが注目されている。そこで先進的事例として、PHILIPSの取組および日本環境設計の繊維リサイクル事業を紹介する。また、近年検討が進んでいるサーキュラーエコノ
ミーを後押しするファイナンスの動きも紹介し、日本企業のサーキュラーエコノミー型ビジネス転換への期待を展望する。
EU循環経済(CE)――コロナ後の社会経済の移行を見据えて
粟生木 千佳(公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)持続可能な消費と生産領域 主任研究員)
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 循環経済(Circular Economy:CE)は、気候中立性とともにEUの経済戦略であるグリーンディールの中心であり、コロナ禍以後のグリーンリカバリーにおいても重要な産業活動の一つとして位置づけられている。2020年3 月に公表された新EUCE行動計画は、廃棄物管理や資源循環から、より製造側企業の積極的な関与を促す内容にシフトした。加えて、気候中立性や土地利用の観点からもCE等を通じた一次資源の消費削減が求められる動きもある。製造活動における政策対応のみならず、循環経済に向けたファイナンス促進、企業や製品の循環性評価手法の開発、情報開示など、製造活動のみならず経営面からのCE対応の必要性も増している。日本企業としては、継続的に情報収集をしつつ、今後、気候中立性とも両立する循環経済への移行のために必要な対応を見極め、統合的かつ効果的な実施体制を構築していく必要がある。

<総説>

サーキュラーエコノミーにおけるマスバランスアプローチとは
金子 宏一(ライター)
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 循環経済(Circular Economy:CE)は、気候中立性とともにEUの経済戦略であるグリーンディールの中心であり、コロナ禍以後のグリーンリカバリーにおいても重要な産業活動の一つとして位置づけられている。2020年3 月に公表された新EUCE行動計画は、廃棄物管理や資源循環から、より製造側企業の積極的な関与を促す内容にシフトした。加えて、気候中立性や土地利用の観点からもCE等を通じた一次資源の消費削減が求められる動きもある。製造活動における政策対応のみならず、循環経済に向けたファイナンス促進、企業や製品の循環性評価手法の開発、情報開示など、製造活動のみならず経営面からのCE対応の必要性も増している。日本企業としては、継続的に情報収集をしつつ、今後、気候中立性とも両立する循環経済への移行のために必要な対応を見極め、統合的かつ効果的な実施体制を構築していく必要がある。

<シリーズ>

【弁護士からみた環境問題の深層/第3回】新たな潮流──ESG訴訟の動き
久保田 修平(TMI総合法律事務所 弁護士)
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 ステークホルダー資本主義、COVID-19からのグリーンリカバリーの流れの中で、ESG投資が進展している。このようにESG投資がメインストリーム化する中でESG投資家とNGOの連携が強化され、NGOやESG投資家が関与するESG訴訟は、企業に新たなリスクを与えている。本稿では、ESG訴
訟の具体例に触れつつ、ESG訴訟が増加する背景、企業の環境部門への影響について述べる。
【エネルギーからみた地球温暖化問題/第50回】2021年初の電力需給ひっ迫と価格高騰の経験に学ぶべきこと──電力システムの再構築の必要性
竹内 純子( NPO 法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 昨年秋より、わが国の電力システムの課題を問いかける事象が続いている。将来の供給力維持・確保を目的とした容量市場の第1回入札が行われ、菅首相による2050年カーボンニュートラル宣言、年末から年始にかけての電力需給ひっ迫と卸市場(JEPX)の高騰、さらに寒波に襲われた米テキサス州の電力価格急騰と輪番停電、福島県沖地震による関東圏の大規模停電など、電力供給システムの健全性を維持しつつ改革を進めることの難しさを思い知らされる事象が相次いだ。今回は、わが国における電力需給ひっ迫から何を学ぶべきなのかを考えてみたい。
【産廃コンサルタントの法令判断/第60 回】建設廃棄物の自ら処理、自ら利用について──基準を明確にして効率的なリサイクルを
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第60回)。

【環境倫理の基礎講座/第3回】自然と至然──自然と共生するアプローチ
佐藤 建吉(一般社団法人 洸楓座 代表理事)
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 私たちの暮らしの基(もとい)である「自然(しぜん)」。その成り立ちは、「自ら然る(おのずからしかる)」の「自然(じねん)」に由来する。しかし、科学技術が発達し大きな力を持ち、その影響が増し私たちの社会を席巻するかのようになり、前回述べた「技術連関」や「エコエティカ」という倫理(学)が重要になった。今回は、自然と人間の関わりの面から、二つの自然、すなわち「天然の自然」と「人工の自然」について述べ、新たに「至然(しぜん)」について、環境倫理の面から解説する。
水質環境基準の概要とポイント ── 全般的な水質基準と亜鉛など水生生物保全の環境基準について
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 工場排水を監視する公務員はじめ、環境担当者や公害防止管理者にとって実務で必要な基本知識として環境基準がある。これは「維持されることが望ましい基準であり、行政上の政策目標」といわれる。
 環境基準のうち健康項目は全国一律の基準でただちに達成して維持すべきものとされる。一方、生活環境項目は水域の利用目的、例えば、自然に富んだ景勝地等を訪ね歩く自然探勝、水道水源、水浴・レジャー、水産および農業などに応じた類型指定をして基準値などを細かく規定している。
 我が国の水質汚濁状況は、総体的には改善傾向にある。特に健康項目については達成率が約99%と大幅な改善がみられる。しかしBOD、CODについては、改善傾向はみられるものの、湖沼や内湾等の閉鎖性水域や都市部を流れる中小河川においていまだ問題が残されている。
 本稿では、水生生物保全の環境基準や水道水基準についても説明し、環境基準の背景や全体像が理解できるように解説する。
【新・環境法シリーズ/第109回】アジア域におけるポリセントリック( 多中心的)な気候変動対応策と炭素市場の役割
中村 明寛(タスマニア大学 Adjunct Researcher)/ケイト・クロウリィ(タスマニア大学 Associate Professor)
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 パリ協定に基づく世界全体の温室効果ガス排出の削減目標を達成するには、従来通りの各国の独自な取組みだけでは不十分と指摘されており、よりグローバル―地域―国家行動の推
進力が求められている。アジア諸国の多くは、依然として化石燃料ベースの電力供給に強く依存しているため、抜本的な地域改革が必要である。一方で、アジアには欧州共同体のよ
うに統一された制度構造が存在しないため、地域ガバナンスに乏しく、地域連携した気候変動行動が進んでいない。本稿では、アジア域におけるポリセントリック(多中心的)な気候変動対応策と炭素市場の役割とその課題について考察した。
【先読み! 環境法/第105回】第204回国会の環境省提出予定案
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 第204回国会の環境省提出予定の法案のうち、自然公園法改正と瀬戸内環境保全特別措置法の改正にフォーカスを当て、中央環境審議会自然公園等小委員会において取りまとめられた答申案と、中央環境審議会水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会において取りまとめられた意見具申案の概要を紹
介する。
 ❶第204回国会の環境省提出予定法案
 ❷自然公園法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について
 ❸瀬戸内海における特定の海域における制度の見直しについて
環境法改正情報(2021年1月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉労働安全衛生法
 ◉農薬取締法
 ◉(その他)押印の廃止関連
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