環境管理バックナンバー 2012年 9月号

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2012年9月号 特集:洋上風力発電の展望と課題

<特集>

ドイツにおける風力発電の現状―オンショアからオフショアへ
長谷川平和 在日ドイツ商工会議所シニアコンサルタント
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 ドイツは2050年までに二酸化炭素排出量を1990年時点の1/5に削減し,電気供給における再生可能エネルギーの割合を80%にするという野心的な目標を掲げている。この目標達成にあたり風力発電の担う役割は大きく,オンショアだけでなく,オフショア風力発電の拡大が不可欠である。これまでドイツは,風力発電に付随する様々な問題に前向きに取り組み,試行錯誤しながら経験を積んできた。本稿では,ドイツがこれまで培ってきた風力発電市場での経験を紹介し,現在,国家を挙げて取り組んでいる洋上風力発電について紹介する。

わが国における洋上風力発電実証研究の現状と将来展望
石原 孟 東京大学大学院工学系研究科教授
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 わが国における洋上風力の導入可能量は16億kWであり ,太陽光の10倍,地熱と中小水力の100倍となっており,圧倒的なポテンシャルを誇る。政府は2011年度3次補正予算で125億円を計上し,福島県沖合の海域に世界初の浮体式洋上ウィンドファームを建設する実証研究を開始させた。本稿では福島県沖合の実証研究の概要と研究課題を紹介すると共に,洋上風力発電の可能性とその拡大策について述べる。

風レンズ技術を用いた風力・水力の利用と洋上浮体式複合エネルギーファーム
大屋裕二 九州大学応用力学研究所・所長
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 流体エネルギーを集中させて風力・水力発電の効率を飛躍的に高めた新しいタイプの風力・水力発電システムを開発した。レンズ風車と呼ぶ次世代風車は,従来の風車に比べ2-3倍の発電出力の増加を達成し,小型(1〜5kW機)・中型(100kW機)を開発した。レンズ水車も流水中で同様に高効率を示す。風力・水力エネルギーのより大きな獲得のため,海上展開を図った。福岡市博多湾に直径18mの六角形浮体を浮かべ,3kWレンズ風車2基と2kW太陽光パネルを搭載した世界で初めての浮体プラットホーム式のエネルギーファームを実現した。

風力発電に関する環境問題
塩田正純 芝浦工業大学工学部非常勤講師/柳憲一郎 明治大学法科大学院教授
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 風力発電に関する環境問題は,「騒音等,景観,シャドウフリッカー及び動植物・生態系(バードストライク)」が主である。また,風力発電施設の設置条件によって,土地の改変や翼やタワー等の運搬による交通安全等に関する環境に関しても問題提起されている。風力発電施設が設置されている周辺地域は,海岸線,里山地区あるいは山岳地区がほとんどである。住宅地との関係から風車やタワーが見え隠れすることによる山岳稜線の分断等,風況に乗る猛禽類等が,翼に衝突する等,さらに,24時間稼働によるナセルからの機械音・翼の回転音によるアノイアンスや睡眠影響の訴えや指摘がなされている。このようなことから,風力発電施設の立地,規模,距離,環境影響(調査,予測,評価,環境保全措置・事後調査)等の基本的考え方を検討し,結果的に,環境影響評価法の一部改正がなされ,2012(平成24)年10月1日から,本格施行される予定である。一方,海外では,陸上風力発電から洋上風力発電へ舵が切られ,出力容量もMW級へと大型化している。洋上環境では,海洋生態系や漁業への影響も含め,生物多様性保存の議論がなされている。我が国でも同様な研究等が始まっている。

<シリーズ>

新CFPプログラムの運用解説(1)算定・宣言の実務―CFP-PCRの策定編
山岸 健 一般社団法人産業環境管理協会LCA事業室
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 製品やサービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス排出量を「見える化」する取り組みとして,近年,カーボンフットプリント(CFP:Carbon footprint of Products)が注目されている。国が実施したCFP制度試行事業の成果を引き継いで,2012年度より産業環境管理協会ではカーボンフットプリントコミュニケーションプログラム(CFPプログラム)を運営している。CFPプログラムでは,事業者がCFP算定・宣言を行う際の製品種別のルールとして,カーボンフットプリント製品種別基準(CFP-PCR)の策定を求めている。本稿では,読者としてCFP-PCRの策定を行おうとする事業者を想定し,実務上必要な手順等について解説する。

【新・環境法シリーズ11】第4次環境基本計画の概要と今後の環境政策の展開の基本的方向について
苦瀬雅仁 環境省総合環境政策局環境統計分析官
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 第4次環境基本計画は,1)政策領域の統合,2)国際情勢に的確に対応した戦略をもった取組の強化,3)持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成,4)多様な主体による行動と参画・協働の推進,の四つの考え方を今後の環境政策の展開の方向として定めるなど,今日の環境問題が世界の経済,社会の重要な諸問題と極めて深く密接に関わること等を踏まえた新たな環境政策の大綱を示した。今後我が国は,この方針を生かし,リオ+20や各種環境条約に関する会議等はもちろん環境分野に限らぬ国内外の世界の情勢を踏まえて,戦略的極的な取組を進める必要がある。

【環境法 法令違反から学ぶCSR経営6】容器包装リサイクル法の合憲性―リサイクルのため誰がどのような責任を負担すべきか?
小谷普一 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 わが国では,「大量生産・大量消費・大量廃棄型」の社会から「循環型社会」への転換を図るため,法体制の整備を進めてきた。「循環型社会」推進の基本的な枠組みを定める循環基本法,リサイクル等に関する一般法としての資源有効利用促進法や個別法としての各種リサイクル法である。循環基本法では,製造業者や輸入業者などの生産者は,当該製品の生産・使用の段階だけではなく,使用後,廃棄後となった後まで責任を負うという「拡大生産者責任」の考え方を定めているものと思われるが,その具体的な責任分担のあり方は一様ではない。本事案は,「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」「容リ法」に基づく,このような責任負担のあり方が,法の下の平等に反するのではないかが問題とされた。

【天網恢々 廃棄物処理法許可不要制度6】自動車リサイクル法編
長岡文明 BUN環境課題研修事務所
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 廃棄物処理法の伝道師BUN先生と仮想の総合商社の環境部門に所属するリサちゃんとの対話を通して廃棄物処理法を分かりやすく解説する。 第6回目も「自動車リサイクル法」について話をする。

【先読み!環境法4】PCB廃棄物の処理期限を延長する提言
小幡雅男 東京工科大学講師
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・PCB廃棄物の処理期限を延長する提言・利根川水系の取水障害を引き起こしたホルムアルデヒドの前駆物質ヘキサメチレンテトラミンの扱い―利根川水系における取水障害に関する今後の措置に関する検討会の中間取りまとめ/・再生可能エネルギー固定価格買取制度の実効性のカギを握る法施行規則の内容―特定契約・接続契約の拒否事由と賦課金(サーチャージ)・調達価格(買取価格)/・石綿飛散防止対策の更なる強化の検討

【実践マテリアルフローコスト会計84】食品小売業におけるマテリアルフローコスト会計情報の導入研究―生鮮部門の食品廃棄物に関する考察
萬田義人 有限会社オーケー食品取締役
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 マテリアルフローコスト会計(以下,MFCA)は,環境と経済の両立を目指したマネジメントツールで,製造業の製造プロセスにおける問題点への気づきが期待できる手法である。本稿では,この概念を食品小売業の実務の中で,製造機能を有する生鮮加工のうち精肉部門に導入している。手作業に依存する精肉商品化において,従来から定性的に推認している課題を数値化し,改善方策の策定からコストシミュレーションに発展させている内容は実践的である。また,一つの原料から複数の製品価値を創出する工程への適用は,MFCAの応用といえる。

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