環境管理バックナンバー 2016年 7月号

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2016年 7月号 特集:土壌地下水の現状と土対法改正に向けての論点

<特集>

土壌汚染対策法と汚染リスクの基礎知識
本誌編集部
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 土壌汚染の状況把握、自主申請から欧米の現状、土地取引まで、本特集を読むにあたっての汚染リスクの基礎知識と法改正の目的について紹介する。

土壌汚染対策法の現状と課題
青竹 寛子(環境省 水・大気環境局 土壌環境課 総括課長補佐)
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 平成14年に制定された土壌汚染対策法は平成22年に改正されたが、改正法の施行を通じて様々な課題が浮かび上がってきている。平成27年12月には、環境大臣から中央環境審議会に対し今後の土壌汚染対策の在り方について諮問されており、現在、審議が行われている。
 本稿では、法の施行状況に加え、施行を通じて挙がってきている土壌汚染の調査・区域指定、指定区域における対策及び汚染土壌処理施設における処理等に関する課題について提示したい。

土壌汚染対策の動向について
苦瓜 作(経済産業省 産業技術環境局 環境指導室 課長補佐)
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 平成14年に成立した土壌汚染対策法は平成21年4月に改正され、平成22年4月に改正法が施行されている。改正土壌汚染対策法(以下「改正法」という)の施行から現在までの間、環境省、経済産業省、内閣府等で様々な取組みが行われており、昨年12月に環境大臣から中央環境審議会会長に今後の土壌汚染対策の在り方について諮問がなされ、本年3月から中央環境審議会で審議が行われている。
 本稿では、改正法の施行以降に関係機関が行った主な取組みや最近の動向について紹介したい。

土壌汚染対策法改正に向けた論点について
佐藤 泉(佐藤泉法律事務所 弁護士)
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 土壌汚染対策法は平成14年に制定され、平成22年に大きな改正が行われた。この改正から5年を経過したことにより、現在環境省において、次期改正に向けた検討が行われている。改正の論点として、環境省からは、操業中及び調査の一時的免除中の工場及び事業場について規制を強化し、調査が確実に行われる仕組みを取り入れるべきではないかという点が大きく取り上げられている。また自治体からは、法第4条調査において、自治体の地歴調査における負担を軽減すべきではないか等の意見が述べられている。一方で、平成27 年6月30日の規制改革実施計画閣議決定では、産業界からの要望を踏まえ、土壌汚染対策法の見直しとして、①国際制度比較調査の実施、②工業専用地域における規制緩和(形質変更時の届出要件の見直し)、③自然由来物質に係る規制の緩和が定められた。
 このように今回の土壌汚染対策法改正の議論では、規制強化及び規制緩和の観点から多様な論点が検討されている。このため、今回の改正は平成22年改正よりもさらに大きな影響が生じる可能性が高い。本稿では、現在中央環境審議会・土壌制度小委員会で取り上げられている論点を紹介するとともに、改正のあるべき姿について提言を行うものである。

裁判例からみた土壌汚染問題
西田 道夫(元・地盤環境技術研究センター 相談役)
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 平成15年2月に施行された土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況把握と健康被害の防止が目的である。しかし、裁判事例に表れた現実の土壌汚染問題は、土地取引に伴う瑕疵担保責任が大半を占めている。そこで、土壌汚染対策法が企業の土壌汚染問題にどのように関与しているかを、裁判事例に基づいて整理し検討した。その結果、土地取引に伴う瑕疵の判断は、土壌汚染対策法の基準によると思われるが、それは46事例中わずか8件に過ぎない。裁判の主たる訴因は、土壌汚染それ自体を問題とするのではなく、民法570条(売主の瑕疵担保責任)、商法526 条(商人間の瑕疵担保責任)等の期間制限、債務不履行、不法行為、錯誤等であり、土壌汚染対策法が直接関与するものではなかった。

土壌汚染対策法の新規対象物質(クロロエチレン)等について
宮川 正孝(首都大学東京 都市環境学部 非常勤講師/元東京都環境局)
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 2016(平成28)年3月、クロロエチレン(別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー)(以下「クロロエチレン」という)及び1,4-ジオキサンが土壌環境基準に追加され、併せてクロロエチレンについては、土壌汚染対策法の特定有害物質に指定された。
 そこで、土壌や水質の分野における両物質に関する基準の設定状況について整理するとともに、クロロエチレンについては、土壌汚染対策法の対象となることを踏まえ、土地所有者等の関心が高い調査や対策等における法の適用関係についてとりまとめた。

水循環基本法に係る地下水保全法制度の課題について
高嶋 洋(地下水制度研究会代表/野田市建設局 土木部 下水道課)
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 平成28年3月に、水制度改革議員連盟に設置された水循環基本法フォローアップ委員会が再び招集され、地下水保全法制度が再検討されることとなった。本論では、上程に至らなかった前回法案の概要を紹介するとともに、関東平野の事例に当てはめて法案の内容を検証し、地下水の管理方法や管理責任の在り方に関し、コスト面での課題を指摘した。また、地下水の量と質の管理範囲の違いに即した法定義の在り方について検討した結果、法の主たる対象を「地下水」ではなく「地質」とすることが、より合理的であることを示した。

<総説>

エネルギー・環境イノベーション戦略による気候変動問題へのアプローチ
小浦 克之(内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付企画官)
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 平成28年4月19日、政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で、エネルギー・環境イノベーション戦略が決定された。第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で言及された「2℃目標」の実現には、現状の水準から温室効果ガスをさらに約300億t超追加的に削減することが必要であり、本戦略は、政府として特に重点的に開発すべき革新技術分野を特定し研究開発を強化することで、既に開発・実証が進んでいる技術の適用と合わせて、世界全体で数10~100億t超の削減を期待するものである。本稿では本戦略策定の経緯と今後の展望について解説する。

<報告>

地下水利用 井戸掘削現場をレポートほか
本誌編集部
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各現場からの報告。
 
●地下水利用 井戸掘削現場をレポート
●工業用水と地下水涵養
●ダイオキシン類による汚染実態
●「日中友好環境保全センター」設立20年記念国際シンポジウムの開催

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第4回】 再エネ普及政策はどうあるべきか――FIT法見直しの経緯と概要
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 第190 回通常国会にて「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(通称:FIT法)等の一部を改正する法律」が成立、6 月3 日に公布された。少なくとも3 年ごとに様々な状況変化を踏まえ「必要な措置を講ずること」は規定されていたことではあるが、再エネによる発電電力量をわずか約2%押し上げるために費やされた莫大なコスト、そして、大量の未稼働案件発生という事前の想定を超える事態に直面し、修正を余儀なくされたことは事実であろう。制度が導入された2012 年7 月から今日まで、どのような効果をあげ、副作用がもたらされたのか。その間に進んだ電力システム改革との整合性において考えるべきは何か。日本の再エネ普及政策について整理する。

【新・環境法シリーズ/第53回】 災害時の被災者に対する支援制度の現状と課題―被災者生活再建支援法を中心に
小林 寛(信州大学 教授)
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 2016 年4月14日(以降)、平成28(2016)年熊本地震が発生した。同年5月27日14時現在、49 名の死者、1,663名の重軽傷者、全壊住宅8,309棟・半壊住宅1 万8,724棟等の住宅被害が発生した。災害が発生した場合に最も重要なのは被災者の保護であり、その保護の方法は多様であるところ、地震の場合には生活の基盤をなす家屋が損壊するため、被災者の生活の再建を支援することが重要である。そこで本稿においては、災害時の被災者に対する支援制度の現状と課題について被災者生活再建支援法を中心に検討を行う。

【産廃コンサルタントの法令判断/第4回】 産廃それとも一廃?――今こそ業種指定廃棄物を考える
佐藤 健(株式会社 ミズノ 環境コンサルティング事業部 環境情報ソリューショングループマネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第4回)。

【まるごとわかる環境法/第11回】 省エネルギー法(中編)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
 第10回は「省エネ法」(中編)
 
 5.全事業者が守るべきことは何でしょうか?
 6.規制対象となる事業者は誰ですか?
 7.特定事業者、特定連鎖化事業者の義務は何ですか?
【先読み! 環境法/第49回】 パリ協定批准に向けて――5月成立の改正地球温暖化対策法による国民運動の強化を出発点としてエネルギー政策から脱炭素化に向け社会構造のパラダイム転換を構想するアクション50-80
小幡 雅男(神奈川大学大学院法務研究科 講師)
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 2030 年26% 削減、2050 年80% 削減の目標に向けて、中長期の時間軸を念頭に今後環境省が進める取組の全体像「パリ協定から始めるアクション50-80~地球の未来のための11の取組~」を解説する。また、地球全体の観点からできるだけ排出量を削減していくための水銀排出基準を検討するためにとりまとめられた「水銀大気排出抑制対策について(第一次報告書)」を紹介する。

❶ パリ協定批准に向けて――5月成立の改正地球温暖化対策法による国民運動の強化を出発点としてエネルギー政策から脱炭素化に向け社会構造のパラダイム転換を構想するアクション50-80
❷ パブリックコメントが実施された「水銀大気排出抑制対策について(第一次報告書)」――地球規模での水銀汚染の最小化を図る水銀排出基準
環境法改正情報 (2016年5月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉ PCB 処理法
◉ 地球温暖化対策推進法
◉ 農薬取締法
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