環境管理バックナンバー 2021年 1月号

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2021年1月号 特集:環境金融の拡大と企業の価値

<巻頭レポート>

東日本大震災から10年 奇跡の復活を遂げた酔仙酒造
本誌編集部
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 今年は東日本大震災から10年の節目を迎える。広範囲にわたる地震・津波被害と福島第一原子力発電所の事故による未曾有の災害は決して忘れられない。東北ではインフラが整備され、かなりの復興が進んでいる。しかし災害による爪痕は深く残っており、再建を断念した企業や移転先から故郷に戻れない方も数多い。そういった中で、スピーディーな経営判断と懸命な努力によって被災地で事業を復興した酒造会社・酔仙酒造㈱を取材した。秋篠宮ご夫婦や安部晋三元総理、トヨタの豊田章男社長なども酔仙の復興を視察している。
国内初の本格的な内陸型「真岡発電所」順調に操業
本誌編集部
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 (株)神戸製鋼所の100%子会社である(株)コベルコパワー真岡は、2020年3月2日に栃木県真岡市(もおかし)において大型火力発電所の運転を全面開始した。2019年10月に1号機の営業運転を開始しており、昨年の2号機営業運転開始により発電規模124. 8万kW(62. 4万kW×2基)となる発電所の本格的な操業を順調に継続している。高さ85mの2本の煙突が大きな存在感を放っているが黒煙など基準を超える排ガスはない。燃料が都市ガスなので有害が硫黄酸化物やばいじん、焼却灰の発生は皆無に等しい。
最近の気になるニュース・クリッピング
本誌編集部
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 昨年のヒット商品、売れ筋のトップはマスクである。前年400億円の規模が2020年は売上が10倍以上5,000億円を軽くこえる勢いである。家電のシャープ、アイリスオーヤマ、電子機器部品メーカーミネベアミツミ、三井化学の3Dマスク、さらにブラザーグループ内の事業活動に必要な不織布マスクの自社生産など、品不足を補うため多くの日本企業が製造や輸入に参入している。大量に購入するのであれば一定の基準を満たす「全国マスク工業会の会員マーク付き」が望ましい。
 売れ筋ランキングの2位以下で目立つのが除菌や殺菌関係である。アルコール類や塩素系溶剤、石けんなど多くの製品が出回っているが、今回は、室内環境に関して話題になっている紫外線関連ニュースをランダムに抜粋してみた。最後に次亜塩素酸水と感染経路の解説を掲載する。

<特集>

スチュワードシップ・コードにおける サステナビリティの考慮
上田 亮子(SBI大学院大学 准教授)
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 社会経済構造の変化に伴い、企業および投資家の活動の両面において、サステナビリティの考慮が求められるようになっている。世界的にもサステナブル投資が拡大し、企業の資金調達を通じた機関投資家の役割が高まりつつある。
 このような背景から、機関投資家の行動指針であるスチュワードシップ・コードにおいても、サステナビリティの重要性が高まっている。2020 年のコード改訂では、企業価値向上とサステナビリティとの調和に関して、機関投資家によるスチュワードシップ活動の実効性を高める観点からの取組み強化が行われた。
ESG地域金融の現状と今後の展望――間接金融におけるESG
竹ケ原 啓介(日本政策投資銀行 執行役員 産業調査本部 副本部長)
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 ESG投資の拡大が続いているが、このトレンドは、わが国の金融市場において依然として大きなウエイトを占める銀行融資など間接金融にどう影響するだろうか。本稿では、非財務情報に着目して、企業の長期的な成長を見極めるという本質な機能に照らせば、ESG要素への配慮が、銀行等による融資活動に親和的であることを示すとともに、地域に密着し、ローカルSDGsの実現に向けて新たに展開しつつある「ESG地域金融」の現状と今後の展望を、事例を含めて論じる。
ESG投資を巡る潮流と本邦機関投資家のESG投資へのスタンスおよび課題――米欧との比較
荒尾 拓人(日本銀行 金融市場局)/小川 佳也(日本銀行 金融機構局 企画役)
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 世界的にESG投資を巡る取り組みが加速するなかで、本邦機関投資家もESG投資への取り組みを着実に進めている。もっとも、市場関係者から聞かれた話などからは、わが国では、ESG投資の歴史が浅いこともあり、現状、米欧の機関投資家などと比べ、ESG投資を行う目的や取り組みスタンスが区々である姿が窺うかがわれた。また、今後、本邦機関投資家が取り組みを一層進めるにあたっての課題としては、①ESG投資に利用可能な情報の制約、②ESGと金銭的リターンの関係性が不明瞭である点、③ESG投資の際に考慮すべき点の不確実性の大きさ、④最新の科学技術などの専門知識を活用できる体制整備、といった点が指摘されている。
TCFDガイダンス2.0と TCFDサミットの概要
経済産業省 産業技術環境局 環境経済室
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 ESG投資が世界的に拡大する中で、企業が内包する気候関連のリスクと機会について、投資家が適切に評価するための情報開示が求められている。その前提となる開示フレームワークについて、我が国では政府による基盤整備に加え、民間でも開示を一層充実させるための取組が進んでいる。民間主導で設立されたTCFDコンソーシアムは、2018 年12 月に経済産業省が策定した「TCFDガイダンス(正式名称:気候関連財務情報開示に関するガイダンス)」の改訂作業を引継ぎ、2020 年7 月に「TCFDガイダンス2.0」を公表した。また、経済産業省は「環境と成長の好循環」の実現に向けて、2020年10月9日にTCFDサミット2020を主催した。本稿では「TCFDガイダンス2.0」の概要およびTCFDサミット2020での議論について紹介する。

<総説>

プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準について
金子 宏一(ライター)
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 バーゼル法は、正称を「特定有害廃棄物等輸出入等規制に関する法律」というが、この1月1日から「汚れたプラスチック」が新たに規制対象に追加された。今回の改正における対象の判断基準は非常に曖昧かつ難しい側面があり、同内容は商社・輸出業者のみならず、排出事業者も知っておく必要がある。輸出品目が規制対象になった場合、国内処理をしなければならず、その責任は排出事業者にもおよぶからだ。今回の法改正の背景、該非基準などを環境省の指針を参照しながらみていく。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第49回】容量市場の問題から考える、電力システム改革の再定義
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 電力システムはその国や地域による特徴やそのときの社会状況、資源の調達などの諸条件によって制度設計がアレンジされなければならない。米国の経済学者であるRobert Wilsonが「自由化された電力市場の中には、2 つとデザインが同じものはない。大規模な実験が進行中であり、比較研究から学ぶことができる」としている通りだ。
 電力市場の自由化に乗り出したからには、こうした試行錯誤を積み重ね、より良くする努力が不可欠であり、逆にいえば、そうした努力に対する覚悟もなくシステム改革に着手することは許されざることなのだろう。
 そうした意味で、わが国がシステム改革の中で安定供給をどのように確保するかについて議論を呼ぶ容量市場を巡る議論について論じてみたい。
 2020年9月14日、日本における容量市場の第1 回メインオークションの結果が、電力広域的運営推進機関(OCCTO)より公表された。正直にいえば当初筆者は、容量市場の議論がこれほど注目を集めるとは思っていなかった。オークションの約定価格が上限価格近くの高値(14,137円/kW)となったと聞いたときには多少の驚きは感じたものの、それはそれで今の市場からのメッセージであると受け止めたし、それ以前の問題として、わが国の容量市場には「経過措置」と称する特殊なローカルルールが設定されており、落札された電源の多くがこの金額の約6割を受け取るにすぎないということが頭にあったからだ。しかも、再エネ賦課金のように毎年継続的なものではなく、4年後の2024年の1年間に限る話なので、電源側からみてそれほど期待値の高い制度でもなかった。
 実際、その後資源エネルギー庁から公開された資料によれば、2010年度末以前に建設された電源の容量確保契約金額に対しては、経過措置として42%の控除率が課されるので、落札された電源等(DRなども含むため、電源「等」と表現されている)の約78%が受け取るのは8,199円/kWである。
 その金額の妥当性は発電所の条件によっても異なるが、後述するように、中立的監督機関である電力・ガス取引等監視委員会の調査によれば、限界電源がいまスポット市場や調整力としての対価などで得ている収入はわずか424円/kWしかないのに対し、税金や人件費、メンテナンスコストなど含めた維持管理コスト平均値は12,262円/kWになるとされる。赤字幅が縮小されて良かったと感じた電源は多くあっただろうが、これまでの歪んだ状況に改善が施されたというに過ぎない。
 しかし、支払う側の新電力事業者からすればそのようなのんきな話ではなかったのも確かだろう。一般紙にも記事が掲載され、一部には「容量市場は石炭火力・原子力温存策であり、再エネへのエネルギー転換を遅らせるもの」といった批判的な論調が先行するなど、注目度は高まっていった。
 そうした議論を見聞きしているうちに、この問題は、電力システム改革において我々が何を実現したいのかといった価値観にもかかわる課題であると認識するに至った。そのため、筆者がエネルギー産業に関わるエコシステムを豊かにしたいと2018年10月に創設した合同会社であるU3Innovationsで、異なる立場の方のご意見を伺う座談会の場を設けた。その議論は今も弊社のウェブサイトで公開中なので、ぜひ直接ご覧いただきたい。そこでの議論も踏まえたうえで、この問題が投げかける意義について、筆者なりに考えてみたい。
【産廃コンサルタントの法令判断/第58回】事業場で不要になった家電の廃棄について――各リサイクル法を正確に理解する
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第58回)。

【弁護士からみた環境問題の深層/第1回】法律相談のすすめ――弁護士に聞いてみよう
佐藤 泉(弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員)
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 操業中の工場敷地で土壌汚染が見つかったとき、賃借中のビルにアスベストがあるか不安なとき、廃棄物の分別方法がわからないとき、産業廃棄物管理票が返送されないとき、近所の住民から騒音被害の苦情が来たとき。環境に関する疑問やトラブルは毎日起きている。そんなときに、企業の方々は弁護士に相談しているだろうか。外部専門家のアドバイスがあれば、事実および法律の整理、解決が迅速化するかもしれない。そこで本稿は、弁護士にどう相談するか、また弁護士はどのようなアプローチで対応するか、具体例を示して説明する。
【環境倫理の基礎講座/第1回】環境と状況の違い、そして「できる状況づくり」
佐藤 建吉(一般社団法人 洸楓座 代表理事)
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 本稿では、環境問題の解決における主体者の重要性を述べる。極論ではあるが「環境」という用語に替えて「状況」という用語を多用することを唱えてきた。この論点の視座は、「主体者」の有無にある。残念ながら「環境」という用語には主体者の関わりがなく、その周りに注目する。「環象」に回帰する。主体者を加えた「環境」として、筆者が見出したのは「状況」である。主体者が深く介在し関与することにより、環境問題が解決に加速する。関連で、主題としての「できる状況づくり」は、いま、そのためのキーワードとなる。
【新・環境法シリーズ/第107回】佐賀市のバイオマス産業における CCU(カーボンリサイクル)の取組
江島 英文(佐賀市 企画調整部 バイオマス産業推進課 課長)
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 佐賀市は、清掃工場のごみ焼却時に発生する排ガスから二酸化炭素を取り出し、光合成で成長する野菜や藻類の成長促進に活用する世界初の取組により、経済と環境が両立する資源循環社会を目指している。
 二酸化炭素の利活用をはじめ、食品ロスの削減や未利用バイオマスの活用、再生可能エネルギーの普及などに取り組み、「廃棄物であったものがエネルギーや資源として価値を生み出しながら循環するまち」を市民や多くの事業者とともに推進している。
 こうした取組は海外からも共感を得ており、様々な資源の活用・循環によって新たな産業と価値を創出することで、豊かな地球環境を次世代に繋ぐよう取り組んでいる。
【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第28回(最終回)】産業廃棄物の処理基準と帳簿の巻
三浦 大平/長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
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 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを
説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 第28回目は、「産業廃棄物の処理基準と帳簿」を取り上げます。お相手は、M先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第37回】四大公害病――イタイイタイ病を中心に解説
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 国内初の公害病に認定されたイタイイタイ病は四大公害病の一つとして海外でも広く知られている。今回、富山県にあるイタイイタイ病資料館を取材した。とても印象的かつショッキングな経緯もあるので、ポイントを絞って、公害病の実態、法令と裁判、農地の復元など事実関係をまとめた。環境担当者として学ぶべき教訓や歴史がある。
【先読み! 環境法/第103回】2050年カーボンニュートラルに向けた政府・国会の動き
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 菅総理の「2050年カーボンニュートラル」宣言を受けて、経済産業省・総合エネルギー調査会ではエネルギー基本計画の見直しが、グリーンイノベーション戦略推進会議ではカーボンニュートラルを目指すための技術の取りまとめが始まった。まさに渦中にあるそれらの動きについて報告する。
 
 ❶2050年カーボンニュートラルに向けた政府・国会の動き
 ❷衆・参の決議、地球温暖化対策推進本部の開催、地球温暖化対策計画の見直し
 ❸11月11日に第3回グリーンイノベーション戦略推進会議が開催
環境法改正情報(2020年11月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉省エネルギー法
 ◉オゾン層保護法
 ◉農薬取締法
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