環境管理バックナンバー 2012年 6月号

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2012年6月号 特集:APPからGSEPへ―協力的セクター別アプローチの世界展開①

<特集>

エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ(GSEP)の目的と概要
河野孝史 経済産業省地球環境対策室国際交渉担当補佐
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 産業部門の省エネ・環境対応を促進する国際イニシアティブとして,日米政府の主導の下,APPからその成果を受け継ぎ2010年にGSEPGlobal Superior Energy Performance Partnership)(セクター別ワーキンググループ(WG))は正式発足した。2011年度には2回の会合を開催し,さらなる参加国拡大や取組の具体化等の課題は指摘されたものの,多くの参加者を得,その活動の進展に対する期待が共有された。今後,我が国が主導するボトムアップアプローチを体現する組織として,官民協力という特徴を活かしつつ,気候変動交渉への効果的なインプットも含め,その活動の発展が期待されている。

セクター別アプローチ(Sectoral Approach)について―気候変動交渉とAPP,セクター別アプローチ
本部和彦 東京大学公共政策大学院特任教授
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 セクター別アプローチは,製造,発電,輸送,家庭などのセクター毎に,技術を中心に最適な削減策を検討し,これを統合して全体像とするボトムアップ型のアプローチである。本アプローチは,先進国の公平な削減目標の設定と,技術移転を通じて途上国の削減行動の双方に寄与することから,気候変動の新たな枠組みにおいて骨格をなす可能性がある。バリからコペンハーゲンに至る交渉の経験を踏まえ,アジア太平洋パートナーシップ(APP)からエネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ( GSEP )に移行した実践の場で蓄積を積みながら,気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)で決定されたダーバンプラット・フォームにおける交渉に生かしていくことが望まれる。

二国間クレジット制度と環境技術移転
小松 潔 一般財団法人日本エネルギー経済研究所主任研究員
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 日本政府は,日本の優れた温室効果ガス(GHG)排出削減技術や製品などを,途上国に提供し,その結果,得られるGHG排出削減量を,将来の日本の排出削減目標の達成に利用することを目的とした二国間オフセットクレジット制度(BOCM)の構築に向けて動き出した。京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)が様々な課題を抱えていることが背景にあり,本稿では,CDMの課題を踏まえ,BOCMで検討されている新しいアプローチについて説明し,日本の省エネルギー技術の普及において担いうる役割を検討する。

<総説>

水銀条約におけるBATによる排出規制
鈴木明夫 元JEFテクノリサーチ株式会社主任研究員
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 国連環境計画は水銀によるリスク削減のための包括的な法的拘束力のある条約の制定を進めている。条約には主要産業の排ガス中の水銀の排出規制が含まれ,BAT(Best Available Technology)に基づいて設定される排出基準値により規制されると見られる。BATによる規制は日本では馴染みが薄いが,欧米では一般的に採用されている。そこで,米国とEUにおけるBATによる排出規制について,排ガス中の水銀規制を事例として,排出基準値の設定方法,工場への強制力執行方法,規制の特徴などについて考察する。

<シリーズ>

【新・環境法シリーズ8】 土壌汚染対策費用をめぐる紛争の動向
阿部 満 明治学院大学法学部教授
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 土壌汚染対策法が施行され,市街地での土壌汚染の可能性が法的リスクと不動産取引において認識されるようになってからは,土壌汚染調査が定着し,このような土壌汚染が発見される例が増え,対策費用負担をめぐる裁判例も蓄積されつつある。土壌汚染対策法に基づく対策の数は限られており,これらの裁判は,契約,不法行為などの既存の権利義務に関する一般規定を用いて問題の解決を試みている。本稿は,最近の裁判例を紹介しながら,土壌汚染紛争の特色と裁判上の問題点を簡単に検討している。

【環境法 法令違反から学ぶCSR経営3】微量化学物質による健康被害-化学物質過敏症
浅野明子 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 近時,人体に有害な化学物質であれば,健康被害を引き起こす科学的メカニズムが必ずしも明らかでなくても,微量化学物質と慢性的な健康被害との因果関係を認める裁判例等が徐々に出てきている。特に大手事業者の責任を広く捉える傾向にある。今回は,販売ストーブで化学物質に対する慢性疾患を発症したとして販売者の不法行為責任を認めた裁判例を取り上げ,販売業者に課せられる予見可能性や結果回避義務の範囲の課題を解説する。

【天網恢々 廃棄物処理法許可不要制度3】省令(施行規則)に規定のある許可不要制度
長岡文明 BUN環境課題研修事務所
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 廃棄物の伝道師BUN先生と仮想の総合商社の環境部門に所属するリサちゃんとの対話を通して廃棄物処理法を分かりやすく解説する。第3回目は「廃棄物処理法許可不要制度」について話をする。

【先読み!環境法1】放射性物質による環境汚染防止が環境基本法,循環社会基本法の対象に
小幡雅男 東京工科大学講師
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放射性物質による環境汚染防止が環境基本法,循環社会基本法の対象に使用済小型電子機器等の再資源化促進法の制定。継続審議が続く地球温暖化対策基本法案。再生可能エネルギー買取制度が7月1日から実施。

【実践マテリアルフローコスト会計81】マレーシアでのマテリアルフローコスト会計の応用展開
立川博巳 プロファーム ジャパン株式会社代表取締役社長
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 マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting: MFCA)は,生産プロセスにおける投入物質のフローに基づき製品(良品)となった投入物質を「正の製品」,廃棄物となった物質を「負の製品」と捉え,正の製品及び負の製品を同等に価値評価する。この価値評価を通じて,負の製品コストを算出することで,生産プロセスにおけるムダの削減を促進する,環境負荷の低減とコストダウンの両立を達成することを目的としたマネジメント・ツールである. 当該手法の国外での普及を図るべく,2010~2012年にかけて,マレーシアにおいてMFCAの実行プロジェクトが実施された。対象企業の業種は,自動車オーディオ部品製造業者,自動車金属パーツ製造業者2社,石油ガスパーツ製造業者,及び電線製造業者の計5事業者である。これらの企業に対して,筆者を含む専門家がマテリアル/コスト計算方法,及び改善ポイントに関して指導並びに関連知識についてアドバイスを実施した。当該プロジェクトの結果,5社で日本円に換算して少なくとも約5,000万円のコスト削減及び大幅な廃棄物削減効果が確認され,海外企業におけるMFCAの効果が確認された。

<報告>

環境放射能除染のための国際シンポジウム―第1回環境放射能除染研究発表会 報告
大岡健三 一般社団法人産業環境管理協会出版・広報センター
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 全国から約700人の聴衆を集めた国際シンポジウムが,環境放射能除染学会主催,環境省共催で2012年5月19日に福島市飯坂で行われた。シンポジウムでは国内のみならず欧米から招いた7名の専門家が講演した。米国政府や経済協力開発機構原子力機関(Nuclear Energy Agency /OECD)などの講演では,過去の除染の経験や最新の知見を福島でも活用すべきといった主張が目立った。本報告ではパシフィックノースウエスト国立研究所のチーフサイエンティスト大西康夫氏の講演について少し詳しく報告する。

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