環境管理バックナンバー 2009年 11月号

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2009年11月号 通常号

<総説>

中期目標の六つの選択肢が意味すること
秋元圭吾 財団法人地球環境産業技術研究機構
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 2013年以降の日本の排出削減目標を決定するにあたり,2008年11月~2009年4月にかけて政府の中期目標検討委員会において,2020年の排出削減目標を中心に分析・検討が行われた。そこでは,2005年比で4%減から30%減までの六つの選択肢を提示し,それぞれの選択肢について,国際的公平性,長期目標との関係,実現可能性,国民負担の大きさの視点を中心に分析が行われた。本稿では,六つの選択肢が,これらの四つの視点からどのように評価されたのかについて解説する。また国民が,科学的に分析・評価された情報を基にしつつ,この六つの選択肢をどのように評価したのかについても触れる。

EUによる中期目標検討とその背景
工藤拓毅 財団法人日本エネルギー経済研究所地球環境ユニット総括
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 気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)では,京都議定書以降の気候変動に関する新たな枠組み合意に向けた議論が行われる。そこでは特に,各国における2020年前後における中期の温室効果ガス排出量目標(中期目標)がどういった形で取りまとめられるかが注目されている。日本の中期目標のあり方を議論するにあたっては,先進国間における目標の公平性をいかに担保するかが課題となるが,その検討には欧州連合(EU)をはじめとする各国の目標検討背景やその内容を十分に吟味することが必要である。

IPCCの概要と最新の動向
大西 洋 財団法人地球産業文化研究所主席研究員
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 地球温暖化問題への関心がかつてないほど高まりをみせるなか,「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)の活動に世界の注目が集まっている。IPCCは,広範な分野にわたる専門家の執筆・査読を通じて,これまでに4回の評価報告書を作成しており,最も権威のある科学的論拠として「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」等の国際的取組や各国の政策決定者へ様々な知見を提供してきた。現在,2013年から2014年の完成を目指して,第5次評価報告書の作成作業が始まっている。本稿ではIPCCと各評価報告書の概要,最新の動向について解説する。

「エコプロダクツ2008」のCO2排出量算定
伊坪徳宏 東京都市大学環境情報学部准教授
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 イベントは価値観を共有する多数の人々が短期間で集合するという特徴があることから,高い広告力を有している。いま,環境教育の手段としてイベントが見直されており,環境をテーマにした多くのイベントが開催されている。洞爺湖サミットやワールドカップなどでもカーボンオフセットを実施するためにイベントの二酸化炭素(CO2)排出量を求めた。しかしながら,これまでに実施されたイベントのCO2排出量調査は算定範囲が一部に限られ,ライフサイクルの視点が欠落しているため,CO2排出量を過小評価しているものと考えられた。著者らは,日本最大の環境イベントである「エコプロダクツ2008」を対象として,主催である産業環境管理協会らと連携して,ライフサイクルの視点からみた世界初のCO2排出量算定調査を行った。従来検討されてきた電力や来場者の移動だけではなく,創作物,配布物,展示物,備品,広告,廃棄など包括的に評価した。その結果,創作物や配布物などに由来するCO2排出量が相対的に大きいことが判明し,誤解なく適切にCO2削減のための戦略を練るための基礎的情報を得ることができた。

中小企業のLCA支援―環境性能の見える化
南山賢悟 社団法人中部産業連盟
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 企業の環境対応は様々なステークホルダーから当然のように求められてきた昨今,特に製品自体に対して高い環境性能を多くのユーザーは求めるようになってきている。大手企業のみならず,中小企業にもその対応が必要となり,製品の環境性能についてライフサイクル全般を対象とするライフサイクルアセスメント(LCA)の手法が導入されはじめいる。本稿は中小企業へのLCA導入について,専門家の立場でどのように支援していくべきかをそのプロセスと支援ポイントとともに解説し,中小企業へのLCA普及と,製品の環境性能の改善に役立つことをねらいとしている。

<シリーズ>

【環境法の新潮流69】アメリカ合衆国の環境法戦略の新動向―オバマ政権における気候変動に対する国内外の政策と法的対応の動向
ジョージナ・スティーブンス 東京青山・青木・狛法律事務所 ベーカー&マッケンジー外国法事務弁護士事務所(外国法共同事業)外国資格アソシエイト
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 2009年1月,政権交代でオバマ政権になってから,米国の気候変動に関する国内外の政策に大きな変化がみられる。ブッシュ政権の下での気候変動に対する国内外の政策は,人類の活動に由来する温室効果ガス(GHG)がもたらす影響を否定し,その削減義務・規制の創設を拒否する傾向にあった。これに対し,オバマ政権では連邦議会下院での地球温暖化及びエネルギー問題に関する法案(いわゆるワックスマン・マーキー法案)が議論され,可決された。この,ワックスマン・マーキー法案の内容については,気候変動対策に積極的な州政府の多く,及び連邦行政機関である米国環境保護庁が支援している。また上院では,その関連法案が9月30日にようやく提出された。同法律は,米国が前向きな姿勢を示している2009年12月の国連気候変動会議までに成立するかどうか不明であり,米国が国際的なGHG削減目標に関する合意にコミットできるかどうかもこの動向により影響される。いずれにせよ,これまでGHGを最も多く排出してきた米国が国内外において本格的に気候変動対策に取り組み始めていることは他国にとっても重要な動向である。よって,今後どのような形で法令として成立するか,注目を集めるところであろう。

【実践マテリアルフローコスト会計50】環境管理会計を使った経営革新のためのアプローチに関する考察―PIUS‐CheckとMFCA,中小企業への導入事例をもとに
梨岡英理子 株式会社環境管理会計研究所取締役/公認会計士
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 資源生産性の向上は重要なテーマである。しかしながら経営資源の豊富な大企業とそれらが不足しがちな中小企業では,マテリアルフロー分析から改善提案までのアプローチも異なる。そこでマテリアルフローを使うマテリアルフローコスト会計(MFCA)とPIUS-Checkという二つのツールを使って,企業規模によるアプローチの方法を検討した。大企業ではMFCAから導入して効果が得られやすいが,中小企業はまずPIUS-Check的観点から始めることですぐに改善に着手し,効果を得つつMFCA概念を理解することが可能となる。この両方のツールを導入した中小企業の例を紹介しつつ,二つのツールの相違点や活用法を考察する。

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