環境管理バックナンバー 2014年 6月号

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2014年6月号 特集1 再生可能エネルギーの展望と法的課題/特集2 洋上風力発電の法的課題

<コラム>

世界の再生可能エネルギーと我が国の展望
本誌編集部
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世界の再生可能エネルギーと我が国の展望について解説する。

<特集1>

再生可能エネルギーをめぐる現状と課題
資源エネルギー庁新エネルギー対策課
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 再生可能エネルギーの導入拡大は、我が国にとって重要な政策であるが、コスト高をはじめとする諸課題がボトルネックとなっている。それらの諸課題を克服するべく、現在、固定価格買取制度の運用や大型蓄電池の活用、そして系統強化や環境アセスメントの迅速化などに取り組んでいる。
 今後も固定価格買取制度の安定的かつ適切な運用に加え、各種施策を総動員することで、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大を進めていきたい。
各種再生可能エネルギーの現状と法的課題
浅野明子 高木國雄法律事務所弁護士 日本CSR普及協会環境法専門委員会委員/伊達雄介 新千代田総合法律事務所弁護士 日本CSR普及協会環境法専門委員会委員/野尻裕一 岡村綜合法律事務所弁護士 日本CSR普及協会環境法専門委員会委員
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 近年、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの普及が急速に進んできたが、全体として見ればまだまだ導入量は少なく、導入への課題も多い。他方で、検討すべき事項も十分に整理されていない中で急速に新規設備の導入が進められた結果、新しい環境問題も生じてきている。
 本稿では、再生可能エネルギーを中心としたエネルギー供給体制へのシフトに対する期待を込めて、現状をできる限り定量的に示しつつ、具体的な事例に触れながら法的課題を整理していく。FIT制度の対象となった太陽光、風力、中小水力、地熱及びバイオマスによる発電について本稿では論じる。
上下水道や農工業用水を利用した新しい小水力発電
富澤 晃 東京発電株式会社水力事業部マイクロ水力営業グループ
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 再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)の法整備を受け、今まで水力発電に関係のなかった上下水道や農工業用水といった水インフラの保有者・管理者の間で、水力発電設備の設置・運営が注目を浴びている。FITによりコスト面での課題は解決に向かったものの、水力発電を推進できる技術者・支援者は潤沢にはおらず、「何から手を付けたらよいのかさえ分からない」状態といってもよい。
 中小水力発電事業を主体とする東京発電(株)では、自らが培ってきた開発ノウハウや運転・保守技術を用いて、既設水インフラ設備への水力発電の設置や検討支援を実施している。その現状と開発事例について紹介する。
栃木県における水力発電普及拡大のシナリオ ―全国初!「河川活用発電サポート事業」の報告
松本 茂 栃木県環境森林部地球温暖化対策課課長補佐/博士(工学)
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 栃木県では地球温暖化対策を推進するため、地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大の取組を進めている。栃木県は河川の源である山地や森林を有することから、豊富な水資源を活用して年間を通して安定した水力発電の実施が可能である。そこで、県では水力発電の一層の導入を促進するために、県が民間の発電事業者を積極的に支援する「河川活用発電サポート事業」を立案し、実施することとした。
 本稿は、栃木県の水力発電に係る施策の体系を示した上で、本事業の概要やこれまでの経過について報告するとともに、今後の展開について述べるものである。
洋上風力発電の事業化における海洋・沿岸域管理法制度コンプライアンス上の法的課題
高橋大祐 真和総合法律事務所弁護士/日本CSR普及協会環境法専門委員会委員
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 大いに注目されている洋上風力発電の事業化にあたっては、海洋・沿岸域管理法制度上の法規制を遵守する必要があるところ、同制度に関しては、法の空白域が存在し、かつ総合的な管理が欠如しているなどの問題点が指摘されてきた。特に洋上風力発電の事業化に向けた動きが進むにつれて海洋・沿岸域管理法制度の問題点が一気に顕在化しており、コンプライアンス上のリスクとして様々な法的課題が浮かび上がっている。
 本論文では、その法的課題を詳細に分析した上、これらの課題に対処するための法制度のあり方及び動向を解説するとともに、現状での事業者の対応のあり方に関して議論する。

<特集2>

洋上風力発電の事業化における漁業関係者等ステークホルダーとの合意形成上の法的課題と展望
松谷真之介 弁護士法人鈴木康之法律事務所弁護士
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 洋上風力発電の事業化には、同事業を取り巻くステークホルダー、とりわけ漁業関係者との合意形成が不可欠である。本論稿では、合意形成が実現しなかった場合のリスク等を検討した上で、漁業関係者との合意形成の必要性を明らかにする。そして、事業者及び漁業関係者等がwin-winの関係を築けるような合意形成を実現する上での現行法制度上の課題及び展望を述べる。
漁業権に関する裁判例の分析と洋上風力発電事業における留意点
鎌田 智 鎌田法律事務所弁護士
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 漁業権は妨害排除請求権等の物権的性質を有する権利であり、漁業関係者との合意形成なしに海域を利用する事業の円滑な進行は望めない。事業者、国、自治体と漁業関係者との裁判は数多い。裁判例を踏まえ、漁業協同組合が一枚岩ではなくステークホルダーの選出・合意形成にあたって慎重な配慮を要すること、一方で合意形成を進めるための漁業補償金の支払いが株主・自治体住民からの反発につながる場合があることなど、洋上風力発電事業の推進についていくつかの重要な留意点を実務面から解説する。
洋上風力発電の事業化における再エネ法上の課題
中山和人 虎ノ門イデア法律事務所弁護士
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 洋上風力発電については、これまで、十分なコストデータが集まっていないとの理由により、単独の区分が設定されず、洋上風力に見合った調達価格が設定されていなかった。平成26年度には洋上風力区分が新設され、調達価格も設定されたが、一定の課題も存在する。また洋上風力発電は、風況により出力が左右されることから特有の問題があり、それが電力会社からの接続拒否に至る場合も存在する。そこで、洋上風力の調達価格設定に至る経緯、設定された調達価格の課題及び展望を述べるとともに、接続拒否とその問題点についても述べる。
洋上風力発電事業に対するファイナンス手法とその法的課題
遠藤幸子 ベリタス法律事務所弁護士・税理士
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 固定価格買取制度の導入で、洋上風力発電事業等再エネ事業への投資に予見可能性が与えられ、投資を推進するためのスキームづくりも進んでいる。しかし、固定価格買取制度を実現していく場合には電力会社の接続拒否等の問題があること、様々なステークホルダーとの利害調整の見通しが難しく時間と費用が不透明であること、大きなポテンシャルを有するとして注目されている海洋再エネには実例が少なく技術も開発途上であること、海洋についての法整備も不十分であることなど、リスクもある。このような現状を踏まえて、再エネ事業のファイナンス手法と実際に行われている実例、及び事業リスクについて検討を加える。
我が国の洋上風力発電の 課題と展望
岡田康彦 弁護士法人北浜法律事務所弁護士/日本CSR普及協会環境法専門委員会委員
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 風力発電は、大型化、集合化を図れば発電量も確保でき、価格の低下も期待できる。しかし、陸上では限界があり、こうした特長が活かせるのは洋上風力発電であるが、課題も多い。
 本稿では、どういう課題がありそれをどのように克服すべきかを考察している*1が、詰まるところ洋上風力発電の目標発電量(ポートフォリオ)を決めて国策として関係省庁、自治体、電力会社等が協調して目標実現に取り組んでいくしか諸課題の克服の道はない。最近、エネルギー基本計画が策定され、国のエネルギー政策の取り組み方針が打ち出されたので、まずこれを概観した上で本論に入る。最後に、当面の洋上風力発電伸長のための道筋を示す。

<シリーズ>

【受験ガイド シリーズ4】公害防止管理者の資格取得支援事業--受験講習会、通信教育、関連書籍
本誌編集部
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 当協会では、毎年10月の初旬に、「公害防止管理者等国家試験」を行っています。この連載は、国家試験や認定講習で公害防止管理者資格の取得をめざしている方を対象に、平易なガイド情報をお届けしています。今回は第4弾ですが、当協会が行っている、公害防止管理者の資格取得支援事業を解説します。受験講習会、通信教育、書籍については、本誌に広告も掲載していますので、併せてご覧ください。
【よくわかる地球温暖化問題シリーズ3】地球温暖化対策はどれくらい必要なのか?
亀山 康子 独立行政法人 国立環境研究所
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 2014年4月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会から公表された、地球温暖化対策に関する第5次評価報告書では、今後、何も対策をとらなかった場合に想定される将来の温室効果ガスの伸びと、地球温暖化の被害を最小限度に抑えるために必要な排出削減量並びに必要な対策について、近年の科学的知見がとりまとめられた。ここでは、この報告書で提示された内容を概説する。また、日本の2012 年排出量がようやく確定され、京都議定書目標が達成されたことについてもふれる。
【新・環境法シリーズ30】2020 年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメントと持続可能性アセスメントへの道
柳憲一郎 明治大学法科大学院教授
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 持続的発展には、自然のもつ再生能力を維持することによって、将来にわたって利用できる環境資源を残す、もしくは、環境を利用する場合、環境のもつ自然の浄化能力(環境容量)自体を将来的に維持できるような方法で利用することが不可欠な条件となる。それゆえ、持続可能な社会とは、その社会を成り立たせている生産基盤である生態系と、それを支えている自然の総体を健全に維持するように、現世代のニーズを成長管理する社会のことだといえる。それを実現するツールとして、持続可能性アセスメント(Sustainable Impact Assessment、以下、持続アセスという)と呼ばれるものがあり、その先駆けとして、欧州委員会で実施している規制アセスメントがある。また、我が国の2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に係る環境アセスメントも環境、社会経済項目を評価する戦略・持続アセスの試行として位置付けられる。本稿では、それらを紹介することにしたい。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営26】裁判例から考える高層建築物建設による風環境の変化を巡る紛争の対策
町野 静 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 高層建物が建築されると、それによって建物周辺の風環境が変化し、近隣の生活環境にも重大な悪影響をもたらす場合がある。しかし、風環境の変化による環境問題は、風が自然現象であるという性質上、法規制も少なく、紛争になった場合の解決が容易ではない場合も多い。裁判においては、風環境による被害の内容や、被害と建物建築との間の因果関係等の判断の難しい論点について争われており、慰謝料のほか、近隣に所在する不動産の価値下落分が財産的損害として認められた例もある。こうした事情は、事業者としては無視できないものである。
 そこで本稿では、風環境の変化に関する基本事項をごく簡単に解説した上で、風害が問題となった裁判例を紹介し、そこから得られる紛争防止の対策について検討を試みる。
【実務に使える産業廃棄物関連法3】廃棄物該当性の判断基準
佐藤 泉 佐藤泉法律事務所 弁護士
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 廃棄物処理法を守るためには、対象となるものが廃棄物であるかを判断しなければならない。廃棄物処理法第2条第1項では、廃棄物とは「不要物」とされている。しかし、第三者が客観的に、不要物か否かの判断をすることは困難であるため、具体的な事例においては紛争となるケースが少なくない。判例及び通説は「総合判断説」という立場をとっており、複数の要素を総合的に勘案して判断するものとしている。また、環境省の通知等では、総合判断説を基礎としつつ、「有価物」以外は廃棄物であるとの立場をとっている。
 循環型社会では、廃棄物の発生抑制や循環的利用が必要である。しかし安易に有価物として扱うことには法令違反や環境汚染の危険があるため注意が必要だ。
【先読み!環境法23】循環型社会部会の各小委員会・専門委員会の審議状況及び水銀廃棄物適正処理検討専門委員会の設置について
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科/国際基督教大学教養学部講師
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❶ 循環型社会部会の各小委員会・専門委員会の審議状況及び水銀廃棄物適正処理検討専門委員会の設置について
❷ 3月20日に公表された名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書
【環境法改正情報】(2014年4月改正分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉化審法
◉下水道法
◉農薬取締法
◉高圧ガス保安法、一般高圧ガス保安規則
◉水循環基本法(参考)
◉雨水の利用の推進に関する法律(参考)
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