環境管理バックナンバー 2017年 11月号

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2017年11月号 特集1:製品含有化学物質情報伝達スキーム chemSHERPAの普及に向けて/特集2:水処理技術 最新動向

<特集1>

chemSHERPAの普及に向けて
町井 弘明(経済産業省 製造産業局 化学物質管理課 総括補佐)
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 社会的正義を論拠に優位な市場環境をつくる取組が、欧米の産業界を中心に積極的になされてきた。今後は、我が国産業もこれまで培ってきた社会課題に対する解決力を生かして、その競争に参加していくことが必要である。
 化学物質管理を支援するchemSHERPAはその先進的な取組の一つである。REACH 規制など海外の製品含有物質規制の執行強化があった場合にも、我が国産業、特に川中・川上企業の利益になる仕組みをつくるという政策理念の下で、支援を行ってきた。
 運動論としてのchemSHERPAは賛同企業も続々と実稼働を始めるなど一定の成果を得た。今後、上記理念が実現できるよう、また、より多くの企業に利用いただけるよう、尽力していきたい。

製品含有化学物質管理の標準手法 chemSHERPA
山藤 憲明(一般社団法人 産業環境管理協会 アーティクルマネジメント推進協議会 所長)
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 成形品における製品含有化学物質管理は、国際的に合意された化学物質管理の高度化を目指し、2000年頃から欧州で制定された規制の遵法対応として始まった。自動車業界は2002年にはいち早く一元的管理を開始した。電機・電子業界においては、個社対応として開始され、複数の統一化の動きを経て、製品含有化学物質管理の国際規格が2012年(IEC62474)に制定された。その国際規格を受け、経済産業省がリードする形で製品含有化学物質管理手法であるchemSHERPA(ケムシェルパ)が開発された。chemSHERPAは国際規制に日本語で対応可能なツールで、サプライチェーンのコストダウンをめざし、企業、業界による導入が開始されている。

<特集2>

汚泥の脱水とは――海外専門書でみる脱水法を主に
本誌編集部
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 製造業向けの排水処理に関する米国専門書を読むと脱水技術が特に重視されている。理由は簡単で排水処
理プロセスの中で経費削減効果が著しく大きいからである。効率的に脱水ができれば減容化が進み、汚泥の処理料金、その保管・運送費、人件費などが少なくなる。
 下水など有機汚泥のほとんどは水分(98~99%以上)でありそのままでは焼却できないため、脱水処理して脱水ケーキにする必要がある。脱水ケーキは埋立や焼却だけでなく、品質管理を条件に高度脱水することで燃料や肥料などに再利用できた例もある。
 一般的に日本国内では、沈殿分離によって発生する汚泥の固形物濃度は2wt%以下のものが多く、流動性を有するので固体としての取り扱いができない。したがって、これを脱水することが必要になる。脱水される水量当たりの費用は沈降濃縮によるものが最も安く、機械的な脱水(ろ過、遠心分離など)がこれに次ぎ、熱による脱水(蒸発、乾燥)が最も高い。
 米国専門書には多くの脱水技術が紹介されているが、その中から遠心分離機、ベルトフィルタープレス、スクリュープレス、真空フィルターについて抜粋し解説する。さらに、ジオテックスタイルやラグーンなどいかにも米国らしい興味深い手法も簡単に紹介する。なお、米国専門書の数値データや詳細スペックは省略する。

次世代型「省エネ型遠心脱水機」の導入効果
賀籠六 淳一(三機工業株式会社 環境システム事業部 水エンジニアリング1部 水エンジニアリング1課)
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 遠心脱水技術は汚泥の脱水処理に古くから用いられ、ケーキ含水率の低減や省エネルギー、特に低動力に向けた開発も長年行われてきた。遠心脱水技術は、大規模処理が可能で処理の安定性に特長を持つ一方、低動力化への要望はいまだに強くあるのが現状である。
 このような状況の中で、三機工業(株)では、省エネおよび処理能力が向上した新型のデカンタ型遠心脱水機を技術導入した。すでに2015年3月には下水処理施設向けとして、日本初となる省エネ型遠心脱水機の導入に成功することができた。汚泥等の流体が持つ加速動力を低減する技術導入等により大幅な省エネ効果を達成している。本稿では、省エネ型遠心脱水機の基本原理の解説と導入後の効果について報告する。

汚泥脱水処理――凝集剤及び脱水助剤の技術
髙橋 広治(水ing株式会社 民需・薬品事業本部 薬品技術センター 薬品技術二課)
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 汚泥脱水技術において最も重要な要素は、汚泥及び脱水機に適した凝集剤を選定することである。しかし、現場における汚泥の種類、性状及び変動は多岐にわたり、効果を発揮しないときもある。ここでは、当社凝集剤の凝集機能やその使用方法を説明する。
 一方、近年はバイオマス施設が増加するなど消化汚泥等の難脱水性の汚泥が増えて、脱水ケーキの低含水率化が難しくなっている。難脱水性汚泥に関して新たに開発された当社の脱水助剤は生分解性の短繊維状の薬剤で、少量添加することにより脱水ケーキ含水率の低減効果があり、汚泥の有効利用として燃料化やコンポスト化も期待できる。この脱水助剤について解説する。

<総説>

流動床式ガス化溶融炉における運転ビッグデータを活用した操業自動化
青木 勇(株式会社 神鋼環境ソリューション 環境プラント技術本部 技術統括部)
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 流動床式ガス化溶融炉は、多種多様な廃棄物の処理に適用可能で、燃焼効率が高く制御応答性が良好、廃熱ボイラは高温高圧の蒸気条件(6MPa×450 ℃)が可能であるため高い発電効率が得られるといった特長を有する。流動床式ガス化溶融炉の特長を活かし、操業自動化に向けた制御システムとして、運転ビッグデータを用いた各種自動運転制御システムを開発し、実機プラントに導入した。ここで、モデル予測制御を用いた廃棄物発電の安定制御技術、非定常時における排ガス規制値超過防止のための自動制御技術について紹介する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第18回】原発の電気は安いのか?(中編)
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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保すること、資金調達コストを低減し得るよう信用力の補完策を講じるなど、条件を整える必要があるのだ。
 制度設計次第でコストが変わることは原子力発電に限ったことではないが、資本集約率の高い原子力発電においては特に顕著となる。そのため、電力自由化を実施してなお原子力発電を維持しようとする米国や英国においては、政策的支援策が講じられているが、わが国においては、次期エネルギー基本計画でも原子力をどう扱うか見通しが立っていない。
 震災後に策定された新規制基準に適合した発電所( 再稼働)もようやく全国で5 基という現状において、わが国の原子力技術利用の将来を議論するのは時期尚早であるとの批判もあるだろう。しかし、原子力という技術のメリットを概念的に述べるのではなく、数字で議論しなければ国民も判断はできない。社会がある技術の利用をするか否かは、その技術の利用に伴って得られるメリットとデメリット(リスク)の比較衡量によるのであり、リスクをどこまで減じられるか、逆に利用しないことで生じるリスクは他で代替できないのかを徹底的に検討する必要がある。同時にどうすればその技術利用に伴って国民が享受するメリットを最大化しうるのかも検討せねばならない。原子力発電も含めて各電源のコストについては、これまでにもいくつかの試算が示されていたが、資金調達コストや稼働率などの変数がどの程度原子力のコストに影響を与えるのかについて定量的に十分語られて来たとはいいがたい。もちろん原子力については、バックエンド事業のようにコスト見通しが困難な事業もある。しかしできる限り定量的な評価を行った上で、メリットとデメリット(リスク)を比較考量し、今後もわが国が原子力技術を利用するのかどうか判断すべきであろう。
 原子力過酷事故のテールリスクや原子力規制の厳格化などによって、かつてに比べ事業リスクが高まっているうえ、そもそも自由化されれば、電力会社の財務健全性が厳格に評価され、資金調達コストに反映されることになる。このままであれば日本で民間事業者による原子力の新設・リプレースが起こることは期待できないだろう。既存の原子力発電所の運転期間終了に伴って、着々と脱原発が進むに任せておけばよいのであればそれでよい。しかしそうではない場合に備えた頭の体操をしておきたいと思う。

【産廃コンサルタントの法令判断/第20回】廃掃法で規制のない「R C F」──何も対応しなくていいの?
渡山 夏代(株式会社 ミズノ 環境コンサルティング事業部 マーケティンググループ)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第20回)。

【新・環境法シリーズ/第69回】CCSの総合政策研究
柳 憲一郎(明治大学法科大学院 教授・環境法センター長)/小松 英司(明治大学環境法センター 専門研究員)/中村 明寛(明治大学環境法センター 研究推進員)
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【まるごとわかる環境法/第27回】労働安全衛生法(第3回)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
 第27回は「労働安全衛生法」(第3回)
 
 5.リスクアセスメント
 6.作業主任者の選任
 7.化学物質の発散抑制装置等の発生源対策及び適切な保護具の着用
 8.排気装置等の定期自主検査
 9.作業環境の測定
 10.健康診断
 11.設備の届出
【先読み! 環境法/第65回】「モントリオール議定書キガリ改正を踏まえた今後のHFC 規制のあり方について(案)」に対するパブリックコメントを10月6日から11月6日まで実施
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 キガリ改正に対応する国内制度の整備のあり方について、産構審フロンWGと中環審フロン小委員会の合同会議において議論が行われた。この結果を踏まえて取りまとめられた報告書(案)の内容について紹介する。また、POPs条約の附属書改正により条約に追加された2物質群を、化審法の第一種特定化学物質に指定することが適当であるとする結論を受けて、化学物質規制の変化について考察する。

❶「 モントリオール議定書キガリ改正を踏まえた今後のHFC規制のあり方について(案)」に対するパブリックコメントを10月6日から11月6日まで実施
❷「 POPs条約附属書改正に係る2物質群(デカブルモジフェニルエーテル及び短鎖塩素化パラフィン)の化審法第1種特定化学物質への追加指定について(第1次答申)」8月1日の中央環境審議会――化審法の第1種特定化学物質とPBT基準との関係、同法25条の代替困難用途の適用除外とPOPsのエッセンシャルユースとの関係そして第一種特定化学物質規制の性格の変化
環境法改正情報(2017年9月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ⦿労働安全衛生法
 ⦿農薬取締法

<トピックス>

エコプロ2017 ~環境とエネルギーの未来展 開催概要
安井 基晃(一般社団法人 産業環境管理協会 地域・産業支援センター 事業企画室長)
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 12月7日(木)から9日(土)にかけて当協会と日本経済新聞社との共催で東京ビッグサイトにおいてエコプロ2017~環境とエネルギーの未来展を開催する。
 本展示会は今回で第19回目の開催となるが、来年には第20回の節目の開催を控え、今後の展示会の目指すべき方向性を見定める上ではひとつの節目になると言える。
 本稿では、エコプロ2017での当協会の活動計画を中心に展示会の概要を紹介する。
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