環境管理バックナンバー 2021年 7月号

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2021年7月号 特集:工場の水処理技術 最新動向

<巻頭レポート>

最近の気になるニュース・クリッピング
本誌編集部
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⦿プラスチック資源循環法が成立
⦿プラスチックごみ削減へ 容器回収し再利用
⦿マイクロプラスチック削減取組みを紹介
⦿廃プラを一切排出しないゼロ・エミッションを実現
⦿メタン化処理の利用促進
⦿改正瀬戸内海環境保全特措法が成立
⦿中国が古紙の輸入を禁止
⦿ゲンゴロウ増加、温暖化が影響か 長崎大分析
⦿2030 年までのCO2削減目標 各社が発表
⦿「SDGs自動販売機」を設置
⦿レーザー洗浄 東成エレクトロビーム株式会社(2020洗浄総合展)

<特集>

IoT、インターネットを活用した排水処理技術
育野 望(栗田工業株式会社 ソリューション推進本部 技術部門 ウォーターソリューション推進部)
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 製造工程並びに工場の運営において水を使用する企業や事業所が抱えているニーズとして排水処理設備における安定運転化の実現、運転管理の省人化、運転コストの削減が挙げられる。事業所が抱えるこれらニーズに応えるべく、排水処理設備において特に中心的設備である凝集沈殿設備に対し、凝集剤注入量を最適にかつ迅速に制御でき、運転管理状態をリアルタイムで監視可能なサービスの展開を開始した。本稿においてはIoT、インターネットを活用した排水処理の安定化、効率化に貢献できるソリューションとしてS.sensing® CS並びにS.sensing® CSのほか様々なソリューションをパッケージ化したサービスである排水処理サポートについて紹介する。

冷却水処理剤「オルブレイド」シリーズによる省エネソリューション
西山 毅(オルガノ株式会社 機能商品事業部 薬品部)
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 多くの工場や施設で使用されている冷凍機の冷却水ラインは、水質や運転状況によってスライムやスケールが発生し、冷凍機の熱交換効率に悪影響を及ぼす。定期的な水の入れ替えや定常的な薬剤処理により、これらの冷却水障害を抑え、冷凍機の熱交換効率を高い状態で維持することが運転管理上重要となる。ここで紹介するのは冷却水障害に対して効果の高い冷却水処理剤「オルブレイド」シリーズと、このオルブレイドを現場ごとに選定・組み合わせ、冷凍機運転の省エネ化を提供するソリューションである。この省エネソリューション提案は2020年度の省エネ大賞において、省エネルギーセンター会長賞を受賞した。

ドイツの汚水処理実態――凝集沈殿法
本誌編集部
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 ドイツでは凝集補助剤と呼ばれる高分子系凝集剤が主役になっている。汚水処理技術は多種類の水処理薬剤を効果的に使用した凝集沈殿法などが一般的であり、処理時間や余剰汚泥の削減など技術革新を進めている。
 ドイツの工場や事業所は適用される法的基準を順守するために廃水を厳格に処理するが、中小事業所のほとんどは公共下水道網に処理水を放流する「間接放出者」であり、下水処理施設で最終的な処理をしてから公共用水域に放流している。一方の「直接放出者」は廃水処理に関して最善の技術水準を採用する法的義務もある。
 本稿の後半で紹介するドイツの部品メーカーPA社の具体的な凝集剤の利用法、納入業者の選び方などは非常に具体的で興味深い。
 ドイツの工場廃水に関する処理技術と規制の情報は貴重であり参考になる。本稿は公開されている「ドイツの工場廃水処理に関する環境規制および凝集剤市場の動向調査」(ジェトロ、2010年3月)を「」内に引用および参考にさせていただいた。なお、日本に関する事項や解説などは弊誌が独自に追加したものである。

<総説>

ISO 14001の25年――環境マネジメントシステムの展望
竹内 秀年(株式会社日本環境認証機構(JACO)審査本部 参事)
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 2021年はISO 14001が発行して25年目にあたる。1990年代にそれまで公害問題中心だった企業の環境対策が地球環境問題対応へと軸足移していく中で、ISO 14001が果たした役割が少なくなったことは、ことさらに述べるまでもない。しかしながら、残念なことに25年たった現在、企業の環境対策にしっかりと定着しているISO 14001への関心が、些か薄くなっている印象がある。
 本稿ではISO 14001の25年を振り返りつつ、2050年のカーボンニュートラルを見据え、これまで以上に真剣に取組みが求められる環境の諸課題に対して「ISO 14001がどのような役割を果すべきなのか」、その展望について企業の環境担当者の視点から考察する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題シリーズ53】日本の脱炭素戦略の不整合──省エネ法の改正を考える
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 大幅な脱炭素化に向けてのセオリーは、電源の低炭素化と需要の電化の同時進行である。電源構成に対する関心は高く、FIT制度に象徴されるようなゼロエミッション電源の拡大に向けた政策的支援も手厚い。一方で需要側の転換に向けた議論は、消費者の行動変容と言った「気持ち」の議論に陥りがちで戦略的観点が不足しているのではないかという問題意識を筆者は持っている。
 政策的にも電化を阻害する制度が存在し、政策的方向性の不一致がみられる。その象徴がFITによる再エネ発電賦課金だ。再エネの環境価値に対する対価として支払われる再エネ発電賦課金は、電気にだけかかる炭素税だ。電気料金単価は会社やメニューによって異なるものの、約20円/kWhと仮定すると、賦課金の3.36円/kWhは約15%にもなる。それがさらにこれから増えていくこと踏まえ、電力需要を減らし賦課金の掛からない化石燃料に転換する計画を立てている企業の話も耳に挟む。電気だけに賦課金をかけることで、化石燃料の消費を続ける、あるいは増やすことに誘導してしまっている。
 再エネ発電賦課金に加えて電化の阻害要因となっているのが「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下、省エネ法)である。省エネ法は、再エネ電気を契約している需要家であっても“化石燃料により発電された電気”として報告することになっており、電源構成の変化や選択肢の多様化を柔軟に反映できない制度だ。省エネ法の致命的欠陥を早急に正さなければ、むしろ再エネ発電と電化の普及阻害要因となる懸念がある。
 本稿では、産業の現場などにおける温暖化対策の主要な規制である省エネ法の時代遅れを是正し、本来の機能を果たせるようになるにはどのような改善が必要であるかを検討したい。
【弁護士からみた環境問題の深層/第7回】東京大気汚染訴訟にみるメーカーの責任と公害紛争解決のあり方
町野 静(弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員)
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 直接の汚染原因行為を必ずしも行っていない製品のメーカーが法的または社会的な責任を問われるようになってきている。この点、大気汚染による健康被害について自動車メーカーの責任が正面から問題となった事案として東京大気汚染訴訟がある。
 この訴訟では、判決では自動車メーカーの法的な責任を否定したものの、その社会的な責任に言及し、結果として、自動車メーカーは解決金の支払いのほか、医療費助成制度への拠出を行うこと等を内容とする和解が成立している。
 この訴訟は、メーカーが自社の製品に起因する環境被害につき法的または社会的な責任を負う場合について示唆を与えるほか、政策的な要素を含む和解の内容は、近時の環境訴訟の解決においても参考になると思われる。
【産廃コンサルタントの法令判断/第64回】電子マニフェストが使えなくなったら?──トラブル時の対応方法を整理
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第64回)。

【新・環境法シリーズ/第113回】J-POWERにおけるCCUSへの取組み
水本 明彦(電源開発株式会社 技術開発部)
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 カーボンニュートラル社会の実現には、大気中に排出されるCO2を分離・回収し、利用または固定化するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は欠かせない手段である。J-POWERは長年CCUS技術の開発に幅広く取り組んでおり、本年2月に発表した目標「2050年カーボンニュートラルと水素社会の実現:J-POWER BLUE MISSION 2050」はそれを技術的な基盤としている。J-POWRが取り組む石炭火力からのCO2回収、CO2貯留技術、CO2利用技術とカーボンリサイクルなど多岐にわたる技術開発を見ていくことで、CCUS技術の全容を概観することができる。
【環境担当者のための基礎知識/第43回】米国で学んだ ドイツ汚水処理技術の基本──東京都の下水排除基準に適合させる廃水の処理技術
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 米国で学んだドイツ版「汚水処理技術の基本」をベースに要点を最初に紹介する。事例として金属加工の廃水処理を解説し環境化学の基本的情報も提供する。ドイツでは処理水のミネラル分が豊富で自然の流水と同等の性状にしてから河川などに戻すという原則がある。後半では東京都が公開している廃水処理の手法をレポートする。非常に簡潔な記載なので、下水排除基準を遵守すべき廃水種類とその処理方法などが把握できる。

【先読み! 環境法/第109回】衆議院・厚生労働委員長提案に係る「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律案」が成立
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 第204回(通常)国会の会期末、衆議院の委員長提案(委員会提出)に係る法律案の成立が目立った。その中から環境関連の法案を紹介する。
 なお、衆議院・国土交通委員長提案に係る「水循環基本法の一部改正」は、基本施策として地下水の適正な保全及び利用に関する規定を追加するものであるが、次号以降において紹介したい。
 
❶ 衆議院・厚生労働委員長提案に係る「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律案」が成立
❷ 衆議院・農林水産委員長提案に係る「鳥獣による農林水産業に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案」が成立
❸ 衆議院・農林水産委員長提案に係る「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案」が3月31日に成立
❹ 2021年3月31日で失効する「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期間を10年間延長する改正が成立
環境法改正情報(2021年5月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉ 省エネルギー法
 ◉ 労働安全衛生法
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