環境管理バックナンバー 2019年 8月号

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2019年8月号 特集:プラスチック問題の現状と我が国の対策

<巻頭特集>

三菱電機にきく 大気、大地、水を守り、心と技術で未来へつなぐ――世界を変える三菱電機の「キーテクノロジー」と環境ビジョン
本誌編集部
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 三菱電機㈱は、創立100年を迎える2021年を目標年とした環境ビジョンの最終段階を迎え、以降の新たな長期ビジョンを「環境ビジョン2050」として打ち出した。そのコンセプトは「大気、大地、水を守り、心と技術で未来へつなぐ」の宣言の下、事業を通じた環境課題解決、次世代に向けたイノベーションへの挑戦、新しい価値観・ライフスタイルの提案を行動指針とし、次の時代の環境経営へと進み出そうとしている。
 本記事では、総合電機メーカーとして積み重ねた幅広い技術資産を活用し、社会が求める環境課題の解決を目指す環境戦略について、常務執行役 生産システム本部長 藪 重洋氏に話を聞いた。

<特集>

プラスチック袋(レジ袋)の使用廃棄実態と政策について
酒井 伸一(京都大学 環境科学センター 教授)/矢野 順也(京都大学 環境科学センター 助教)/富田 悠貴(京都大学 環境科学センター 大学院生)/浅利 美鈴(京都大学大学院 地球環境学堂 准教授)/八代 康弘(京都市環境政策局 循環型社会推進部長)
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 海洋プラスチック問題や温室効果ガスへの影響等への関心を踏まえ、プラスチック素材の使用や資源循環を見直さなければならない時期にある。これまでの日本のレジ袋削減策の取り組み効果として、重量ベースで約半減されてきたことが京都市家庭ごみ細組成調査から明らかになった。また、消費者調査によると2008 年の311 枚/人・年から2018 年の156 ~ 179 枚/人・年へと約半減、スーパーでは7 割削減することに成功しており、一定の成果が得られている。今後は、幅広い市民の理解と行動に支えられつつも、より効果的な制度を検討し、有効な啓発活動で削減を目指すことが期待される。
持続可能な社会におけるプラスチックの使い方
加茂 徹(国立研究開発法人産業技術総合研究所つくばセンター西事業所環境管理研究部門資源精製化学研究グループ招聘研究員)
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 19世紀に発明されたプラスチックは軽くて丈夫で工業材料として非常に優れており、20世紀に入り石油化学工業の勃興によって生産量が爆発的に増大し、特に食料の流通を一変させた。一方、安価なプラスチックは大量生産・大量消費のシンボルともなった。2017年末に中国が廃プラスチック等の輸入を禁止し、海洋中に拡散したマイクロプラスチックが海洋生態系に深刻な影響を与えている可能性が指摘され、廃プラスチックは身近でしかも世界的な環境問題となっている。本稿では、廃プラスチックの現状やリサイクル技術を紹介しながら、持続可能な社会におけるプラスチックの利用方法を解説する。
海洋プラスチックごみ問題への対策とその取り組み
早田 拡生(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課 廃棄物・バーゼル係)
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 近年、プラスチックごみによる海洋汚染が地球規模の問題となっており、世界全体で対策が求められている。廃棄物の適切な管理が何より重要であるが、それでもなお廃棄物が海洋流出するリスクに対応していくため、新素材・代替素材の技術開発を促進する等、イノベーションによる解決が必要である。そこで官民一体で連携し、海洋生分解性プラスチックの開発・導入普及を促進していくため、海洋生分解性機能に係る新技術・素材の開発段階に応じて、今後の主な課題と対策を取りまとめた「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」を策定し、今後、国際標準への提案、革新的素材の開発等を推進していく。
バーゼル条約第14回締約国会議(COP14)における附属書改正等の概要
根津 正志(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課 国際資源循環管理官)
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 2019年4月29日~5月10日にかけてジュネーブ(スイス)において、バーゼル条約第14回締約国会議(COP14)が開催された。各国政府代表のほか、国際機関、NGO等が出席し、我が国からは外務省、経済産業省及び環境省が出席。本会議においてバーゼル条約附属書を改正し、汚れたプラスチックごみを条約の規制対象とすることが決定したほか、プラスチックごみに関するパートナーシップの設立が決定され、また、E-waste(電気電子機器廃棄物)及び使用済み電気電子
機器の越境移動に関する技術ガイドラインも暫定採択された。
「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(CLOMA)の活動状況について
竹下 満(CLOMA事務局次長)
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 地球規模の新たな課題である海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた取り組みを世界全体で推進することが求められている。海洋プラスチックごみを削減するためには、プラスチック製品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取り組みをこれまで以上に改善、進化させるとともに、生分解性プラスチックや紙等の技術開発により従来のプラスチック製品の一部を置き換えるなど、喫緊の対応が求められている。このため、業種を超えた幅広い関係者の連携を強めイノベーションを加速するためのプラットフォームとして、「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(英文名:Japan Clean Ocean Material Alliance、略称「CLOMA」)が設立された。設立からこれまで半年間の活動状況を紹介する。

<総説>

昨今の中国環境規制・取締り強化とその対処法
大野木 昇司(日中環境協力支援センター有限会社 取締役社長)/内海 真一(日中環境協力支援センター有限会社 社長補佐)
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 ここ数年、中国の環境規制の大幅な強化は「環境規制革命」とも表現できる。環境政策は共産党中央委の方針へと格上げされ、その取締りの厳格化は製造業各社にとって大きな経営リスクとなっている。これは習近平政権の看板「生態文明建設」であるため、今後も長く続くと見込まれる。本稿では昨今の中国の環境政策( 特に環境アセス)や環境取締り( 特に中央環境査察)の現状、それを受けて日系製造業各社が講じるべき対応策(取締り時の対応や予防的対応)についてまとめた。
熱中症と職場環境
平野 利勝(日産自動車株式会社 産業医)
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 熱中症で救急搬送となった労働者は1,178人、そのうち28人が死亡した(2018 年)。職場でも死に至ることがある熱中症は予防や発症時の対応が非常に重要であり、そのため国は積極的に啓発活動を行っている。しかし依然として救急搬送件数や死亡件数は高止まりのままである。
 地球温暖化やヒートアイランド現象により夏季の平均気温が上昇しており、熱中症は今までよりも高頻度で発症しやすい環境になっている。現場では暑熱環境下での作業が余儀なくされることもあり、より一層の注意が必要である。
 労働災害としての熱中症に関して、犠牲者を少しでも低減するためにその病態や環境要因を含めた発症リスク、予防対策、並びに発症時の対応について解説していく。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第37回】EUタクソノミーに関する議論の進展── 欧州委員会TEGのテクニカル・レポートを読む
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 これまで何度かご紹介してきたEUのタクソノミーについて、6 月18日に一つの進展があった。欧州委員会の技術専門グループ(Technical Expert Group:TEG)がテクニカル・レポートを公表したのだ。
 400ページを超える大作である上に、そもそもEUの政策決定プロセスの複雑さもあって、このレポートがどういう位置づけであるかわかりづらい。このレポートが公表されたこと自体、日本ではあまり報じられてもいないが、昨年5月に欧州委員会が公表した「持続可能な投資を促進するための枠組み規則」を具体化させる重要なレポートである。また、欧州の政策を理解するには決定に至るまでの議論のプロセスをみておく必要があることは、本誌読者の皆さまにはご承知の通りである。
 今回はEUの立法プロセスを把握し、タクソノミーに関わる議論の進捗具合を整理した上で、欧州委員会のTEGが公表したテクニカル・レポートを概観する。
【産廃コンサルタントの法令判断/第41回】誌上コンプライアンスチェック④――書類同士の整合性
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第41回)。

【ニュースから読み解く環境刑法/第13回】有罪判決のあとに――刑の確定・控訴・上告など
今井 康介(法政大学 兼任講師/早稲田大学 比較法研究所 招聘研究員)
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 前回は、刑事裁判の流れがどのようなものかを概観しました。今回は、刑事裁判の最後に言い渡される判決と、その判決に不服がある場合の、控訴・上告などの手続きについてみていきたいと思います。具体的には、青森・岩手の県境で起きた日本最大規模の不法投棄事件を取り上げ、控訴や上告の背景をみていきます。また、この事件では有罪判決後に、別途、措置命令が下されています。この措置命令は、不法投棄を行った処理業者だけでなく、その処理業者に処理を委託をした排出事業者にも出されています。そこで、排出事業者側の注意点もみていきたいと思います。
【新・環境法シリーズ/第90回】インドネシア廃棄物発電プロジェクトの進展と日本の支援のあり方
辻 景太郎(JICA環境政策アドバイザー(日本環境省よりインドネシア環境林業省に派遣))
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○日本で1960年代以降に廃棄物焼却施設の導入が急速に進んだ要因として、中央政府内の責任省庁が明確だったことと、事業実施主体である市町村等の強い責任感の2 点が挙げられる。
○インドネシアでは、2000 年代より日本環境省を中心に廃棄物発電を支援してきたが、この2 点が欠けた状態が続く中、思うような進展がみられなかった。
○2017 年になって廃棄物発電が両国首脳級のアジェンダとなり、2018 年には12 都市における廃棄物発電を促進する大統領令が発出された。この二つの条件を満たした状況になり、大きな進展をみせている。
○日本は、環境省・JICAが協働して西ジャワ州政府によるレゴック・ナンカ廃棄物発電PPPプロジェクトを支援している。JICAがTransaction AdvisoryとしてPPP調達の発注者である公共機関サイドを支援する初のケースで、今後の国際協力のモデルとなる可能性を秘めている。
【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第11回】廃棄物の種類の巻(後編)
長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
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 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 第11回目は、「産業廃棄物の種類」の後編をお送りします。お相手は前回に引き続きN先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第20回】プラスチック問題の基礎知識――EUのプラスチック規制と企業の責任
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 今年になって発令されたEUのプラスチック指令では、使い捨て製品や漁具などに関しメーカーの責任を大きく拡大させている。消費者に対し使い捨てプラ製品が環境へ悪影響を与えるなど、目立つ警告表示が義務付けられる。さらに、プラスチック製品の生産者は、①意識啓発措置の費用、②廃棄物収集のコスト、③廃プラに起因する片付け費用と運搬及び処理費用などを負担する。リサイクルビジネスを活発化させるメリットはあるが、費用負担は企業にとって荷が重い。今回は、まずプラスチックの歴史を含む基礎知識について解説し、最後にEU 指令について概要を述べる。
【先読み! 環境法/第86回】第一種事業4万kW(交流)以上、第二種事業3~4 万kW(交流)の太陽光発電施設設置を法アセスの対象にする環境影響評価法施行令の一部改正が2020年4月1日から施行
小幡 雅男(前・神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 環境影響評価法の対象となっていなかった太陽光発電施設の設置工事事業を対象とするための要件を定める政令案がまとめられ、2020年4月1日から施行されることになった。同時に、太陽電池モジュールの適正なリユースの促進、廃棄時におけるリサイクル・適正処理への制度的な対応、不法投棄リスクへの対応等が求められる。さらに、地域との共生を図り、適正な導入促進に向けた今後の展望について取り上げる。
 
 ❶第一種事業4万kW(交流)以上、第二種事業3~4万kW(交流)の太陽光発電施設設置を法アセスの対象にする環境影響評価法施行令の一部改正が2020年4月1日から施行
 ❷太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方についての中環審答申(4月25日)
 ❸太陽光発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(3月5日)
 ❹太陽光発電のリサイクル・適正処分等に関する検討チームのとりまとめ(2018年7月3日)
 ❺第198回国会で建築物省エネ法の改正が5月10日に成立し、同月17日に公布
環境法改正情報(2019年6月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉フロン排出抑制法
◉毒劇法
◉水質汚濁防止法
◉浄化槽法
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