環境管理バックナンバー 2026年 9月号

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2026年9月号 特集:企業活動を支える公害防止管理

<巻頭レポート>

住友化学(株)千葉工場の排水処理
本誌編集部
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 住友化学は別子銅山の排煙を利用した肥料製造所を起源とし、社会との調和を経営の基本理念として発展してきた。千葉工場は1965年に操業を開始し、現在はIT・自動車分野への高機能材料や、ポリオレフィン等の基礎材料を製造している。排水処理は含油排水、有機分を主とするBT排水、無機分及び不溶解分を主とするSS排水の3系統を組み合わせて行っている。2015年のエチレンプラントを含む工場再構築に伴い、排水量や有機物負荷は下がっているが、環境保全協定や、関係する環境法令の遵守を徹底した操業を継続している。今般、同社のご協力を得て、千葉工場の排水処理工程を見学し、担当者にお話を伺うことが出来た。公害防止管理者等の管理業務の現場感を少しでも感じ取っていただければ幸いである。

<特集>

日本における排煙脱硫・脱硝技術の発展とクリーンエネルギー基盤としての展開
蜂谷 宗一郎(株式会社IHIプラント)
幸村 明憲(株式会社IHIプラント)
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 我が国では化石燃料消費の増加に伴う大気汚染拡大を背景に、排煙処理として脱硫装置および脱硝装置の技術開発と実機適用が進み、現在ではクリーンエネルギーを支える成熟した基盤技術となっている。排煙脱硫装置はガスガスヒータや電気集じん機と協調した排煙処理システムの中核として、高効率脱硫とばいじん除去性能の高度化を進展させた。一方、排煙脱硝装置は、選択的アンモニア接触還元法を用いる我が国発の触媒脱硝技術として活発に開発・実用化されてきた。本稿では、排煙脱硫および排煙脱硝技術の開発経緯とプロセス概要、さらには排煙処理システムの概要を紹介する。

<特別寄稿>

環境マネジメントシステムと公害防止組織の関係 ―大気関係の法令順守について
岡本 眞一(東京情報大学 名誉教授)
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 環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格ISO 14001の審査の中で、被審査組織の法令順守の状況を確認することは重要な課題の一つである。しかし、このことについて適切な審査ができる力量を審査員が有しているか懸念される状況も時々散見される。今回は、企業の公害防止組織についての法令について解説する。この法令に該当する工場では、公害防止組織の整備は必須であり、この管理者は国家試験に合格する必要がある。公害防止管理者は、大気、水質など、専門分野ごとに分かれているが、ここでは、大気の問題に焦点を当てる。
 法令が求める公害防止組織と認証取得時に構築したEMS組織を上手に連携させることは、組織の法令順守の確認のみならず、EMSの有効性の向上に寄与するものと思われる。
サステナブルファイナンス(第4回)―炭素価格は製造業の調達条件になる
安井 啓人(株式会社フェイガー CSO /博士 (工学))
加藤 晃(京都大学経営管理大学院 客員教授/博士(経営管理))
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 EU排出枠(EUA)は、欧州企業だけの問題ではなく、炭素国境調整措置(CBAM)やサプライチェーンを通じて日本の製造業の調達・販売・投資判断に直接影響する外部価格になりつつある。CBAMは単なる関税ではなく、製品の組込排出量(製品の製造工程で生じる排出量。直接排出と前躯体排出が中心)にEU-ETS連動の炭素価格を適用し、輸出国の炭素価格や排出枠の無償割当を調整する制度であるため、日本側の制度設計次第でサプライヤーコストが大きく変動する。本稿は、EUAとCBAMを「隠れた炭素価格」として捉える重要性を示し、その課金構造、サプライチェーンへの伝播経路、EUA価格の変動要因、製造業が確認すべき実務的論点を検討する。日本企業が対応していく上での鍵は、自社がCBAM対象か否かではなく、購入する素材・部品にどれだけ炭素コストが織り込まれるかの把握である。
災害後も、ヒト・モノ・ココロがつながる社会へ ―災害関連死を減らすための産学官共創の取り組み―
池田 汐里(順天堂大学大学院 健康データサイエンス研究科)
堀 賢(順天堂大学大学院 医学研究科感染制御科学)
町田 修一(順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科)
西田 進一(群馬大学大学院 理工学府物質・環境部門 材料科学プログラム)
隈丸 加奈子(順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター)
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 日本では地震や豪雨等の自然災害が頻発しており、災害後の健康被害が大きな課題となっている。順天堂大学を中心に大学・企業・自治体が連携して取り組む、科学技術振興機構(JST)の共創の場形成支援プログラム「災害など危機的状況でもヒト・モノ・ココロがつながる健康医療共創拠点」では、発災直後から避難生活が続く期間も含めた中長期の健康課題の解決に向け、避難環境の改善や健康支援体制の構築、健康リスクの予測・早期検知等に関する幅広い研究開発と社会実装を進めている。本稿では、その具体例として、オンライン運動支援、避難所の感染症対策、通信技術LoRaWANを活用した環境モニタリング(工場等への応用も含む)の取り組みを紹介する。

<シリーズ>

【弁護士からみた環境問題の深層/第67回】汚染漏洩時の行政への事故報告
猿倉 健司(牛島総合法律事務所 弁護士/日本CSR推進協会・環境法専門委員会委員)
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 事業を運営していく上では、工場に限らず、敷地内から埋設廃棄物、土壌・地下水汚染が発覚したり、有害物質が大気中に漏洩するリスクをゼロにすることはできない。
 汚染漏洩が発覚した場合、法令に基づき事業者に対して管轄行政への報告が義務づけられる場合がある。また、そのような義務がなくても、被害の拡大防止、行政や周辺住民との信頼維持、隠蔽疑念の回避のために、速やかに調査・対策を講じることと並行して、行政等への報告をすべき場面が生ずる。本稿では、汚染漏洩時に企業が行うべき事故報告のタイミング、報告内容、報告方法の実務上の留意点について整理する。
【環境コンサルタントの法令判断/第125回】産業廃棄物処理委託に「取適法対応」は必要か? ―「対象外」でも、向き合わなければならない理由
佐藤 健(イーバリュー株式会社 コンサルティング事業部 コンサルタント/チーフマネージャー)
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 令和8年1月、下請法は名称変更を伴う大幅な改正により「取適法(中小受託取引適正化法)」として施行されました。これを受けて「産業廃棄物の処理委託も取適法の対象になるのか」などの問い合わせも多く寄せられており、取適法は廃棄物処理の分野にも反響が大きいことが伺えます。こうした反響を想定してか、令和8年3月、環境省は「廃棄物処理業における適正取引推進のためのガイドライン」を公開しました。
 このガイドラインの中で「一般的な廃棄物処理委託は取適法の対象ではない」と明記されています。しかし同じガイドライン中で、適正な価格転嫁への対応を排出事業者に強く促しています。取適法の対象外であることを明確化しておきながら「取適法の趣旨である適正な価格転嫁には対応すべき」と言っているのです。これは一体どのように受け止めればよいのか?本稿で整理します。
【メタン、フロン等短寿命温室効果ガス対策の重要性/第8回】EUのCBAM法と国境負担調整メカニズム
石川 紀(亜細亜大学 経済学部 特任教授)
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 我が国ではCBAMは環境規制として紹介される。しかし、その構造をよく見ると、単なる環境規制というよりも、EU域内で形成された温暖化ガス排出のコストを国境において負担調整する仕組みとなっている。この点でCBAMは、付加価値税の国境税調整と一定の類似性を有する。付加価値税が最終消費段階での負担を前提とするのに対し、CBAMは生産段階で発生したコストの調整であるため、輸出還付や二重負担の問題においては異なる対応をせざるを得ない。
 本稿は、CBAMを付加価値税との比較から分析するとともに、排出量取引制度を導入した日本において将来生じうる二重負担の問題を検討するものである。
【環境担当者のための基礎知識/第101回】サプライチェーンや長期の野積みに潜むPFASリスク ―使用済み活性炭の不適正保管や流通に絡む法的責任―
大岡 健三
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 本年4月にPFASが新たに水道法上の水質基準となり、PFAS問題は新たな局面を迎えた。岡山県吉備中央町で発生した水道水汚染では、水源上流に長期間放置されたPFAS含有の「使用済み活性炭」が汚染源であったことが判明し、放置していた業者が町から損害賠償請求された。その後、業者と活性炭の排出元とされる化学メーカーとの間で責任問題が生じ、業者は、化学メーカーや町などを相手取り、岡山県公害審査会に公害調停を申請している。
 本稿では、本事例の経緯を整理するとともに、サプライチェーンの盲点となりがちな「使用後の資材や副産物」の環境リスクを考察する。PFAS含有やリスクの認識がなかったとする地元業者と、関与を否定する化学メーカーの対立は、企業の法的責任の範囲や、川上から川下まで一貫したトレーサビリティ確保の重要性を浮き彫りにした。化学物質管理や廃棄物管理に携わる事業者向けに有益な情報提供と関連法の解説をする。
【新・環境法シリーズ/第172回】自転車事故防止のための道路環境法政策
長島 光一(帝京大学法学部 准教授)
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 脱炭素社会が進む中で、自転車の利活用に注目が集まっている。一方で、事故も増加傾向にあり、こうした状況に対し、2024年に道路交通法が改正され(2026年4月1日施行)、自転車の運転者に対する、いわゆる厳罰化がなされた。もっとも、自転車事故の発生にあたり、道路環境に起因しうることから、環境法政策の視点から状況の改善を検討することも必要である。本稿では、環境法政策の視点から、実効性のある自転車の事故防止のための施策の在り方を考え、「市民主導の自転車まちづくり」の必要性を指摘する。
【先読み! 環境法/第170回】建築物ライフサイクルカーボン(LCC)評価制度の 2028年度開始を目指す理由
小幡 雅男(元 大阪学院大学 教授)
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 建築物ライフサイクルカーボン(LCC)評価制度の2028年度開始を目指す理由の解説とともに、「建築物LCCO2評価制度設計に当たっての課題」、「日本型ステップ・バイ・ステップ・アプローチにした理由」「環境に係る企業活動の国際標準化への対応― 建築物LCC評価制度創設をめぐって」をピックアップして解説する。
 
1 建築物ライフサイクルカーボン(LCC)評価制度の2028年度開始を目指す理由
2 建築物LCCO2評価制度設計に当たっての課題
3 日本型ステップ・バイ・ステップ・アプローチにした理由
4 環境に係る企業活動の国際標準化への対応― 建築物LCC評価制度創設をめぐって
環境法改正情報(2026年6月改正分)
坂田 純(一般社団法人産業環境管理協会 人材育成・出版センター 技術参与)
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◆廃掃法関係  ◆PCB特措法関係  ◆化審法関係(1)~(3)  ◆労働安全衛生法関係(1)、(2)  ◆消防法関係(1)、(2)
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